416話 10/22 52人目の客
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絶対にこうだという作り方が無い以上、魔法は色々な方法で作られる。良くも悪くもあるんだが、全体として考えるとどうなんだろうか。好みが分かれる以上は、こういった状態を良しとするしか無いのかもしれない。絶対的な作り方が無いんだから、しょうがないだろう?
消費魔力が少なく、威力が高く、範囲が広く、数も多い。その他諸々も普通以上の魔法があるのかと。無いから研究をしている訳だ。貴族院の方でな。暇人しか出来ない事なんだ。
どの魔法にも長所と短所がある。それは、作り方が間違っているからなのではないかと考えられたこともあるんだよ。全てを完璧な状態で魔法を作成する方法があるのではないか、誰もが1度は考える。
そうして頓挫してきたわけなんだがね? 今の作り方でしか作れないとなってしまったわけだ。様々な事が試されたのだろう。しかし、魔法になる事は無かった。それは、凡人が考えるからである。天才が考えたのであれば、また違う形になったのかもしれないが。
それはそうだろう? 今の魔法の作り方も、凡人では考えもつかない工程なんだから。何故に魔水というものに浸けるのかすら解っていないんだ。それが解れば苦労はしないんだろうがね。
結果として、魔法が出来上がっているのは事実なんだよ。その事実を直視しないといけないんだが、直視したところで、何故そうなっているのかは誰にも解らない。私にもさっぱりだ。謎が解明できたのであれば、他の魔法作成の方法が作り出されていた可能性もあるんだろう。
何も解らないと言う事が解っているだけなんだよ。新たな天才が出てくるまでは、進歩はしないと思っていい。そして、天才なんだが、貴族に出てくるとは限らないんだよな。
平民から出てくる可能性も十分にあり得る。あり得るが、貴族が肯定するのかといえば、解らないとしか言えない。所詮は平民の考えだと切り捨てる事も考えられる。
貴族至上主義を掲げている奴も居ると言う事なんだよ。派閥に関係なく、貴族こそが至高と考える奴は一定数居るのが現状なんだよ。所詮は生まれが違うだけなんだけどな。
同じ人間であると言う事を認めたくない人たちも居ると言う事なんだよな。不毛だとは思うんだが。そんな事を考えているのであれば、別の事を考えた方がマシだとは思うんだけどな。
居るんだから仕方がない。そんな奴らが大きな権力を持たないようにはして欲しいがね。平民を切り捨てても意味がないんだよ。平民の上に貴族が居るのは確かなんだが、その土台を好き勝手に切り崩していたら、最終的には、上の貴族が落ちる事を考えないといけない。
子供の妄想程度にしておいてもらわないと困るんだ。私が思うのは、民あっての貴族、民あっての都市、民あっての国という事なんだ。民が居ない国なんて寂しいだけだ。
それを解ってくれる貴族がどの位居るのかは知らない。貴族が平民に生かされていると思っているのがどの位居るのかは解らない。結局は平民が居ないと、貴族も意味がないんだがね。
解りたくないと思うのは勝手なんだが、事実である。人間として生きているという事を忘れて、階級に縛られるのは滑稽としか思えないんだが、そう言った人も居るんだよ。所詮は人間だと言う事を忘れてはいけない。食べて寝て、そんな生活をしないと生きられないのだよ。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「ほう。こんな所にも魔法屋があったのか。……建物から考えると、最近できたばかりなんだろうな。良い事だ。魔法屋が増えてくれるとこちらも助かるからな」
「まあ、そうだろうな。魔法屋が増えないと、魔法を作る人間が増えないと、魔法使いは仕事ができないからな。ただ、店だけが出来ても、魔法を作る人間の数が増えるとは限らないんだけどな?」
「そこは仕方があるまい。だが、受け入れられなかった人も、これからは受け入れられるかもしれないんだ。魔法屋もある程度雇うと、魔力の少ない者を雇わなくなるだろう? そんな奴は魔法使いになっても大成しないんだが、普通の仕事をやらせるよりは魔法を作ってくれた方が良い」
「そうだな。たとえ魔法を使える回数が少なくても、魔法を作れる事には変わりがないからな。受け入れ態勢は整っているんだが、如何せんそんな人が見つかる訳でもなく」
「魔力持ちと言うだけでも貴重だからな。まあ、1回しか使えないという奴も含めれば、それなりの数が居るんだが、流石にそれでは少なすぎるだろうからな。ん? 何だこれは? この紐は解いても良いんだろう? そうしないと魔法が見れないからな」
「ああ、解いてくれ。ただ、読み終わったらまた括っておいてくれ。今は完売して在庫が無いんだが、弟子の魔法と私の魔法を識別するために紐で括ってあるんだよ」
「なるほどな。そういう事か。面倒ではあるが、仕方がないのかもしれないな。面倒ではあるが。もう少し他の方法は無かったのか? 面倒を避ける方が良いだろう?」
「思い付かなくてな。裏面に名前を書くことも考えたんだが、裏面を使う魔法使いもいるとの事だからな。その案は没になった。他に何かいい方法があるのであれば、取り入れたいとは思っている」
「……直ぐには思い付かないな。解った。何かいい案があるのであれば、提案しよう。俺も毎回毎回解いて縛ってと言うのも面倒だからな。案があれば伝えよう」
「助かる。それと名前とクラン名を教えて欲しい。客の名前と顔は一致させておきたくてな。後は狩場も教えてくれると助かる」
「そうか。俺はコルランという。クランは掌握の審判者という所に所属している。狩場は平原の浅い所がそうだ。基本的にはワイルドボアを専門としている」
「掌握の審判者というと、ウィリアムという魔法使いが居なかったか? 彼もここの客なんだが、同じクランに所属しているはずだよな? 同じ名前のクランが2つあるのであれば知らないが」
「ああ、ウィリアムは居るな。小さいクランだ、よく知っているよ。そうか、あの出所が不明の魔法はここの魔法だったのか。確か、変わった魔法を使っていたな」
「変わった魔法であればここの魔法だろうな。読んでくれているから解っているとは思うんだが、まずは形が特殊なんだ。そこが一番違う所でもある。他の魔法屋では、そんな形の魔法は売っていないはずだからな。この店で買った魔法だと断定しても良い」
形が特殊なのは、作り方故致し方なし。不都合は特に無いとは思うんだけどな。都合が悪い事の方が珍しいとは思うんだが。形が特殊だから使えないって事は無い筈なんだよ。
これまで売れてきていると言うのが証明だな。形が悪くて使いにくいのであれば、既に他の魔法使いによって切り捨てられているだろう。他で買えなかったから、仕方がなく使うと言うのであれば、解らないんだが、そんな事は聞いたことが無いからな。
「使っていたウィリアムが何も言わないと言う事は、そういう事なんだろうな。使えないのであれば、連絡が来ていても可笑しくはない。逆に考えれば、使える魔法だと言う事だろう」
「そうか。それでだな、この店のおススメの魔法がこれなんだよ。雷属性の魔法なんだが、平原の魔物であれば、どの魔物にも通用する。買っていっても損はない魔法だぞ」
「雷属性か。たしかウィリアムも使っていたな。相性が良くないのは解っているはずなのに、何故か使っていたからな。気になってはいたんだ。そうか。ここの魔法だったのか」
「あと1つしか残っていないが、おススメの魔法なんだ。使い勝手は悪くないと思うぞ。まあ、森では使えない魔法なんだが、平原であれば問題なく使えるからな」
「そうか。それならば買っていってみよう。相性を調べるのであれば、どの魔法を買っても一緒だ。まあ、ウィリアムが使えたのであれば、俺も使える可能性は高いがね。癖が似ているとは思うんだ。魔法屋で買う魔法も似ているからな」
「そうなのか。使えるのであれば使ってくれ。クライヴ君、会計だ」
「はい。中銀貨1枚になります。……丁度頂きました」
「毎度どうも。またどうぞ」
行ったか。麻痺魔法が在庫0になってしまった。こんなこともあると言う事なんだろう。おススメの魔法だからな。無くなっても仕方がない。本当に便利な魔法だからな。使い手が増える分には問題ない。どんどんと使ってくれ。生産体制も見直さないといけないかもしれないが。




