3話 魔法屋の準備は進めている、クランをターゲットにする
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貴族院の5年目だな。もういい歳で、15歳になった。この世界の人間の成長は早いのか、15歳で180㎝を超える身長となったわけだが、もう流石に伸びないだろう。
資金はいい感じに集まっている。最近は情報を拾えていないために、出費が増えているわけだが、まあ問題無いな。金は十分に用意できた。後は店を構えるだけだ。
それに伴い、最近は商品の準備もしている。各種属性や、形、特性毎に色々と準備を始めている。とりあえずは400枚のスクロールを準備している。全て初級だがな。
そこから売れ筋を見て商品を補充するといったことにしようと思う。初めから在庫を抱えても仕方が無いからな。初級が34枚作れるとは言え、毎日その量の魔法を作っていれば疲労で倒れてしまう。
スクロールを1枚作るにしても、時間が掛かるのだ。下書きをして、魔石インクで本番を描くにしても、30分は掛かってしまう。文字の歪みが威力や何からに影響が出るからな。作成には神経を使うのだ。さささという訳には行かないんだ。
建物自体は完成したので、後は卒業を待つのみなんだが、卒業すると晴れて平民に落とされるわけだな。いや、楽しみで仕方がない。平民の暮らしも悪くは無いのだよ。
基本的に上下水道は通っている。流石に水は一度沸騰させないと飲めない訳だが、最低限のインフラは整っている。生活するのにも苦は無いと思われる。
後は電気の代わりに魔石製品が出回っているという事くらいか。まあ魔石製品を買う平民がどれだけいるのかという話にもなってくるのだが。とりあえずは魔石ランプくらいじゃないか?
魔石ランプは魔道具職人の腕にも因るんだが、大抵は1年間は魔石を交換しなくて済む。魔石の値段は小銀貨1枚程度。ゴブリンの魔石でだって動くし、家畜から採れる魔石でも動くのだ。
そう、生きとし生けるもの全てに魔石は宿っている。勿論、人間にもな。ただし、人間の魔石と皮紙と血でスクロールを作ることは禁忌とされている。それも当然だとは思うがな。
威力に差が出る訳でも無ければ、何が変わる訳でも無いらしいが、作成段階で色々とあるらしい。呪いの一種と見られているのだが、教会からも禁忌指定されている。
正規で手に入るものでは無いがな。流石にそんなものは簡単に売られていたりはしない。私が買うところは魔法ギルド一択だからな。魔法ギルドでそんなものを売るはずはない。
魔法ギルドってのは冒険者ギルドや軍から素材を買い、皮紙の生産や魔石インクの生産をしている組織だ。国からの補助も入ってはいるが、民営の組織だ。当然都市からも援助を受けている。
スクロールの販売はしていないが、スクロールに必要な素材は売っているギルドという事だな。大抵の都市にはあるが、町には無かったりする。そういう時は商業ギルドの出番となる。
商業ギルドは商品になるものであれば何でも扱う。勿論禁忌に触れない範囲でな。魔法ギルドの無い町にスクロールの材料を届けるのが仕事の1つだ。スクロールも扱っているがな。
ただまあ、町や村にある魔法屋は自分で素材の解体からやってのける猛者が集まっている場合が多いので、必要最低限のものしか持っては行かないのだがな。それに場所の特性もある。
場所柄、どうしても特定の魔石インクが手に入らない場所もあるのだよ。そういう時には商業ギルドが活躍する。私もお世話になる。魔法屋の申請は商業ギルドの方なんだ。
魔法ギルドはあくまでも素材を売るギルド。スクロールの販売は商業ギルドの範疇だ。当然ながら税金も払わなければならない。商業ギルドに売り上げの1割を納めて、そこから税金が都市に支払われる仕組みとなっている。
売り上げだからな。純利益では無いのだよ。だから原価も考えて商売をせねばならんわけだな。そうなるとやはりコスパが良いのは文字列閥になるだろうな。皮紙の形も気にしなくていいからな。
私の店では初級を中銀貨1枚、中級を中金貨1枚で扱おうとは思っている。原価を考えるとこのくらいの利益は欲しい。これで原価率が2割なんだ。皮紙が大半を占める訳なんだ。
その分使い勝手は保証しよう。詠唱文も読みやすければ、短いからな。とっさの判断で魔法を使えることは確かだぞ。市場を見て回ったが、このくらいが相場だった。原価の計算まではしていないがな。文字列閥や散文閥は安いのは確かだな。
となると、後は冒険者ギルドについても説明しておいた方が良いか。冒険者ギルドは国や都市、他ギルドや個人からの依頼を仲介し、冒険者に仕事を斡旋する組織だ。これも国や都市からの補助は入っているが、民営だな。
冒険者と言っても内容は多岐に渡る。町中の雑用から高難易度の討伐依頼まで、幅広く仕事があるのが冒険者だ。伊達に人口の1割が就いている訳ではない。
安全な物は町中での依頼だな。これはスラムの子供たちが主に受ける。スラム以外の子供たちも小遣い稼ぎに受けるが、メインはスラムの子供用だ。そういう人間も含めて冒険者なんだよ。だから人口の1割なんて馬鹿らしい数字になる訳だが。
比較的に安全なのが採取の依頼だな。薬師に錬金術師が必要とする素材を取ってくるのが仕事だ。戦闘は行わなくていいというか、行う前に逃げろが鉄則だな。討伐依頼では無いからな。
討伐依頼となると、報酬もグッと良くなる。良くなるのだが、命の保証は無い訳だな。大抵はクランで動くが、野良の討伐パーティーもあるにはある。
この世界の魔物は群れやすい。ゴブリンの討伐依頼でも、1戦闘に15から30のゴブリンを相手にすることが多い。斥候や食糧集めに出ている少数の敵とあう事もあるが、稀だな。
だからこそ、討伐をメインにする冒険者はパーティーではなく、クランを作る。1つのクランで小さい所だと30人から、大きな所だと500人規模のクランがある。
そのクランには少なくとも1人は魔法使いがいるんだ。小さい所はいない可能性もあるんだが、大きなところだと、間違いなく魔法使いがいる。その人たちをターゲットに商売をするわけだな。
後もう少しだ。もう少ししたら卒業だ。卒業と同時に商業ギルドに申請に行って、魔法屋を始める。この5年間の研究の結果が出る訳だな。どうなるか楽しみだな。




