423話 10/23 ブリット来店
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情報屋という職業は成り立つのかどうか。情報を売るという事の恐ろしさも知っておかないといけない訳なんだが、そもそも必要なのかという事なんだよな。
情報は武器である。前世では、それはもう凄い速度で情報をやり取りしていた。情報屋となっている新聞社やテレビ局等のマスメディアよりも、一般人が発信する情報の方が早かったほどだ。
上辺だけの情報であれば、という物言いは付くが。真に迫った情報というのは、本職でなければ扱えない。だがしかし、マスメディアが情報屋として機能しているとは思わなかったが。
真に迫った情報は、基本的には表に出てこない。それをいかなる手段を用いてでも入手するのが情報屋だ。潜入、盗聴、なんでもやるのが真の情報屋だろうと思っている。
勿論だが、そんな命がけの情報収集で得られた情報を安売りするのかと言われたら、しないだろうな。この世界だと、貴族の不正問題やギルドの癒着なんかを調査するんだろうか。まあ、欲しいと思う人は居るだろうな。だが、情報屋とは、身バレしてはいけない仕事でもある。
情報を買う側が、殺しに来ることは想像に難くない。自分の情報が売られている可能性があるのだから、始末しておくことにしたと考えてもおかしくはないだろう。
情報を売ると同時に恨みも買っているんだよ。だから身バレを恐れる。そして、それを副業にするのは無理だろうという事だな。情報屋は片手間で出来る仕事ではない。専業であり、尚且つ拠点を持てないだろうからな。居場所がバレたら殺されるという覚悟を持っていなければならないだろう。
情報の価値は高い。だから、情報屋をやろうと思ったが、魔法屋をしながら情報屋をやる事は無理だ。上辺だけの情報屋は出来なくはないが、それでは儲からない。
儲けないといけないんだよな。だから、情報屋という職業は成り立つのかと考えた。深入りする情報であれば、命の危険がある。上辺だけの情報であれば、利益が出ない。
そして、情報を欲するのは貴族関係者だろうな。他家の情報を欲して買いに来ることが多いだろう。ただ、この家が情報屋から情報を買ったというのも、商品になるんだよ。
全てが情報になる。だからこそ危険なのだ。拠点は最低でも10か所は必要であるし、手下は100人は必要だろう。そんな組織を作らなければ、情報屋は成り立たないと思っている。故に情報屋は出来ない。私ではという注釈が付くことにはなるんだが。
かっこいいとは思うぞ? 素直にそう思う。まあ、どう考えても悪の組織側なんだろうけどな。あるかは知らないが、賊系ギルドになるんだろうな。
出来ないだろう。そんな組織を作らにゃならんのだ。金になるまでにどの位の期間がかかるのか。そもそも、金の匂いがしてきたら殺される覚悟もしておかないといけない。
面倒だよな。憧れはするけど、副業で手を出して良いものではない。やるなら本業で、かつ徹底的な情報規制を引かないと無理だろうな。そして、貴族から恨まれると。良いことは無い。
情報屋は無理か。副業に出来る規模でやる事じゃない。それこそゴシップ記事を連発する組織であれば、まだ何とかなるかもしれないが、そういう路線を狙っても購買層が居ないのではな。
娯楽の一種なんだろうが、情報を金で買う文化があれば出来る事なんだけど、そもそもそう言った文化が根付いているかと言われたらそうではなさそうだし、ゴシップの対象とする有名人が居ないのが問題なんだよな。大手クランのリーダーくらいじゃないか?
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「あいよ、また来ちまったよ。魔法が面白かったし、何よりも使いやすかった。使い勝手の良い魔法は嫌いじゃないねえ。もっと使ってみたいと思ったさ」
「使い勝手は良いだろうな。自信作ばかりだ。まあ、場面が限定されるものもあるが、多くの魔法は汎用性が高いと思っている。他の魔法屋には無い魔法が揃っているんだから、使いやすかったのであれば、是非に買っていってくれ。その方が私も嬉しいしな」
使い勝手は良い筈なんだ。追尾もしてくれるし、数はその分少ないが効果も威力もある。十分だろうと思う訳だ。既存の魔法よりは良いものだという自信はある。
使い手次第だけどな。形が気に食わないって人も居るんだろうし、数が少ないのは嫌だと思う人も居るだろう。嫌々ながら使っている人も居るかもしれない。
嫌々使うというのはあり得る話だ。そもそも魔法が足りていないんだから、自分の好みに合わない魔法も使っていかないといけない場合があるんだよ。私の魔法もその中に入る可能性もある。
個人的には、よくできているとは思っているけどな。それはあくまでも個人の感想でしかない。射程お化けの魔法が好まれるのかどうかだよ。使い勝手は悪くないはずなんだがなあ。視界外に攻撃するという発想が無いかもしれないが。
「まあ、初めて使ってみた魔法だけどね。形がこんなので、本当に大丈夫なのかとも思ったが、思ったよりも良かったんだ。期待は超えてくれたよ」
「そうか。それは何よりだ。それで? 私の魔法と弟子の魔法、どっちが相性が良かったんだ? 魔力の色は変えられないからな。しっかりと判断してくれると嬉しい」
「あー、どっちも使えたんだよね。何でなのかは知らないけどさ。両方変わらなかったんだよ。使える魔法が多いに越したことは無いんだけどね?」
「両方使えたのか。それであれば、弟子の魔法を優先的に買っていってやってくれ。その方が店としては有難い話になるんだよ。詳しくは言えないけどな」
「ほーん。弟子のってと、赤い紐だったね。そっちの方が数は少ないが……詮索することでも無いか。私的には使えたら問題ないんだからさ。良い魔法なのは変わりがないんだ」
「ああ、助かるよ。まあ、弟子の魔法も私の魔法も差がある訳では無いんだがね? 作り方が同じなんだから、細かな差はあるかもしれないが、殆ど同じものなんだ」
「殆ど同じって言ってもねえ。作り手で多少の差は出るだろう? 使ってみた感じは、差を感じなかったんだけどさ。魔道具でもそうだろう? 作り手によって若干の使用感が違うじゃないか。魔法でもそういうのがあるだろう?」
「……いや、そこまでの事は無いはずだがな。魔法の作り方にも因るんだが、私の店の魔法の作り方では、個性は殆ど出ないはずだ。他の店の魔法については知らないが」
「他の店だとよくある事さ。例えばの話、火の矢を100飛ばす魔法があったとしよう。矢は前方に飛んでいく。それじゃあ、どの位広がると思う?」
「範囲がどの程度なのかによって決まってくるだろうな。左右もそうだが前後もそうだろう。何処にどれだけの数が飛んでいくのか、範囲によって変わってくる。それが答えではないのか?」
「それだけだと半分って所だね。矢の飛ぶ範囲は、作り手によって若干違うんだ。前後左右であっているんだが、作り手によって右に多く飛ぶこともあれば、左に多く飛ぶこともある。それらは説明文には書かれていないけど、作り手で若干違ってくるんだよ。それを裏面に書いておく奴は書いておくんだよ。私は書かないけどね」
「……そこまでの事は知らなかったな。なるほどな。それで色々と裏面に書くのか。どういう魔法なのかを分析して書いておくというんだな?」
「簡単に言ってしまえばって話だけどね。あくまでも、そうなりやすいだけで、必ずそうなるとは限らないってのもあるんだけどさ。その辺は好みと相談だねえ」
「そこまで癖があるとは知らなかったな。ただ、私の魔法でそうなる事は殆どないだろうな。追尾されるのが殆どだしな。……追尾する魔物をどれにするのかの癖もあるのか?」
「さあ? そこまでは解らないね。今後使ってみてからの判断さ。使い勝手が良い魔法であることには変わりないよ? 癖の見極めはそこからさ。それじゃあ、これを貰っていくよ」
「ああ、クライヴ君、会計だ」
「はい。中銀貨6枚になります。……丁度頂きました」
「毎度どうも。またどうぞ」
行ったか。そんな癖があったなんて知らなかったな。知っている人の方が多いんだろうな。裏面に書くことがそんな事だったとは。私の魔法も癖があるんだろうか。




