29話 9/11 荷車の行列、やってきました商業ギルド
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さて、平民街を抜けて貴族街の外周に来た訳だが、後はここを北上しながら円弧を歩いて行けば商業ギルドに着く。それなりに時間が掛かっているが、1時間程度だ。
私の歩く速度は他の人よりも早いらしい。荷車を引いていたとしてもな。……まあ多くの人間が荷車を引いているわけなんだがね。今の時間帯はまあ多い方だね。
食料関係の仕入れが終わって、次は鍛冶屋や服飾関係の見習いが荷車を引いている。どいつもこいつも仕入れ先か商業ギルドからの帰りだろう。今はそう言う時間帯だ。
当然流れの様なものはある。ここからは他の荷車とぶつからない程度の速度で行かなければならないからな。もう少し速度を出せるだろうとは思うんだが、仕方がないよな。
遅い人に合わせるんだから遅くなるに決まっている。荷車には当然だが、名前や店名が入っている。それの何処が遅かったなんて陰口を叩くやつまでいるんだからな。
私の荷車だってガブリエル魔法店の名前が4方に書いてある。左右と前後だな。前は引いている体が邪魔して見えないが、荷車を探すときには便利なんだ。だから4方に書いてある。
流れを辿っていくのだから、恐らくは2時間くらいは覚悟しないといけないのだろうな。今回の流れは私から思えば遅いが、遅すぎもしないと言うくらいの流れだな。このくらいであれば文句は言われまい。言う方も言う方だとは思うがな。
これだけ荷車が密集していると、事故は起きる。事故が起きたら周囲から手助けが入る。そう言う決まりなんだよ。流れをぶち切りにして貴族が通るときがあるからな。
当然ながら貴族が優先だ。邪魔をするなら轢き殺す程度の事はやってのける。格差故致し方なし。その位違うという所のアピールなんだろう。
自分の所の産業の担い手を殺しておいて何だとは思うのだがな。それが貴族というものだ。私は貴族籍を抜けて清々しているよ。傲慢な者にはなりたくないものだな。
ただ、今回の私は幸運なようだった。貴族の出入りも無ければ、事故も無かった。1時間程度で商業ギルドまで来れてしまったんだからな。運が良いな。
事故や何やらのトラブルは付き物なんだよ。それが無かったと言うだけで凄く有り難い。面倒が無くて済むからな。誰もかれもが転生前の国のスキルを身に着けているとは思わんことだな。
転生前の私の国は凄かった。密集地でも誰一人としてぶつからない。荷物にも当たらない。恐らくは特殊な能力が備わっていたのだろうと思う。私にもあるのだろうか。
さて、商業ギルドに着いたわけだが、商業ギルドの3階へ上がっていく。商業ギルドも3階建てなのは変わらない。ただ、異様に広いというのは言うまでもないがな。
1階は契約関係や税金関係の話をするところと、家賃の支払いを代行するところ、後は駐車場がある。家賃の支払いは本来であれば、城へ直接届けなくてはならないんだが、貴族街に入ると殺されるからな。
そんな訳で、商業ギルドが代行して集金をしている。これの手数料は勿論都市からがっつりと奪っている。貴族が平民を貴族街に入れるのならば譲歩しても構わないという戦法で利益を掻っ攫っていったわけだな。ぐぬぬと貴族の歯ぎしりが聞こえる。
聞こえるが、商業ギルドを敵に回すことは貴族であろうと、領主であろうと不可能だ。教会への最大の出資者が商業ギルドであると言う時点で解るだろう。教会が敵に回りかねん。
教会のやっている役割を税金を使ってやろうとすれば、莫大な金がかかる。人も集めなければならん。そんな事をやってられるかと言うのが本音だろうな。
教育を施さねば、兵としても使えん上に、魔法兵を見つけることも出来なくなる。魔法は精霊語で書かれているからな。それを読むに教育が必要だ。教会とは縁を切れないのだよ。
で、2階部分だが、卸売りの業者が利用するのがこの階層だ。各地から鉱石や綿花、その他諸々を集めてきているのがこの階層だ。当然出入りも多い。ここが1日中最も繁盛するところだからな。
私が用があるのは3階部分だ。ここは商業ギルドの商品を並べてある場所だ。知っている鍛冶師や細工師が居るのであれば、そちらを指定すれば良いのだが、知らない人も多い。
それに無名の者に取っては代理販売でも名前が売れる方が良いんだ。たとえ利益の1割を引かれようとも、代理販売にて名を売る方が良いと言う事もあるんだからな。
そんな無名の職人の見本市が商業ギルドの3階だ。色々とあるぞ。調味料から錬金術師の触媒まで。多種多様の物が売られている。勿論名前と住んでいるところを宣伝してな。
私が買いに来たのはコンパス、またはディバイダだ。とりあえず、何処にあるのかが解らんからな。そんなものが存在するのかどうかも解らん。無ければ作るだけの話なんだが、まああるだろう。ここに無い物は無いと思いたいくらいには広いからな。
さて、まずは店員を探すところから始めないといけない。このだだっ広いところで簡単に見つかるのかと思いきや、簡単に見つかったな。しかもベテランの様だ。期待は出来る。
「済まない。商業ギルドに円を描く道具が無いか探しに来たんだが」
「円を描く道具となるとコンパスだね。こっちに来な。置いてあるよ」
さて、思った以上に簡単に見つかった上にコンパスもあるとはな。これは幸先が良いな。どれ、コンパスとやらを見せて貰おうじゃないか。
「さて、ここがコンパスの売り場さ。買うなら待っててやるよ。どれにするんだい?」
……迷うな。本当に多種多様のコンパスがあるじゃないか。種類だけでも20種類は超えるな。大きさも考えると裕に200はあるな。これから選ぶのか。まあまずは大きさで判断しよう。
皮紙の大きさが決まっているんだから、それに合わせればいい。何、そんなに難しい作業じゃないさ。適度な大きさの物を買えば良いんだからな。どれにするかな。