300話 10/8 26人目の客
OFUSE始めました。
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ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
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さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
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クライヴ君の魔法が売れたことは良かった。これで、クライヴ君が居ても、おかしくない事になるからな。誰とも合わないって事は、余程じゃないとあり得ないんだが。
それに、クライヴ君の魔力の色は赤だ。絶対に合わないというのは、あり得ないんだよ。事実、合っている人がいるわけだしな。それに、合いすぎる人も出てきた。
合いすぎるのは、理由が解らない。何故そうなるのかは、解らないんだよ。魔力の色が関係しているとは思うんだが、全員を鑑定する訳にも行くまい。面倒この上ないからな。
研究は、研究者に任せるとするさ。私のやることでは無いんだよ。その内公開するんだ。誰かが研究するだろう。好きにしてくれればいいんだ。私は、魔法屋をやっている方が良い。
研究職も魅力ではあるんだが、魔法屋よりは、したいとは思わない。日々、何かに追われながら作業をしないといけないのは、なんだか、肌に合わない気がする。したことが無いから、思うだけで、天職の可能性はあるんだが、無い様な気がしている。
楽しんで、研究が出来る人でないと勤まらないし、私は魔力の色的に不向きなんだ。透明な魔力は珍しい。一般的な魔力の持ち主の方が研究者としては勤まるだろう。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「新しい魔法屋発見! こんな所にもあったんだ~。これは、東側にも遂に西側と同じ現象が起きたのかな? 西側もこんな所に結構あるし。東側も散策しないといけなくなったかなあ?」
随分と元気な魔法使いが来たものだな。正直な所、元気がある人の方が扱いづらいと思っている。自分で勝手に解決していってくれる方が助かるんだよな。
だからと言って、寡黙な魔法使いが良いのかと言われたら、それも違うんだよ。アリアナみたいなタイプばかりだと、話も出来ないからな。多少は話が出来る方が良い。
が、限度というものがあるんだ。元気過ぎても、何も無いんだけどな。単純にテンションに追いつけないと言うか、やり辛いだけと言うか。簡単に言えば、苦手なだけなんだがな。
それで、何故か、魔法よりも店舗の方が気になるようで、きょろきょろとしていたんだが、魔法を見ることにした様だ。そして、躊躇することなく、紐を解いた。
うん。色々と色んな人が言ってきたことを、何事も無かったかのように読み始めるのは、流石だと思うね。天然なのか、常識的な事なのかは、知らないが、彼女にとっては、常識なのだろう。
いや、悪い事ではないんだ。誰も、括ってある紐に関して、感想を言ってくれとは、思っていない。スルーで良いんだが、スルーされると、それはそれって気分になるんだよな。
「ああ、その括ってある紐なんだが、識別用の紐だから、読んだらまた縛っておいてくれ。弟子の魔法は、……今は、この1つしかないが、これと混ざるのは避けたいんだ」
「あ、そうなんですね。でも、面倒なので、また縛ってください。うちはその分、魔法を読みますので。じゃあ、これ、渡しますね」
……多分だが、天然なんだろうな。悪気を感じない。悪意には、ある程度敏感なんだが、それが全く反応しない。そうか。これが天然か。貴族にはいないタイプの人間だな。
貴族は、他人に好意があるか、悪意があるかの2択と言っても良いんだよ。その2つで構成されている。感情が無いタイプもいるにはいるが、興味がない系の感情なんだよ。
これが天然というタイプか。初めてのタイプだな。前世の記憶でも、余り記憶にないタイプなんだ。悪い事をしている訳ではないんだが、平然と人に押し付けるのは、なんか、凄いなとは思う。
まあ、括るがね。そうしないと混ざるし、普通に何度も渡してくるんだから、質が悪い。そういうタイプなんだと諦めるしかないんだよな。多分だが。
「そうだ。そうだった。名前と所属を教えてくれないか? 客の顔と名前は一致させておきたいんだ。何かあった時に、呼びにくいしな」
「うちですか? うちはナターシャって言います。クランは「混沌の覇者」に所属してます。これで良いですか?」
「ああ、それでいい。まあ、なんだ。魔法はしっかりと見て行ってくれよ」
「勿論ですよ。なんだか、変な魔法ですけど、ちゃんと読みますって。その位は、魔法使いの常識ですからね。読まないと始まらないじゃないですか」
「まあ、そうだな。それとだな、この店のお勧めの魔法は、これなんだ。雷属性の魔法なんだが、平原の魔物には、どの魔物が相手でも役に立つ。使ってみる気はないか?」
「うちらも平原で戦っているので、使ってみたいですね。見せてください。あと、こっちは縛っておいてくださいね」
……まあ、良いか。こういうタイプなんだ。諦めるしかないな。まあ、何とかなるだろう。今後もこの調子なんだろうか。そうなんだろうな。悪気が無いんだから。
「うーん。とりあえず、使ってみない事には、解らないですね。魔法が変ですし。とりあえずは、これとこれを買っていきます。後は、使ってみてから考えます」
「そうか。中銀貨2枚だな。……確かに」
「じゃ、次は解りませんけど。良かったらまた来ますね」
行ったか。なんともまあ、元気な女性だった。……年上、だよな? 大分小さかったが。身長は触れないのがお約束だからな。気にする人も居るんだから。
でも、あのタイプは、気にして無さそうな気がするけどな。触れない方が良いのは、その通りなんだが。触れても良いことは無いんだよ。地雷の可能性があるんだから。
まあ、クライヴ君の魔法も買っていってくれたから、良しとしておくか。そうしておかないと、色々と解らなくなってきそうだからな。天然は怖い。何を考えているのかが読めないんだ。




