294話 10/7 25人目の客
OFUSE始めました。
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ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
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さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
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魔法は作り方が肝になってくる。作り方を知らなければ、思ったようには作れない。特に詩集閥や散文閥なんかはそうだ。定型の文章があったりするんだよ。それを組み合わせて作る手法が一般的だな。1から作る方が珍しい。研究者でも、5割くらいは定型文を入れるんだよ。
その作り方が間違っているとか、そういう話じゃないんだ。間違ってはいない。どんな作り方であれ、ある程度の魔法になる事は確定しているんだから。1からだとそんな事は無いんだけどな。
1から作る場合は、本当にランダムになる。何がどの属性になるのかもよく解っていない中で書く訳だから、相当な技量の持ち主でなければ、碌な魔法にならない。
それでも、作る人は一定数居るんだよな。主に研究者だが。新しい魔法を作っては、定型文を作り出し、それを後世に伝えていくような変人が、まあ、稀にいる。
ただそれも、民間人に卸してくれれば良いんだが、そんな事はしてくれないんだよな。基本的には軍で使いまわす用の魔法なんだ。普通の魔法屋には降りてはこない。
普通の魔法屋にも卸してくれれば、色々と捗る様な気がするんだが、そういう訳にはいかない。平民側に、貴族への伝手が無さすぎるんだよ。どうしようも無い事なんだよな。
知識は、広めた方が良いとは思っている。独占する旨味もあるが、既に広まっている知識に少しだけ足す位の事はやっても良いとは思っているんだよ。魔法陣魔法も後で広めるんだし。
魔法陣魔法は、広める。新たに派閥を作って貰う。そのように動くつもりでいるんだ。難しいかもしれないが、飛びつく者は、何名かいるとは思っている。
研究をするにあたって、遅れているものは、何人も居るんだから。新しい技術となっては、飛びつかずには居られない。先駆者となるチャンスなんだから、それを掴みに来るだろう。
それもこれも、後1年程待ってからだがね。私が発表をするんだから、先駆者になるのは私だ。追い抜いて貰うのは良いんだが、優位は保っていたい。それが私の考えだ。
その内追いつかれ、追い抜かれるだろう。それはそうだろうな。日夜研究をしている者とは、差が出てきて当然なんだ。私がやっていることは、商売なんだからな。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「俺としたことが。こんな所に魔法屋があったなんてな。今日は運のいい日だな。こういった魔法屋を見つけるのは、運が必要だ。飛び切りのな。そうだろう? 店主よ」
「運が必要だというのは、認めるよ。正直な所、メイン通りに作ればよかったと思っているくらいだ。見つけてもらうには、運が必要になってくるだろうな。仕方が無い事ではあるんだが」
「そうだろうそうだろう。俺は運が良い。新しい魔法屋を見つけることが出来たんだからな。しかし、やらなければいけないことがある。それは、魔法の見極めだ。使える魔法なのか確かめる必要がある。じっくりと見させて貰うぞ」
「ああ、気が済むまで見て行ってくれ。そして、買ってくれると助かるな。見ての通り、魔法は沢山余っている。自分に合う魔法であれば、是非とも買いに来てくれると嬉しいな」
自信家のようだな。魔法を見る前に、魔法屋を見つけた自分を誇っている。自信家と言えると思うんだけど、それ以上に、自分が好きなのかもしれない。
こういうタイプは、放っておくに限るんだよ。ある程度の所で、線引きをしないといけない。関わり過ぎても面倒になってくるだろうからな。売り込みはするけどな。
流石に何も買っていかないという事は無いとは思うが、何を買っていってくれるのかだよな。それと、名前とクランも聞き出しておかないとな。警戒人物としてな。
「ん? 店主よ。これでは中身が見えないではないか。解いてしまっても良いのだろう? 言われなくても解くがね。中身が見れなければ買う気にもならないな」
「ああ、解いてもらっても良いものだよ。それは、私の魔法と弟子の魔法を区別するための物なんだ。出来れば、括り直してもらえると助かる。そうしないと、魔法が混ざるからな」
「縛り直すのは、そちらでしてくれよ。俺がするのは面倒だ。さあ、これを縛り直すんだ。俺は次の魔法を読むからな。そうするのが、一番良いだろう? 時間の効率は大切だぞ?」
「まあ、その位は構わんが。それと、所属のクランと名前を教えて欲しい。顔と名前は一致させておきたいんだ。なるべく覚えるようにしているんだよ」
「ふむ。俺に興味があるのか。良かろう。俺はブライアン。クラン「幻想の帳」に所属している。活動場所は平原だ。そこで俺の力を見せつけている」
「そうか。平原であれば、この魔法をお勧めしよう。雷属性の魔法なんだが、平原の魔物には何でも使える魔法になっている。使ってみるのはどうだ?」
「良いだろう。この俺が使ってやろう。自慢にするといいぞ。俺が直々に使ってやるんだからな」
「ああ。それと、こっちが弟子の魔法になる。これも使ってやってはくれないか? 弟子もまだまだ修行中なんだが、中々に良い魔法を作るんだよ」
「ほう。成る程成る程。何方かが合えば良いと、そういう事だな? よろしい。では、この2つを買っていくとしよう」
「解った。クライブ君、会計だ」
「はい! 中銀貨2枚になります。……丁度いただきました」
「毎度どうも。またどうぞ」
「ふっ。使ってみてからの話にはなるがな。俺は運のいい男だ。何方かは使えるだろう」
……行ったか。この手のタイプは、非常に面倒なんだよな。自分が正しいと思い込むタイプだからな。扱いは、非常に簡単なんだが、変な方向に飛んでいくこともあるからな。
おだてれば、簡単なんだが、結論が何処か違う所に行くことが多々ある。貴族には多いタイプの人間だな。貴族社会を思いだすような人だった。まあ、何度も来るんだろうけどな。




