255話 10/1 初めて自分の魔法を売った感覚は?
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
クライヴ君の魔法が初めて売れた訳なんだが、どうだろうな。思うところがあるのかどうかだな。緊張しているし、それどころでは無いのかもしれないが。
「どうだい、クライヴ君。初めて自分の作った魔法が売れた感覚は。良いものだろう? 自分の中で噛み締めるといいぞ。何度味わっても良いものだからな」
「……本当に売れたんですよね。まだ、よく解っていないんですけど、これはお試しなんですよね? 今度買って行ってくれるのが、本当なんですよね?」
「まあ言いたいことは解るが。とりあえず、今回買って行ったのは、お試しだ。自分の魔力の色に合うのかどうか。それを試すんだよ。試した結果、どうなるのかは、解らないが」
「でも、売れたんですよね? 初めて作った魔法が売れた。それは凄く良いことなんですよね? まだ、よく解っていないんですけど、これから、こういうことが沢山起こっていくんですよね?」
「ああ、そうだ。今後も沢山の人が、クライヴ君の魔法を買って行くだろう。カレンさんは土属性魔法を欲していたから、買わなかったんだろうし、タイラーは欲しい魔法があるから、見送っただけだ。試してみたいと思う人は大勢いるという事を覚えておけよ」
「はい。でも、なんだか不思議ですね。売ったって感じがしないんですよ」
「あくまでも、お試しだからな。1つ目なのは、もっと噛み締めても良いと思うけどな。これからはどんどんと売れていくだろう。そこで合っていれば、また買ってもらえるんだ」
「そうなんですよね。合っていれば、また買ってもらえるんですよね。合ってくれているといいなあ。どうなんだろう。解らないのが、もどかしいですね」
まあ、解らんでもない。初めて魔法を売ったのは、私の場合はギースだったが。開店していきなり来た客だったからな。今でも覚えているくらいだ。
売ったと言う感覚は、無かったな。流れでそういう風になった様な気がする。だが、あの時が最初だったわけだ。魔法屋としての始まりだったわけだ。
その感覚は、後になって来てからの方が大きいだろう。今はまだ、よく解らない感覚だと思うんだよな。初めて魔法を売った感覚を忘れてはならないと思っている。大切な感覚なんだ。
売れて当たり前と思ってきたら、末期だ。それは駄目なサインだ。初心を忘れてはいかんのだよ。何事にも初めてはある。その時の感覚ってのは、一生ものだからな。
「なるべく、今の感覚は忘れてしまっては駄目だからな。驕り高ぶれば、何処までも行ってしまうからな。地に足を付けて商売をしなくてはいけない。決して傲慢になってはならないんだ」
「解りました。でも、この感覚って、結構不思議な感覚なんですけど、これを覚えていたら良いんですか? 良いのか悪いのかよく解らない感覚なんですけど」
「ああ、今日の夜にでも実感するとは思うがね。今の気持ちを長く持ち続けることが必要だ。そうしなければ、客は離れていくし、魔法屋を続けていられなくなるだろうからな」
たかが1つ、されど1つ。今の感覚は忘れたら駄目な感覚なんだ。実感は後から付いてくる。この感覚を忘れると、商売人から、金稼ぎ人になってしまうんだよ。金さえ稼げれば良いとなってしまう。
商売は、信用が命だ。客に愛想を尽かれては駄目なんだよ。客が離れ始めたら、その店は終わりだ。幾ら魔法が足りないからって、信用できない店で買いたいとは思わないからな。
色々とやってはいけないことはあるんだが、私の店でも対策しているように、魔法を混ぜて売ってはいけない。それは、当然の様に感じるかもしれないが、これも注意しないといけない。
相性がものを言うからな。合う合わないがある以上、混ぜては絶対にダメなんだ。普通は混ぜない。普通でない状態になるから、そう言う事をし始めるんだよ。
商売人は傲慢になってはならない。驕り高ぶれば、簡単に信用を失ってしまう。簡単にだ。そんな事は無いと思っていたらいけない事だ。信用が無いと、身動きが出来なくなるのが商売だ。
新規の客は来るかもしれない。だがしかし、リピートはされないだろう。どの魔法が当たりなのかが解らないんだから、当然の事ではあるんだけどな。店長がそれをやったら、お終いなんだ。
クライヴ君には、今の感覚を大切にしてもらいたいね。なるべく店を長くやっていきたいのであれば、そうしなければならない。魔が差せば、直ぐにでも、店は窮地に立たされるからな。
後は、堅実にやっていけば良いんだよ。難しい事を考えるよりも、堅実にやる方が正しいんだよ。商売ってそういうものだからな。難しく考えても、答えは出ない。簡単な所にあるんだよ。
何はともあれ、初めて魔法が売れたんだ。1つだけでよかったと思う。下手に完売をしていたら、驕ったかもしれないからな。まずは1つ。そこから始めれば良いんだよ。
クライヴ君がどうなっていくのかは、私次第な所もあるからな。しっかりと育てないとな。自分の魔法に自信を持たないといけない。まだ無理だろうが、自信は持たないといけない。
そうしないと、お客さんに魔法の説明が出来ないからな。多分こうだと思いますでは駄目なんだ。こうなるからどうですかと売り込めるまでに至って貰わないといけない。
魔法屋も商売だ。売れなければ意味がない。売れてこそなんだよ。後は、どれだけ相性が良い人が来てくれるのかに因るんだがね。大丈夫だろうとは思うけどな。
さて、それじゃあ昼飯に行くとするか。昼からは、魔法を作らないといけないからな。在庫は気にしなくても良い。積み上がるのであれば、積み上げておけばいい。その内売れていくさ。




