397話 10/20 48人目の客
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落ち着いた所で、再度重ねがけ魔法の可能性を探っていこうか。精神干渉までされたんだから、重ねがけは有効だろうと結論を付けられる。ならばどの魔法を重ねがけるのかという話になってくる。
恐らくだが、魔法を1つ作る分の魔力量を持っていかれると思われる。そうであるならば、沢山の魔法を重ねがけするのは無理だ。在庫の関係があるからな。全部を重ねがけするのは無理だ。
であればどうするか。私的には麻痺魔法を重ねるのが良いと思っている。他の魔法を重ねるのは無意味だと思っているんだ。無意味とまでは言えないかもしれないが、現状でも良いと思っている。
魔法の殆どは、ゴブリン、ウルフ、ワイルドボア、アント、レッドベア、マッドフロッグ、マッドゴーレムに使われている。今の威力でも十分に機能してくれているんだよ。
数が増えるのは有効だろうとは思う。だが、威力は今以上に上げる意味は無いと思う訳だ。それなら2つ魔法を使った方が良いだろうという判断になると思っている。無理やりに重ねがけした魔法を使わなければならないという事は無いはずだ。
それであれば、中級魔法の素材になる魔物相手に使った方が良いと思うんだよな。タイフーンウルフ、レッドフレイムベア、ロードゴーレム、この3体に絞った方が良いだろう。
その内のタイフーンウルフに特化させてしまおうという訳だ。理由としては、タイフーンウルフを狩ってきている魔法使いが使用しているからだな。レッドフレイムベアとロードゴーレムについては、まだ知り合っていないんだよな。現状ではだが。
使わないものを作ってもな。必要であれば作るが、今はまだ必要ないだろう。売れ残る未来しか見えない。当然だが、単価は高くなるだろうからな。同じ値段では売れないだろう。
何処まで重ねがけが出来るのかという検証もしないといけない訳なんだが、一先ずは5段階くらいが目途なのでは? と思っている。初級魔法の中で収まるとなると、その位が限界だろう。
1度重ねがけをした魔法を+1と仮称すると、+4くらいまでは何とかなるのではないかという事だな。もしかしたら+5になるかもしれないし、+3で終わるかもしれない。
その手間につき、中銀貨1枚を上乗せするだけというのも違う気がするんだよな。値段は吊り上げても良いと思っているんだ。法外な値段にするつもりは無いんだけどさ。
+1が中銀貨3枚。+2が中銀貨6枚。+3が大銀貨1枚。+4が大銀貨1枚と中銀貨5枚。+5が大銀貨2枚としたらどうだろうかと思っているんだ。儲けは多少必要だろう。儲けないという選択肢は無いと思われる。どの魔法よりも優秀なんだからな。
仮定の話ではあるんだがね。中銀貨6枚が大銀貨2枚に化けるんだから、大きいと思う訳なんだよ。まだ実験もしていないというのに、金額の話をしているのも滑稽なんだが。でも出来るという確信はある訳なんだよ。今から考えていても早すぎるという訳では無いはずだ。
出来ればしっかりを売れる先を見つけてからという風にしたい訳なんだけどな。だが、タイフーンウルフを目的としているクランがあるんだから、大丈夫だろうと踏んでいるんだよ。スーザンなら買っていくだろうという憶測が立っているんだよ。あそこは本当に大きなクランだからな。
他にも目標としているクランは幾つかあれど、毎回のようにタイフーンウルフを狩っているのは、スーザンの所、闇を払う灯くらいだと思う訳だ。大量買いの常連だしな。
常備するのは難しいとは思うんだけどな。まずは1つから。とりあえずはでいい。そこからどうするのかは考えていかないといけないとは思うんだけどな。実験段階の前の話だからな。まずは何処まで出来るのか。それを調べる必要があると思われる。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「雨が強くなってきたな。本降りになってきやがった。で? 何でこんな所に魔法屋があるってんだ? いつからやっているのかは知らないが、いつ頃からやっているんだ?」
「やり始めたのは9月の始めからだな。見つからないのも無理はないとは思うぞ。立地的に考えれば、大通りに面した所でやるのが正解だっただろうからな」
「だろうな。うー寒い。魔法を見させて貰いながら、暖をとらせて貰うぜ。寒いのは苦手なんだ。昔っからそうなんだよな。暑いのはどうって事無いんだが、雨が降ると寒くて寒くて」
基本的には、この都市は暖かい。雪が降らない程度には暖かいんだがな。夏は厳しいくらいに暑いんだが。それでも雨が降ると多少は寒い。この寒がり方はもっと凄い気がするが。
寒さに耐性が無い人も居るのと同じくらい、暑さに耐性が無い人も居るんだよな。関係ないって人も居るんだけど、基本的には何方にも弱いのが普通だ。私は寒さは大丈夫だが、暑いのは苦手だな。
「ずっと7月だと嬉しいんだがなあ。特にこう、雨が降るのは駄目なんだよなあ。討伐も雨の日は最悪だし。声が震えて詠唱をとちる事が……あ? 何でこれは紐で縛ってあるんだ?」
「それについては弟子の魔法と私の魔法を区別するために括ってあるんだよ。解いてくれても構わないが、戻すときは括っておいてくれ。弟子の魔法は、今は売り切れてしまっていて無いんだが、私が白で、弟子の魔法が赤色になる。覚えておいてくれると助かる」
「ああ、そういう事か。まあ良いけどな。面倒だなとは思うがね。他にはどうしようもなかったのか? 何か区別をする方法があれば、あったらやっているよな」
「そういう事だ。それと名前とクラン名を教えて欲しい。客の名前と顔は一致させておきたいんだ。出来れば狩場も教えてくれると助かるんだが」
「ああいいぜ。俺はノームだ。クランは最後の水滴って所に厄介になっている。狩場は平原だな。1泊する事もよくあるから、それなりだとは思っている。こんな所で良いか?」
「ありがとう。それでだ、平原で狩りをするのであれば、この魔法がおススメになるな。雷属性の魔法ではあるんだが、平原の魔物であれば、どんな魔物でも効果がある事が確認されている」
「雷属性の魔法だあ? 何でそんな事になってやがるんだ? 属性相性的にあり得ないだろ。普通は風属性が主だろう? それにウルフ用に火属性か氷属性を持っていくってのが普通だ。雷属性1つで良いとなると、色々と変わってくるものがあるだろう?」
「まあ、それはそうなんだが、この魔法は属性攻撃を主とはしていない。効果で攻撃する魔法になってくる。効果を指定すると、雷属性になるだけなんだよ。理屈は難しくて言えないんだが」
「……まあ、確かに。威力はそこそこあるが、こういう効果は初めて見たな。不思議な魔法だな。これで本当に何でもに効果があるのかが解らねえ。どうなってやがるんだ? 使ってみない事にはちょっと、判断がつかねえな」
「何でもに効果がある訳ではないんだ。ゴーレム系には効かない。他は解らないが、まだまだ効かない魔物も居る筈なんだよ。ただ、平原では使えるってだけだな」
「ゴーレム系には効かないのか? まあ、平原に出てこないから別に良いんだけどよ。何でもは無理なのか。なんでなんだろうな。理屈で考えても仕方がないんだがな。気にならないかと言われたら、気にはなる。つっても、作れないんだから、理屈が解ったところでなんだよなあ」
理屈はなあ。電流について教えないといけないんだろう? そもそもの話、雷属性の攻撃がどういうものなのかも解っていないんだから、説明のしようが無いんだよな。
多分こうだろうという予測しかないんだよ。というか、電流についても詳しく教えてくれと言われても無理なんだが。電子が移動するって事なんだったか? 詳しい事は知らないんだけど。
「買って、使ってみるしか無いんだろうな。話していたって何も解決しないんだからよ」
「そうだな。使ってみて貰わないと納得は出来ないだろう。クライヴ君、会計だ」
「はい。中銀貨1枚になります。……丁度頂きました」
「毎度どうも。後は携行食屋の宣伝だな。1泊するって事は、携行食を沢山持ち込むんだろう? それの新しいのが大通りに面した店で売っているんだ。良かったら買ってやってくれ」
「は? 何で魔法屋が携行食屋を宣伝しているんだ?」
「話せばまあ、恥ずかしい話になるんだが、弟子が欲しいんだよ。そうなると、教会から弟子を斡旋してもらうしかない訳なんだが、金が圧倒的に足りないんだよ。だから、他の店もやって金を稼ごうとしている訳なんだ。新しい携行食は、美味くて暖かいから良いものだぞ?」
「はー、魔法屋も苦労してんのな。まあいいさ。温かいものは歓迎するぞ。食事番に言っておかないといけないかもな。新しい携行食ねえ。増えるのは歓迎するぞ」
「そういう訳なんだ。そちらも贔屓にしてくれると助かる。是非とも売り上げに貢献してくれ。強制するつもりも無いから、まずは試食分だけでも買っていってくれると有難いな」
「おう。そう伝えておくわ」
行ったか。携行食屋も流行ってくれると助かるんだよな。収入的な意味で。本業の魔法屋よりも儲かる事が解っているんだから。あっちは数量制限が無いからな。
人数が居れば居るだけ儲かる様になっているんだよな。初期資金は結構大変だとは思うんだけど、儲かっていれば、その内返って来るんだから、大丈夫のはずなんだよ。ライバル店が出てきても、競合はするんだろうが、初期資金くらいなら回収は可能だろうと思っている。




