26話 9/10 アリアナ視点 4度目の狩り、魔法の限界
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全く、うちのクランリーダーはせっかちだねえ。また行くらしいよ。4回目だ。前衛が持つのかどうかだね。ともかく数を熟すらしいよ。元気な事さ。あたしは別に構わないけどね。
魔法使いは問題ないさ。魔法の補充だけでいいんだからさ。あたしだって使った魔法は補充している。それに今日は試したいこともあるんだよね。まずは現地に着いてからなんだけどさ。
ウルフの魔法のポテンシャルを測りたいんだよ。何処まで追い立てに行くのか。あたしが視認していないといけない訳じゃないみたいなんだよね。じゃあ何処まで追い立てに行くのか調べないといけないじゃないか。
探索を魔法に頼りすぎるのは良くない事なんだけどねえ。斥候の役割だからさ。そうは言うが、魔法の範囲にも興味がある。少しばかりは問題ないさ。
問題があるとすると、乱入になってしまう事なんだけど、それもどうだろうね。あたしの判断で良ければだけど、魔法での乱入は成果を貰えない気がするんだよ。
だって、誰が打ったか解らないだろう? そんな魔法に分け前をくれてやることなんてないというのがあたしの判断さ。嘘を付くことだって出来るからね。それは拙いだろう?
すべてのクランが良い所ばかりじゃないんだよ。悪いところだってあるんだ。難癖をつけてくるクランとはあまり付き合いたくないもんさ。それは誰だって一緒だろうがね。
まあ交渉事はクランリーダーがする事なんだけどさ。クランマスターって言っているところもあるみたいだけど、あたしらはクランリーダーだね。マスターっていう奴もいるけどさ。
そんなことはどっちだっていい訳だよ。要はリーダーが誰か解ればいいんだからさ。うちのリーダーはしっかりとしているタイプだとは思うよ。今年はちょっとせっかちになってるけどね。
さて、とりあえずは目標位置に来たわけだが……土塁がやられているね。これの痕跡を辿っていけば十中八九獲物とかち合うだろうさ。これは幸先が良いねえ。これだから朝の早番は止められないんだよね。総取り出来るからさ。
畑も荒らされてるし、此処に来たのは間違いないんだ。さて、痕跡を追っていくよ。どのくらいの群れなのかは行ってみないと解らない訳だけど、あの荒らし方を見るに結構大きな群れなんじゃないかと思っているわけだ。腕がなるね。
すぐかと思ったが、1時間ほど移動したかねえ。目標は見えた。前方に50ほどの群れか。なかなかだね。さて、リーダーは誰を指名するんだろうか。あ、ワイルドボアの群れがこっちに気が付いたね。
「ロバート、マーク、アリアナ。魔法を頼む」
「了解。『ブアエトロイト。クリツ。デルトレア。トト。ファラーレイ。ジョグレンティア。ラア。トリトレントル』」
「解った。『狂い混ざれよ旋風。混沌の宴は踊り回る。天に召しませ大空の矢。其処だ其処だと狙い打つ』」
「……『卑下した狂風はゴブリンを荒れ狂わせる』」
魔法が次々と飛んでいく。ゴブリンは走っていくがね。矢よりは遅いが、球と遜色がないくらいの速度がある。これで空中を走れればねえ。無理なんだろうがね。
「行くぞ!」
「「「「「おおおおおおおおおおお!」」」」」
……やっぱり威力は十分だね。突進を止められるだけの威力は十分にある。範囲から言えば、ゴブリンの方で十分だね。ワイルドボアがもう少し範囲があればそっちを使おうと思うんだけどね。
突進さえ止めてしまえば後は何とかなるんだよ。あたしは出来るとは思えないけどね。魔法使いはあくまでも魔法使いさ。その仕事に特化した奴には勝てないんだよ。
乱入は無し。ここまで来て乱入されても堪ったものじゃあないけどね。今更来て分け前を寄越せと言われても困るからねえ。まあ来る奴は来るんだろうけどね。
マナーのなってないクランもあるんだよ。あたしらのクランはまだマシな方さ。乱入に値しないと見たら傍観するからね。負けていたら助けるけどさ。それが助け合いってもんだろう?
あたしがやるわけじゃないけどね。あの魔法屋の魔法にも、敵味方を識別する魔法はなさそうだったんだよね。いや、敵味方を識別する魔法はあったんだけど、使えるかの問題でさ。
ウルフの魔法なんてまさにそうさ。敵と味方を識別する。人と魔物をと言った方が良いかもしれないがね。奴らはそれが解っている。だから迷わず追い立てに行くんだからさ。
今回は無駄打ちさせてもらうよ。ウルフの魔法をね。どうなるかは解らないが、そこまで酷い結果にはならないさ。あたしはそう思っている。範囲が何処までか調べるだけさ。
さて、積込が終わったみたいだね。じゃあ提案するか。金は掛かっているが、試し打ちなんてよくある事さ。提案するだけはしてみようか。
「……クランリーダー、提案」
「アリアナか。どうした?」
「……魔法の試し打ちをさせてほしい。無駄かどうかは解らない」
「そうか。まあ試すことは悪い事じゃない。やってみろ」
「……解った。『迷わぬは風の狼。群れで獲物を呼び寄せる』」
さて、ウルフが走って言ったね。……恐らくだが、そっちの方にワイルドボアの群れが居るんだろうさ。恐らくだがね。まあ後を着いていくのが良いんじゃないかな。追いつけないけど。
「……あれを追いかける」
「そうか。まあ行ってみるか。斥候、頼んだぞ」
さて、全体がそっちに動き始めた。あたしの考えていることが正しければ、一番近い群れに突撃していったはずなんだがね。移動方向も悪い方向では無いしね。
どこまで行ったか知らないが、ともかくそっちの方向に行けば獲物が居ることは間違いないと思うんだ。移動してしまっていたら解らないけどね。まあ行くだけ行ってみるさね。
1時間半ほど歩いて、傷だらけの群れを見つけたときは、此処までは来たんだなという反面、これ以上の距離は無理だったんだなと思った次第さ。まあ十分だろうさ。
とりあえず、3時間くらいが限界点かねえ。それ以上は魔法が持たないと。3時間でも異常な長さだろうとは思うけどね。まああの魔法屋の魔法が常識的だったことがあまりないからねえ。
形からして可笑しいんだ。範囲が可笑しいこともあるだろうさ。あたしは嫌いじゃないよ。便利な魔法だとは思うさね。便利な魔法は悪い事じゃないさ。
この群れも美味しくいただいたがね。まだ荷車には余裕がある。もう少しだけ粘ってもいいかもね。欲張っていこうじゃないか。魔法の補充も考えないといけないね。