422話 10/23 ケヴィン来店
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カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「ああ、また来させて貰った。この店に他の客も来ているんだな。すれ違ったぞ。こんな場所にあるのにな。まあ、見つかりやすくないとはいえ、客足があるのは当然か」
「そうだな。客足は順調に伸びていっている。これで良いのかというのはあるかもしれないが、とりあえず、売り切れに近づいて行っている。その内、早く閉めないといけない時期が来るだろうな。そう遠くない未来になるとは思うが」
「始めてからどの位経っているのかにも因るが、順調ならそれでいいんじゃないか? これで1年も経っていると言われれば、本当に大丈夫なのかとは思うがな」
「魔法屋を始めたのは9月1日だからな。まだ2か月も経っていない。もう少しで2か月という所だ。始めた時期が良かったというのもあるんだろうがな。10月からは大通りが混雑するだろう? 混雑を避けるためにこちらの道を使う奴も増えてきたという所だな」
「そうか、まだその位しか経っていないのか。大通りに面したところで始めていたら、こんな感じで話すことも出来なかっただろうがな。それだけ魔法使いの数は居るし、忙しくあっただろうな」
そうだろうな。5日目くらいには完売していたことだろう。そんな調子であれば、客と会話を楽しむことも出来やしない。割と大切な事だと思うんだよな。
アンデッドの季節の話も聞けたし、他にも繋がりのあるクランがあるしな。特に暁の剣には感謝をしている。色々と面倒を見て貰っているからな。
人と人との繋がりは大切にした方が良いとは思っている。思っているが、中々これが難しい。簡単にはいかないものなんだよ。まず大前提として、利害の一致が無ければ、付き合いなんて出来る訳もないんだから。その辺はシビアに考えていかないといけない。
博愛主義者も居るんだろうが、それは少数派だからな。全員が全員、そんな人ばかりではないんだよ。私もそうだ。利害が一致しないのに協力することは滅多にない。
それが普通だと思っている。利害関係者との関係作りはしっかりとしないといけないと思っているが、それ以外の人とは、必要最低限でも良いと思っている。必要以上に仲よくしようとは思わんだろうな。
それが私の当たり前であり、普通の人の当たり前でもあるとは思う。仕事上、付き合いが必要な事もあるだろう。プライベートで利害を一致させることもあるだろう。無関係の人とは、それなりの付き合いしかしない。それが当たり前だからだな。
基本的には自分本位で動くものだからだ。他人のために何かをする時も、その見返りが欲しくてやる場合が多い。無関係の人に優しくは出来ない。
まあ、そんな事は解っているとは思うけどな。誰にでも優しい人ではない。私は私本位に生きている。それでいいと思っているし、それ以上になろうとも思っていない。
「忙しいことが良い事だとは思わんがね。魔法使いとの繋がりも必要だとは思うからな。必要以上に関わる気も無いが、必要最低限は関わるさ。殺伐としている訳でもなく、それが普通の事だと思う訳だ。忙しいから蔑ろにするというのは間違っているだろう?」
「まあな。忙しいを理由にする事は出来る。だが、それだとそこまでしか関係性を持てない。ある程度は話せる間柄になっておかないといけないだろうとは思うな。だからこそ、この時間にも魔法屋を回る訳なんだが」
「関係性作りも必要だろうな。商品を買って、それで終わりという訳にもいかない。それでも良いのかもしれないが、それだと必要な情報も入ってこないだろうしな」
魔法屋と魔法使い。この関係性は切っても切り離せない。魔法を買わないといけない魔法使い側に、魔法を売らなければならない魔法屋側。何方もコミュニケーションは欠かせないだろう。
それに、情報のやり取りも重要なんだよ。情報屋という職業があるのかは知らないが、もしも、情報屋があったのであれば、金が必要になってくる。
ゲームなどの情報屋のイメージで申し訳ないが、情報は高いというのが相場なんだよな。大した情報でもないのに、もの凄く高かったりするんだよ。作品にも依るけどさ。
それに、情報屋に支払う金額はケチる訳にはいかないんだよ。どんな些細な情報であろうとも、ケチる事は許されない。値段で出てくる情報が変わるからだな。どの情報が欲しいのか、こちらでは選別できないんだよ。情報屋が話す情報は情報屋が選ぶんだからな。
「情報収集は大切だ。特に、ある程度のクランの動きは握っておいた方が良い。大規模クランが動くなんて言う情報はあって困る訳がないんだよ。飛竜狩りの情報なんかはな」
「飛竜狩りか。それは確かに大規模なクランが動く証拠みたいな話だよな。それがあるのとないのとでは、狩場の場所が変わってくるのか。大きなクランが居なくなる訳だからな」
「そういう事だな。飛竜狩りに出かけるのであれば、今までよりも魔物との遭遇が増える可能性が高い。そうなってくると、準備を怠る訳にもいかない。それだけの戦闘を求められるからな」
「なるほど。他の魔法屋に行っている連中も似たようなものなのか。だからある程度の時間にも魔法屋に行っている訳なんだな。情報収集をしに」
「情報は武器だからな。無いのとあるのとでは動き方まで変わってくる。些細な情報でもいいから仕入れていく方が良い。どんな情報でも、持っていた方が良いんだよ」
「なるほどな。それで? 私の魔法ばかりを見ているが、そうなってくると弟子の魔法とは相性が良くなかったという事なのか? 私の魔法とは相性が良かったんだろうが」
「そうだな。店主の魔法とは相性が良かったよ。普通に使えた。ただ、弟子の方の魔法は癖が合わなかったな。かなり致命的に合わなかったから、そういう事なんだろうな」
「それは、仕方が無い事だな。どうしても色が合わない事もある。それは諦めるしかないからな。無理に使ってくれとも言えないし。まあ、私の魔法を合ってくれただけでも良かったよ」
クライヴ君の魔法は駄目だったか。まあ、かなりの人と色が合っているから、もう大丈夫だろうとは思うんだけどな? 3日売り出せば、2日は完売するんだろうし。
そもそもの数が少ないからな。2,3人がまとめ買いをしてくれると、それだけで売り切れになってしまう。後倍は作れて欲しいんだけどな。
それは言っても仕方が無い事ではあるんだけどな。どうしても難しいという事ではなく。無理なものは無理なんだ。魔力量の関係だからな。増やせと言って増える訳でもなく。増やせるのであれば、私も増やしたいところなんだから。
魔法兵の水準まで増やしたいとは思わないが、その位の魔力があれば良いとは思っている。1日に50個もスクロールを作る事が出来るのであれば、利益が大きくなるだろうからな。34個でも十分と言われればそうなんだが、まだまだ数を増やしたいとは思っているんだよ。
結果、人数を増やすしか無い訳で。人数を増やすのは、教会に任せるしか無いんだよな。別口から雇用できるのであれば、したいんだが、どうやって雇用する者を見つけるのかだよな。そんなに簡単に見つかるのかという疑問は残る。
「それでは、今日はこれだけの魔法を買っていこう。特に前回と変わった魔法も見受けられなかったし、これだけあれば大丈夫だろう。会計を頼む」
「ああ、クライヴ君、会計だ」
「はい。中銀貨6枚になります。……丁度頂きました」
「毎度どうも。またどうぞ」
行ったか。重要な事と、重要でないことがある。魔法屋と魔法使いの関係は重要だろうと思っている。色んな事に融通を聞かせて貰えるだろうからな。関係を悪くする理由が思い付かない。
情報は何よりも大切なんだよ。それで死ぬこともあるかもしれないんだ。情報は持っている方が良い。あって困るよりも、無くて困る方が深刻なんだよ。引き際を間違える様な情報を持たされていた方が問題なんだよな。




