35話 9/11 帰って来たぞ、アリアナ来店、5人目の客
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さて、帰って来たぞ。今は何時だ? 16時位だと思うんだがな。トラブルは1回あったきりだ。私は事故を起こしていないぞ。その位は何とか出来る。不慮の事故もあるにはあるんだが。
避けられない事故は仕方がないんだよ。疲れていて前をしっかりと見ていなかったと言うのが一番事故の可能性が高いんだ。巻き込まれ事故は御免なんだがな。
そんな訳で、荷車も所定の位置に止めて搬入作業の開始だ。とりあえず、割れては駄目な魔石インクをインク置き場に置いてくるとしてだな。皮紙も工房の中に詰め込んでおくか。
わざわざ2階の物置に置いておく必要は無いだろう。広い工房内だ。弟子が10人は作業が出来るスペースがある。まだそんなに場所も要らんしな。荷物置きに丁度いい。
単純に7往復するだけで時間が掛かってしまった。だが、荷物の搬入も終わったことだしな。店の方に顔を出しておくか。誰も居ないだろうがな。魔法ギルドに買い出しに行くと書置きをしておいた以上、待っている奇特な奴がいるのかという話だな。
「……やっと来た」
「すまん。待たせたみたいだな」
「……別に良い。ここが最後」
アリアナが居たぞ。それにここが最後か。何か所回っているのか知らんが、有難いことに何度も足を運んでもらっている。売れるのは大変嬉しいことなんだがな。
「それで、買うものは決まっているのか?」
「……今回はこれとこれとこれ」
「ふむ。風属性のウルフとゴブリンとマッドフロッグか、解った。中銀貨3枚だな」
「……はい」
「確かに。頂いたぞ」
アリアナの魔法を買いに来る頻度は凄く多い。それだけ試し打ちをしてくれているという事なんだろうが、それ以上によくもまあそれだけの回数の討伐を行うな。普通はもう少し休息を挟むと聞いているんだがな。短スパンでよくもまあ熟すものだ。
大きいクランなのは確定だろう。スラムのクランだろうとは思うが、確かカナリアの鳴き声だったか? 他に魔法使いがどの位居るのだろうな。解らんが、戦闘クランなのは間違いない。
「ちょっと待ってくれ。クラン内に他に魔法使いはいるのか?」
「……どうして?」
「魔法を使って見て欲しくてな。なるべくなら客数を増やした方が良いだろう?」
「……頼んでみる」
「ああ、よろしく頼む」
売り先は沢山であった方が良いからな。なるべく多くの魔法使いに認知されてくれれば嬉しい。大規模なクランに目を付けて貰えると一気に売り上げが伸びるんだがな。それは中々に難しいだろう。
「……次回は負けてくれるの?」
「情報があれば少しくらいは構わんぞ」
「……解った」
情報料は仕方がない。今は拡販の時期だからな。とりあえず広く沢山売らないといけないんだよ。なるべく多くの魔法を買ってくれると嬉しいんだが、風属性ばかりが売れるんだよな。
時期的なものだから仕方がないのは解るんだがな。対ウルフ用に火属性が売れても良いとは思うんだが、ウルフが来るのはもう少し先なんだろうな。冬場を向かえる頃になるんだろうか。
まあ何にしてもアリアナに3本魔法が売れたわけだ。……背負い袋を見るに、他にも魔法を買っていたみたいだがな。まあ当然か。使いやすい所の魔法は使うだろうからな。
私の店の物ばかりを使ってくれているとは限らんのだよ。それは仕方のないことだ。魔法使いにも魔法使いの事情があるんだ。自分の好みの魔法を使うのが良いのは確かだ。
さてと、風属性をもう少し補充しておくか。2階からスクロールを持ってこよう。何、まだまだストックは沢山あるんだからな。まだまだ大丈夫だ。風属性だったな。
とりあえず、これだけ並べておけば大丈夫だろう。……風属性のストックが少なくなっていてビビったがな。そんなに前に風属性ばかり並べていたかと思う程だ。並べているのは確かなんだが。
カランカラン
「ここか。初めて来たな」
「いらっしゃい。先に所属クランと名前を教えて貰えるか?」
「ああ、俺はタイラー。クラン「闇夜の殺戮者」の魔法使いだ。よろしく頼む」
「……クラン名から察するに夜に活動するクランか?」
「その通りだ。魔法を見せて貰うぞ」
夜に活動するクランもあるんだよ。魔物は夜になると活動的になりやすいからな。昼間に寝ているとは言わんが。魔物は睡眠を必要としていないと聞いたことがある。
本当の所は知らんが。知ってもどうしようもないと言うのが結論なんだが。私はあくまでも魔法屋なんだからな。魔物と対峙することはまず無いだろうからな。
それでこそ、都市を移動するとき位だろうが、そもそもこの都市を離れようとは思っていないのでな。必要な物は大抵揃う様になっているし、現地に行ったところで何も出来ずに終わるだけだからな。
ただ、人間は夜目が利かない生き物だ。よくもまあ月明りで魔物と戦おうなんて思うものだ。深夜の割増なんかも無いしな。成果は成果として数えられるが、それだけだからな。
「店主。魔法が一々変だぞ。見たことが無い魔法だ」
「まあそれが売りなんでね。形が変なのは承知の上だ」
「そうか。ではこれを。とりあえず1つ使ってみないことには話にならん」
「そりゃあそうだ。中銀貨1枚だよ」
「ああ、これで良いな?」
「毎度あり。またどうぞ」
……値切らなかったな。値切る要素が無いともいえるんだが。難癖を付けて値切ることは可能だ。値切られなくて良かったと見るべきなんだが。
とりあえず、また一つ売れたのと、客になってくれるかもしれない人を引き込むことが出来た。上出来だろう。とりあえず、1つだけでも売れたのは大きい話だ。
後は使ってみてからの好みだからなあ。好みが合わないとどうしようも無いからな。ともかく形が変なのはどうしようも無い訳で。変なのは承知の上で売っているからな。
何とかなるのであれば何とかしているさ。何ともならなかったんだから仕方が無いだろう? 兎に角そういう形にしかならなかったんだからな。売れてくれた。とりあえずはそれでいい。




