437話 10/24 滑り込みセーフ
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昼飯を食べたら即ヴェルナー魔道具店へ。今はちょっと魔法の事は置いておく。物に出来ればかなりいい感じの魔法になるんだろうけど、とりあえず今は水生成機の方が重要だ。
東の大通りから南側3番通りにある魔道具店にやってきた。ここに来るのも2回目。まさかこんなに早くやって来るとも思ってなかったけどな。とりあえずは話をしないと。
「いらっしゃいませ。どう言ったご用件でしょうか?」
「こんにちは。すまないが店主のオグマを呼んでくれるか? ガブリエルが来たと言ってくれれば、ある程度は伝わるはずなんだが」
「解りました。少々お待ちください」
緊急なんだが、もう既に目的が達成されている可能性もあるんだ。急いでくれとは言えないよな。かなり焦ってはいるんだが、ここまで来て焦っても仕方がないんだよ。商業ギルドに売りに行っていないことに賭けるしかないんだ。損をするかどうかの瀬戸際なんだよ。
まあ、何方にしてもクーラーは売り込むんだけどな。損失分を確保できるかと言われたら、難しいだろうが。除湿器は大きいぞ。湿気が無くなると言う事がどういうことなのか理解出来たら凄く良いと思うんだよな。貴族が挙って買いたがるだろうからな。
「おう、ガブリエルか。なんでまた来たんだ? まあ、商業ギルドに提出する分が出来たからよ。明日にでも持っていこうかと思っているんだが、どうした? 安堵した顔をして」
「いや、正直開発が遅れていてくれて助かった。あの時はもう少し早く出来ると言っていたからな。もう商業ギルドに持っていったかと思っていたんだ」
「あー。あれなあ。いや、思った以上に水を浄化するのが難しくてな。どうしても濁るし、どうなってるんだって感じだったんだが、何とかなったぜ。結果的には良いものが出来たと思っている。力作だ。これならいい値段で買ってくれると思うぜ?」
「それなんだが、出すのは水を浄化するものと、水を浄化しないものの2つを提出して欲しいんだ。理由は水を作る事による効果がことのほか大きくなりそうだからだな」
「はあ? わざわざ浄化したってのに、浄化をしない奴も提出しろってどういう事なんだよ。汚れた水じゃあ飲み水にはならないだろう?」
「飲み水にはならないだろうな。だが、湿度を下げるという効果がある事に気が付いてな。空気中に水があると言ったのを覚えているか?」
「当たり前だろう? それで水を作っているんだから、それについては解っている」
「それでだ。空気中に水が多いと、暑く感じるんだよ。この都市の夏は暑いだろう? それの一端が、空気中にある水のせいなんだよ」
聞いたことのある人も居るだろう。日本の真夏は暑いと。特に海外から来た人がよく言う言葉だな。ヨーロッパの人がいうのは解るだろ? ヨーロッパの方が寒いんだから当然だ。だが、日本よりも気温が暑い国の人が、日本の夏は暑いと言っているんだ。
それは湿度の所為だという。砂漠では、日本よりも気温が高いのに、日本よりも暑さを感じにくいという。湿度がそれだけ重要だと言う事なんだよ。
じゃあ何%が良いのかというのは解らない。湿度が無ければ良いのかと言われたら、微妙な所なんだよな。病原菌の繁殖を抑えるのも湿度の役割だからな。低ければいいという訳でもないんだ。かといって、夏場に高いのは暑いだけなので除湿はした方がいいんだけどな。
「今一よく解らねえな。夏が暑いのは当然の事だろう? 夏が寒いって事は無いんだからよ。それにすまんが、俺はこの都市しか知らねえ。暑いのは解るが、特別なのかは知らねえんだよ」
「そうなのか。まあ、解って欲しいのは、この都市が暑い原因の1つは、空気中に水が多すぎるからなんだよ。空気中に水が少なければ、比較的暑くなくなるんだよ」
「空気中の水が多いと暑くなるか。よく解らねえが、本当なんだな? てえと、なんだ? 何が関係してくるんだ? 空気中の水が多くないと、あれも水を集められないんだろう?」
「そうだ。水を集められないくらいに空気に水が無くなれば、涼しく感じられるようになるんだよ。例えば、それを貴族が屋敷の中で使ったらどうなる?」
「どうなるって、そりゃあ空気中の水を集めてくるんだから、水が出来るよな。そうしたら、空気中の水が少なくなって……部屋が涼しくなるのか。夏なのにか? 待て! 夏なのに涼しくなるだと!? 水の魔石と風の魔石とこの魔道具があれば、涼しくなるのか!」
「そうだ。夏場の暑いのは他にも原因があるんだが、1つは空気中の水が悪さをしているんだよ。それを取り除いてやれば、その分は涼しくなる。土の魔石を使わなくてもだ」
「……飲み水ばかりに気を使っていたが、この魔道具の本質は、空気中の水を集めることだ。そして、それに気が付いたから今日来たって事か」
「そういう事だ。今までの物でも、貴族と言うか、軍に売れる物ではあるんだが、夏の暑さを和らげるというのであれば、貴族に高値で売れるんだよ。別の商品としてな」
「……まずは、貴族用に売らないといけなくなることは確かだが、夏場に暑くなくなるのであれば、凄いことだろうな。これに大金を出す貴族様の様子が見えてくるようだぜ」
「ああ、それを公開するんだから、商業ギルドからとんでもない金額が舞い込んでくるという訳だ。今までは温める魔道具はあっても、冷やす魔道具は無かったからな」
「温めるのは簡単だろう? 火属性の魔石を燃やしてやればいいんだからな。冷やすのは難しいというか、無理じゃないかっていうのが本音だな。それが一部でも解消できるのか」
「冷やす方の魔道具も考えては来たんだが、とりあえずは今の魔道具だ。水生成機を使って、部屋を涼しくさせることが出来れば、色々と出来ることがあるだろう?」
「独占販売は……無理だな。真似は比較的簡単に出来る。難しいのは土属性の魔石で水を浄化することなんだよ。集めるだけなら誰にでも出来る。しかも、水の浄化も見て真似る事は簡単だろうな。思い付くまでに苦労はしたんだが」
「それにだ。貴族用に売ると言っても、500台近くも作れば、もういらないだろう? 独占販売をして真似されるよりも、商業ギルドに持っていけば、需要は無限大だ」
「だろうな。暑いのに困っているのはこの都市だけじゃねえって事だよな。何処まで暑いのかは知らないが、暑くない場所もあるのか?」
「場所によってはな。だが、沿岸部なんて水の直ぐ側にあるんだぞ? 絶対に売れる筈なんだよ。そこまで商業ギルドに言ってやれば、あいつらが勝手に金額を吊り上げてくれる」
「あー、海か。見たことは無いが、かなり大きな水たまりなんだってな。塩もそこで作っているんだろう? そこも暑いのか?」
「まあ、暑いだろうな。特に海から風が来ていたら特にだ。水の含んだ空気がどんどんとやってくるんだから、暑くて暑くて仕方がないだろうな」
そう。需要はこの都市だけではない。ほぼ全国にあると言ってもいい。乾燥地帯でなければ需要はあるんだよ。湿度が高ければ高いほど暑くなるんだからな。
北半球か南半球かにも因るんだが、詳しいことは解らないので、北に行けば良いのか、南に行けば良いのかが解らない。季節があるんだから、地軸は傾いているんだろうが。
そんな訳でだ。場所をある程度選ぶんだろうが、夏を涼しく過ごすことが出来る魔道具にもなると言う事なんだよ。水は飲む用では無いので、捨てて貰うしか無いんだが、湿度が下げられれば大丈夫なんだよ。水は捨ててくれればいい。
別に穢れているって訳でもないので、庭木に使うくらいなら問題無いからな。庭木に使って支障があるのであれば、空気中にやばいものが混じっているって事にもなるんだよ。
麻薬や煙草なんかをやっていなければ大丈夫だろう。煙草も駄目だよな? 詳しいことは知らないけど、場所によっては麻薬と扱いが一緒だと聞いたことがある。
むしろ煙草の方が麻薬よりも危ないものだと言っている人も居たか。常習性が高いんだったか? 煙草には幻覚作用なんかも無いし、禁断症状が出ることも無いが、一度吸ったら止めるのにもの凄く苦労をすると聞いたことがある。
まあ、とりあえずは商業ギルドに登録するのであれば、2つ登録した方がいいんだよ。用途を分けてな。その方が金になるだろうし。貴族から金を巻き上げればいいんだからな。




