28話 9/11 1家屋3世帯、スラム広すぎ問題
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さて、荷車を押して歩いているわけだが、今は東通りの北側2番目の道路を通っている。東の中央通りに出ても良いんだが、混雑するであろう中央通りを避けるのは当然と言えば当然だな。
その分荷物が盗まれにくいってのもあるんだが、この道が一番近いからな。そんな訳でコロコロと荷車を転がしながら進んでいく。何処も彼処も見たことがあるような風景だ。
建物の規格が殆ど一緒だからな。3階建ての住宅が沢山並んでいるわけだよ。大体が3世帯住んでいるんだよな。1世帯で住むと家賃が高くなるからな。3分割すれば安くて済む。
その辺は生活の知恵だよ。当然ながら場所によっても値段は違う訳だがな。中央に近ければ近いほど家賃は上がる。その分生活の質も上がる訳だがな。外周部分は質が悪いとは言わんがね。
因みに私の店は丁度真ん中位にある。冒険者ギルドに近い所で、建て替え時期の建物を選んだからな。元居た住人は既に引っ越しており、帰ってこないのは確認済みだった。
古かろうが、新しかろうが、家賃は変わらない訳だからな。家賃は場所で決められている。それ以外の要因では殆ど決まらない。当然だが、例外はあるもんだ。既にスラム化してしまっている場所は安い傾向にある。治安を維持出来ていないからな。
スラムと一括りに言っても、実は3種類も存在するんだ。総じてスラムと言っているからな。区別は必要ないと思っているんだろうが、そうは思わんのだがな。
まず第1つ目。スラムと言っても過言では無いスラムだな。建物は真新しいが、誰もそこには住んでおらず、路上で生活をしている人たちが多くいる区画だ。
都市の景観の維持に執念を置いている大都市ラッセルクルーでは割とよくある風景だったりする。それが最外周の地域に当たる。その辺りの治安は基本的には維持していない。
兵士の巡回も疎らだ。年に数回見回りに来るのかどうかと言ったところか。要するに建物が無事に建っているのかを確認する役割だな。放火等は殆どないがな。放火があると、中央の城から魔法が飛んでくるんだよ。それが中級魔法なんだから質が悪い。
放火以上に都市を破壊するわけだが、放火魔もそれで死ぬことが多い。だから放火なんて馬鹿な真似をする奴は少ない。……少ないだけであるからな。
不慮の事故というものは絶対に無くせない。だから稀に火災は起きる。勿論消火はされる。……魔法でな。初級か中級か。それは何で決まるかと言う事だ。
初級の範囲で収まるのであれば、被害は軽微で済む。中級だと割と洒落にならない規模の被害が出る。火災で焼けるよりも魔法での被害の方が大きくなる。
これが第2のスラムの条件。初級魔法で届く距離にある建物以外で、最外周を除いた所を指す。割と洒落にならない範囲がこの第2のスラムだ。ぶっちゃけ都市の半分はスラムと言っても過言では無い。
大体中心にある城から最外周を囲っている、距離にして3分の1程度がこの第2スラムとなっていて、住人の半分以上が住んでいるのがこの第2スラムだ。
そう、都市が大きすぎて、約半分の面積がスラムになってしまっているんだよ。かなり馬鹿らしいだろう? ここまでの範囲が人の命よりも建物の値段の方が高いと言われている地域でもある。
火災で大げさなとは思うのだがな。ある程度は仕方がない。そう思っているんだろう。火災は放置すれば火の海になるからな。殆どの建物が木造なんだ。延焼が止まってくれるはずがない。
そんな訳で、火災の関係でスラムと呼ばれる地域が多いというのは明白な事なんだよ。誰が悪いわけでもない。悪いのは消火の方法を考えた馬鹿野郎だ。初級の届く範囲に行ってから魔法を使えば解決する問題なんだよ。移動時間で消火できる規模を超えて、結局は中級魔法を撃つんだろうが。
それなら軍の駐屯地を幾つか設置して、魔法使いを常駐させれば良い話なんだがな。魔法兵は城に集められるんだよ。各門を仕切っているのも軍なのにな。これが格差というものさ。
で、第3のスラムは、初級魔法で消火できる範囲内で、尚且つ、通常よりも治安が悪い所を指す。冒険者で作られたクランはここの事が多いな。スラムのクランと言っても一般人よりは稼いでいるんだ。
当然ながら出入りは多い。第3のスラムに拠点を構えたは良いが、第2スラム落ちするクランも少なくはない。要は稼げるか稼げないか。それだけの違いなんだよ。
稼げるところの方が、安全に暮らせる。初級魔法程度であれば、余程の逃げ遅れが無い限りは逃げられる。そう言う認識で構わない。
そんな訳でスラムが3種類もあるんだよ。私の店は第3スラムには近いが、初級魔法の射程圏内だ。流石に冒険者ギルドを第2スラムに作らないだろうからな。
昔は良かったんだ。冒険者ギルドがあの位置で。あの位置が昔は最外周付近だったんだから。それが色々と条件が重なった結果、今の位置に落ち着いているんだよ。広げ過ぎだと言ってやりたいが。
正直な所、第2スラムはやり過ぎだろうと思う。軍の駐屯地を物見櫓の様な形にしておいて、魔法兵を常駐させれば、第2スラムなんて無かっただろうからな。言っておくが、普通の町並みだからな。誰もかれもが普通の人だ。一般人だ。安いからそちらに住んでいるだけなのだよ。
正直な所、私は第1スラムがスラムであると言ってもいいとは思うんだよな。それもこれも城からの景観を気にしているこの都市の領主貴族が無能なだけだ。トリスタン伯爵家もその片棒を担いでいるわけなんだがな。何も言わないんだから。
もう少し何とかなる気はするんだが、景観の方が重要らしい。人命には代えがたいと思うのだがな。貴族にとっての平民とはその程度の事なんだ。私個人としては物申したいがな。
既に貴族籍を抜かれている身。どうしようも無い訳でな。取り入ろうとも思わん。面倒なだけだからな。貴族と関わり合いになることなど、今後は後1度あるだけだ。
魔法の作り方の発表にはどうしても貴族院に行かなければならない。それは仕方が無いから行くが、それだけで済ませるつもりだ。……上級魔法を作れれば話は別なんだがな。