44話 9/12 砂糖は高い、6人目の客
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紅茶を飲みながら店番をしている訳だが、ただそこにいるだけというのも何なので、色々と考え事をしている訳だ。……紅茶に砂糖が欲しくなるが、砂糖は高いんだ。
砂糖は高い。もの凄くと言うほどではないが、高い。常飲する紅茶に入れられるのかと言われたら入れられない。そのくらいの値段はするものなんだ。
まだ香辛料よりはマシだがな。それでも高いものは高いんだよ。実家からくすねてくればよかったと思っている。商業ギルドであんな値段がするとは思っていなかったんだよ。
そんな訳で、紅茶に砂糖は入れられない。物事を考えるときには甘いものが欲しくなるのだが、それは仕方のないことだと割り切ることにした。
何を考えているのかと言われたら、魔法陣の魔法の事だな。あの魔法がどこまで使えるのかという事なんだが、何処までも使えるような気がしている。
単純に図形を大きくすれば中級魔法にもなりえるし、上級魔法もあり得るとは思う。……皮紙と魔石インクの品質次第という所か。あれらの品質は上げなければならない。
この辺りで討伐出来る魔物で、中級に耐えられるものは無くはないんだが、滅多に見ないというか、素材が高いから手が出ないというか。
一応、知っているだけで2種類の魔物が思い浮かぶ。平原の奥地にいるタイフーンウルフと森の奥にいるレッドフレイムベアだな。買えるのは買えるんだが、売り先が無いのだよ。
それに両方とも範囲が地上だからな。中級魔法は飛竜山脈で使いたいだろうからな。それを考えると飛行できた方が良いんだよな。道中で使うとなると別に構わんのだが。
飛竜を落とすには中級魔法は必須だな。一応、この近辺にはいないが、ファンキーバードの皮紙と魔石インクを使えば作成は可能だろうが、この都市のクランで飛竜狩りをしているところの魔法使いに見つけてもらって作成依頼を受ければ作るがと言った所。
そんな望み薄の状態で、中級魔法の素材を揃えようとは思わない。1つだけしか売れないのであれば赤字だからな。魔石インクだけでも赤字になりかねん。
カランカラン
「いらっしゃい。どうぞ見ていってくれ」
「ここが新しい魔法屋ねえ。見せてもらうよ」
ずいぶんと威勢のいい魔法使いだな。まあ別に構わんけどな。身なりからしてスラムの方だな。下手をすると第2スラムの方のクランかもしれないか。
第2スラムだからと言って何をどうするわけでもない。もちろんながら値引きも無しだ。何かしら情報があるっていうんなら考えなくもないが、普通に定価で売りたいものだな。
見ているのはやはり風属性か。となるとワイルドボア狩りをしている所なんだろうな。見ている限り、迷いなく魔法を見ている。かなり熟練の魔法使いだな。
「なんか可笑しいねえ。形が変じゃないかい? こんな魔法は見たこと無いよ」
「そうだろうな。作り方が特殊なんだ。それ故にそういう形になってしまうんだ。それは変えようがないからどうにもならんぞ。変えるのであれば威力や範囲を犠牲にしないといけなくなる」
皮紙と魔石と血を全て違うものにすれば、形は普通の形をとることができる。だが、それをするメリットが特に無いんだよ。形はこのままでいいんだ。特殊な魔法を作るときには変えないといけないのだろうが、そんなオーダーは入っていないからな。
「ふーん。そうかい。で? 範囲の地上ってのは何だい? これもよく解らないんだけどねえ」
「範囲は地上だ。空中は無理だという事だ。例えばゴブリンだが、ゴブリンは空を飛べんだろう? だから地上な訳だな。ただ、何処までも遠くという訳にはいかないが」
今の魔法ぐらいなら徒歩30分圏内であれば届くだろうが、あんまりな。今後は短くしていく予定だからな。改良版は範囲が狭くなる予定なんだ。それでいいと思っている。
「解らないねえ。なんとも評価のし辛い魔法ばかりさ。威力があるのと、詠唱が短いってのが利点の魔法かね。追尾性もあるようだし」
「今の時期ならワイルドボア狩りだろう? それには実績があるからな。とりあえずは使ってみてからの判断だろうな。私からはそうとしか言えんところだ」
ワイルドボア狩りには使えるというのは解っている。どの魔法もある程度の実績はある。その分情報料で値引きをされるわけなんだが。まあ必要経費だろう。
「まあ買うしかないのかねえ。魔力が合わないと碌に使えないんだけどね。あたしの魔力の色はあんまりいい色じゃないんだよ。それでも使えるのかい?」
「使えないことは無いはずだな。私の魔力の色は万人受けする色らしいからな。特に問題なく使えるはずだ。流石に保証はしかねるが」
魔力の色が良い色じゃないねえ。という事は、いろんな魔法屋の魔法を試してきて、殆ど合わなかったという事なんだろう。そんな色もあるのか。何色かは知らんがね。
「わかったわかった。買うしかない訳だね。それじゃあこの2つを貰おうじゃないの」
「ゴブリンとワイルドボアだな。中銀貨2枚だ」
「あいよ。まあそんなもんだろうさ。邪魔したね。合えばまた来るさ」
……行ってしまったな。魔力の色なあ。どんな色なのかは見れないからな。何色をしているのかを見られたらいいんだがな。見れないからな。
それにしても、良い色ではないか。本当に何色なんだろうか。あまり色にはこだわってきていないんだが、恐らく合うと思うんだがな。それはどうなんだろうか。
私の色で合わなければお手上げだな。なんともならんだろうな。一体どんな色をしているのやら。黒でも白か透明なら何とかなるとは思うんだがな。
まあいい。とりあえずは売れたんだ。買ってくれたんだから客なんだよ。2度目があるのか解らないが。その辺は運だからな。何とか合ってくれればいいんだが。