40話 9/12 ジョージ来店、洗濯問題は解決
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カランカラン
「店主居る? 居るやんか。しかもなんやギースまで居るやん。買い物かいな。買い物やろなあ。ここの魔法は癖が無いからなあ。魔法は癖だらけやけど。魔力は癖が無いからなあ。スラムのクラン同士、此処の魔法屋を育てていこな? 近場にあるのはええことやからな」
相変わらず良くしゃべるな。元気なのは良いことだが、ギースとはそこまで相性が悪い訳では無さそうでいいがな。……アリアナとは相性が悪そうではあるのだが。
「ジョージでやすか。流石にここの魔法屋に来てやしたか」
「新しい魔法屋やで? 当然やろ。しかも使える魔法を置いてくれてある貴重な魔法屋やで? 使えん魔法を置かれとったら見捨てるけどな。使えるんやからええやろ。魔力の癖も無いし、ええ店やんか。広めたらなあかんで?」
「聞き捨てならないことを聞いた気がするんだが。使えない魔法を置く店があるのか?」
使えない魔法とはどんな魔法だろうな。単純に合う合わないで言っている訳ではなさそうな気がするんだが。一体どんな魔法を置いてあるっていうんだ?
「……使えない魔法といっても、実験用の魔法の事でやす。新しい文章で作った魔法を置いてあることがあるんでやす。それも一般の物と混ぜて売るあまり評判の良くない魔法屋があるのは事実でやす。
あっしは使ってないでやすが」
「自分も使うてないで? 当然やろ。実験品は実験品と言うて売らなあかんやろ。当然やけどそんな店はごめんやで? 魔力が合うのがそこしかなかったら別やけどな? 他にあるんやから他を使うっちゅう話や。商売を舐めとったらあかんで? 客はその店を見とるからな。自分は絶対使わへんで。安う買えるんやったら解らんでもないけどやで?」
「そんな店があるのか。知らなかったな。それは昔からなのか?」
昔からならとうに潰れていなければおかしな話ではあるが、そんな店があるとは知らなかったな。流石に実験品を定価で売ることはしないぞ? 半額でとりあえず様子を見るくらいだ。
「あっしが始めたばかりの頃はそうではなかったでやす。代替わりをしてからでやしょうなあ」
「ギースがそういうんやったらそうなんやろな。自分が買うた時は既にそんな状態やったわ。1回目で適当な魔法を掴まされたんや。忘れるわけがないやろ。しかも魔力の癖も合って無かったしな。そんな店二度と行かんわ思うて20年くらい経ったんか?」
「今もそんな状態かは置いておくとして、確かにそれはどうかとは思うな。実験品も売り出す予定ではいるが、半額でとりあえずは出す予定だぞ?」
20年前か。私の生まれる前の話だな。この二人はそれほどに魔法使いとして戦ってきているという訳だ。索敵魔法はギースにダメ出しを食らって封印処分としたわけだがな。
「そういや店主、今日もええ服着とんなあ。流石貴族様やっただけあるわ。何日も着まわす平民とは違いますなあ。でもそれ高かったんちゃうの?」
「服か? これは実家のごみを私がもらってきただけだ。私が居なくなれば着るものは居なくなる。当然ごみとして捨てられる訳だ。それではもったいないだろう? だから大量に貰ってきたという訳だ。もちろんこのことは誰にも言っていないがな」
服に関してはまだまだあるからな。多少豪華な服ではあるが、服なのには違いない。それに社交用の服は持って来ていない。あんな服は使う機会が無いからな。
「ごみなんやから伺いは要らんやろ? ええなあ。自分なんか5着しか持ってへんのやで? それを考えたらええことですわ。再利用再利用。物は言い様ですわ。ごみを使うて何が悪いって話やな」
「まあな。だが問題は洗濯が出来ないという事だな。服はまだまだあるが、洗濯の仕方が解らん。1日1着は着るだろう? そのうち着る服が無くなってしまうんだ」
そうなんだよな。洗濯問題はまだ解決していないんだ。1か月は何とかなるとして、それ以降はどうなる事やらだな。洗濯をしないといけないのは解っているんだが。
「洗濯ぅ? そんなん貴族の服も平民の服も変わらんやろ。みんな盥に入れて踏んでしまいやろ。貴族の服だけ違う洗い方はせえへんやろ? 素材が違うからか? そんな訳ないやろ。みんな一緒やって。そない変わらへんやろ」
「だがな、洗濯をやったことが無いんだ。盥は用意してあるんだが、加減なんかが解らなくてな。洗濯をしようとは思っているんだが、出来ないでいるんだ」
洗い方に違いは無いだろう。それは大丈夫だろうとは思うがな。貴族の服だけ特殊な洗い方をしているという訳では無いとは思う。流石にそれをやられていると、解らないんだが。
「そんなん冒険者ギルドへ依頼を出せばええやん。なんやったらギースん所のクランにやってもらえばええやん。自分とこのクランは冒険者ギルドに出しとるで。そんなんも依頼として受け付けてくれるんやからな。その分金は掛かるけど、必要経費やろ?」
「旦那、あっしのクランで良ければ洗濯は受け持ちますわ。1着をそうですな小銅貨1枚で受けますが、どうでやすか? 冒険者ギルドの中抜きがない分安く受けられやすが?」
「……そうか。冒険者ギルドに依頼すると言う手があったか。ならギース、頼めるか?」
そうか。こういうのも依頼に出せるのか。それであれば何とかなるかもな。貴族の服とて普通の洗濯で大丈夫だろう。駄目なら買えばいい話だからな。まあ多少はもったいないが。
「お安い御用でやす。何時頃向かわせやしょうか?」
「そうだな。とりあえず明日にでも寄越してくれ。金はその時払いで良いのだろうか?」
「大丈夫でやす。明日向かわせるでやす」
「よかったなあ店主、これで問題解決やな」
ああ、そんな手があるとは考えてなかったな。依頼を出すか。今後も出す可能性があるんだから慣れておかないといけないな。魔法ギルドにも出すことはあるだろうからな。
「では、そういう事で。この3つをお願いしやす」
「中銀貨3枚だな」
「旦那、魔力の色の情報料はどうしたんでやすか?」
「……解った。中銀貨2枚と小銀貨5枚だ。これ以上は負からん」
「流石旦那。話が分かる」
薄々感じては居たさ。そうなるだろうなとは思っていたさ。思っていたが、とりあえず定価を言うのは間違っていないと思うんだがな。まあいいさ。情報料なんだろう? そのくらいは出すさ。