285話 10/6 ギース来店
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食事を終えて帰ってきてから、魔法を並べて今に至る。いつもの作業は終わったんだ。後は、客が来てくれるのかどうかにかかっている。毎回それで悩むんだ。
来てくれるのは、嬉しい。商売になるから、来て欲しいんだけど、中々客は増えていかないものなんだ。一気に増えてくれると嬉しいんだが、そういう訳にもいかないらしい。
特に、毎度毎度来てくれる人がいるとは限らないんだよ。客の来ない日だってあるだろうし、何ならそれが、今日かもしれないんだから。待つのも仕事だ。
この辺は、慌てても仕方がない。どうにもならない事だからな。焦ったところでなんだよ。徐々にでいい。人が来てくれれば、それでいいんだ。
とはいえ、この時間帯に来る人は、限られている。開店してから1時間弱。もうそろそろ来てもおかしくはない。早い人であれば、そろそろやってくるだろう。
まだまだ開店と同時に人が入ってくる店ではないからな。魔法は余っているんだ。魔法が全て売れてからが本番と言ったところだ。まだまだスタートラインにも立てていない。
魔法屋として、色々と考えないといけないのは、これからなんだよ。全部売れてしまった。明日はどうしようかと考える。これが出来て、初めて魔法屋をやっているといえるんだろうと思う。
厳しい見方なのかもしれないが、他の魔法屋では、普通の事だからな。私の店だけ特別扱いしてくれとは言えないからな。普通側に回っていかないといけないんだ。今後も考えるとな。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「ゆっくりとしていきやすよ、旦那。旦那の方も商売はどうですかい? 始めてから色々あったでやしょうが、この在庫を見ている限り、上手くやっているんでしょうなあ」
「そうでもないがな。上手くやれているように見えて、そうでもないという事がままあると思っている。特に客足については、どうしようもないな。まだまだこれから増えていってもらわないと困る」
「それはそうでやしょうなあ。メイン通りと同じようには、客は入らんでしょうからな。しかし、それも時間の問題でやしょう? 着実に増えて行っているんじゃないでやすか?」
「まあな。増えてくれている。幸いなことにな。魔法使いに見つけて貰うというのが難点だが、それ以外は上手くやれているとは思うな。今の所はという所ではあるが」
脇道にある店で、1か月しか経っていないという事を考えると、まずます、上手くいっている方だろう。もっと客が少なかった可能性も十分にあり得る。
その辺は、不幸中の幸いという所だろうな。魔法使いが、思ったよりも行動的で何よりなんだ。ルーティーンを守る系の魔法使いでは、見つけてくれないだろうからな。
寄り道をしてくれる魔法使いが見つけてくれていると、思わないといけない。有難い事だな。奇特な魔法使いが多い事を願っている。そうしないと、魔法が売れてくれないからな。
「まあ、そんな悲観することでも無いでやすね。商売というものは、1年経ってみないと解らないことが多いんでやす。冒険者も同じでさあ。1年間、使ってみないと解らないんでやす」
「そうなのか? 冒険者だと、見切りを付けるのが早そうなイメージが勝手にあったんだが、そういう訳でもないのか?」
「クランに寄るとしか言えんでしょうな。大きいクラン程、見切りは早いとは、よく言われやすが、あっしの所だと、1年は見習いでやす。抜けるのも好きにしてくれって感じでやすな」
「そうなのか? もっと早い段階で見切りを付けるものだとばかり思っていたんだが、そうでもないのか。イメージだと、4,5回の狩りで見切りを付けるのだとばかり思っていたな」
「大きな所はそうでしょうなあ。所詮は弱小クランなんでやす。スラムの中では、大きいってだけのクランなんでやすよ。スラムの外に出ていけば、もっと厳しいクランがあるんでやす」
「そうか。大手の方が厳しいのは、何処も一緒か。魔法屋もそうなんだろうな。大きな所程、人材を見極めるんだろうな。それが割と多くあると」
「魔法屋は、仕方がないでしょうな。利益に直結する事でやすから。厳選をするほどの体力がある訳では無いでやしょうが、足きりをする体力くらいはあるでしょうな」
「漏れなく足きりにあったのが、このクライヴ君だからな。私の店にとっては、有難い事ではあるんだがね。早々に弟子が採れるとは思っていなかったからな」
「そうでやしょうなあ。弟子ともなると、色々と超えないといけないものが付き物ですからな。魔法使いになれるだけの魔力も持っていないと、厳しいでやしょう?」
「そうだな。一番は魔力だな。それと、辞めないという心が無いと、採用は厳しい。他店に秘密が漏れると、どうしようもないからな。それが一番困る事だ」
「信用が出来て、魔力もそこそこ欲しいと。そういう人物でないと、厳しいという事なんでしょうなあ。それが無かった、魔力が無かったからこそ、こっちに回って来たとも言えやすが」
「まあな。そんな弟子が、作った魔法がこっちにある。こっちも見て行ってやってくれ。出来は確認しているが、悪くはないぞ。後は、魔力の相性が合うかどうかだけだな」
「一番はそれでやしょうね。まあまずは魔法を見せて貰わない事には始まらないでやす。どれが、お弟子さんの作った魔法になるんでやすか?」
「こっちの赤い紐の奴だ。混ざらない様にすると言っただろう? これなら、余程じゃない限り、混ざらないはずだからな」
「これで混ざっていたら、悪意しか無いでやしょうな。拝見いたしやす」
じっくりと見てやってくれ。そして、あわよくば買っていってやってくれ。試してもらわないといけないんだよ。合うか合わないか。それが問題だからな。




