254話 10/1 18人目の客
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
魔法屋では、魔法を売っている。それは当然の事ではあるんだが、それだけで本当に良いのかという事もあるんだよな。魔法屋だからって魔法だけしか扱ってはいけないと言う決まりは無い筈だ。
だが、何を扱うのかと言う事もある。何を扱えるのかという事なんだよな。魔法以外に。魔法屋として、成り立てば、一番良いんだが、それ以外のものは売っては駄目なのか。
駄目ではない。だが、何を売るんだという話ではあるんだよ。冒険者の魔法使い相手に、売れるものがあるのかと問いたい。答えとしては、そう簡単に見つかる訳がないだ。
それで、商売が成立するのであれば、誰だって売っているという話なんだよ。簡単に言うが、魔法を作って売るのでさえ、難しいと言うのに、他のものも売ろうとしてはいけないだろう。
魔法でさえ、常連が来てくれないと、売れないのに、何を言っているのかと思うかもしれないが、売り上げを少しでも上げようと思えば、魔法以外に売るものが無ければならないんだよ。
魔法は限界まで作っている。それ以外に出来ることが無いのか。魔法使いが欲しいものは無いのか。そう思っているんだが、現実、そう上手くはいかないものなんだ。
魔法使いが欲しいものが何か解るか? 解る。これがあれば、欲しいと思うのは確実だ。魔法使いであれば、誰だってほしいだろう。それを思い付いたから、こんな話をしている訳で。
ただ、作り方が解らないんだよな。どうしろと言う話ではあるんだが、もし、これがあれば、絶対に売れるというものがある。それが、魔力回復薬だ。
魔力が回復すれば、魔法を何度も使えるんだ。これが必要にならない訳がない。限界があるのは解っている。自分の魔力量以上は回復しないんだろう? 解っているとも。
それでも、魔力回復薬があれば、色々と変わってくることがあるんだよな。そう、魔法を作るのにも、魔力は必要なんだよ。単純に魔法を作れる数も増えるんだよな。
まあ、そんなものがあれば、貴族が秘匿していると思う訳で。そりゃあ戦略物資だもの。絶対に市井に出回る前に、回収していると言う話である。軍事物資として価値が高すぎる。
あればの話だがな。そんなものはない。だから作ろうとは、思わんのだよな。作れる気がしない。作れる訳がない。そんな時間は魔法屋には存在しないんだよ。
研究が必須だからな。多分だけど、鑑定魔法を酷使しながら、魔力の動きを把握して、薬を作らないといけないんだろうな。前世の様に、MPが減ったから、回復しようなんて事は出来ないんだよ。
出来れば、世界は変わると思う。そりゃあ変わるさ。持っている方が戦争を吹っ掛けに行くだろう。魔法を無尽蔵に打てるんだから、まずは戦争をするだろう?
まあ、一魔法屋には関係の無い話ではあるんだがね。魔力が回復すればいいなあと思っただけだ。思いはしたが、出来ないのだから、仕方がない。出来たら出来たで問題が出てくるんだけど。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「ここも魔法屋なのか。初めてきたな。こんな所に魔法屋があったなんてな。知りもしなかった。店主、魔法を見せて貰うぞ。見極めなければならない」
「ああ、見て行ってくれ。そして、買って行ってくれると助かる。後は、何処の誰なのかを教えてくれ。店に来た人には、皆に聞いているんだが、所属と名前を教えてくれ」
「俺のか? 俺はデニスだ。所属クランは「魂の運び屋」だな。平原で狩りをしているクランで、そこまで大きくはない。一般的なクランだとは思っている。よろしく頼む」
「ああ、こちらこそよろしく頼む。出来れば、長い付き合いになれると嬉しいな」
「こちらもそれを願っているよ。ん? 店主、この紐は解いても良いものなんだろうな? 中身が見えないが、そう言う売り方をしている魔法屋は無いが、良いんだよな?」
「ああ、解いてくれても構わん。と言うのも、弟子と2人で魔法屋をやっているんだがな。弟子の方の魔法と混ざるといけないだろう? だから識別用に紐で括っているんだ」
「ああ、そう言う事か。了解した。確かに混ざっていると、何が何なのかが解らなくなるからな。困るのは、客も店側も同じという事か。ただ、面倒ではあるな」
その通りだな。面倒ではある。あるが、混ざってしまうよりはマシだろうと言う判断だな。混ざると、本当に解らないからな。同じ魔法を作っているんだから、混ざると本当に解らない。
それの防止策なんだが、何ともな。もっと別の方法があるのかもしれないが、コストが掛からなくて、簡単に出来ることと言えば、このくらいしか思い付かなかったんだ。
面倒な部類の話でよければ、裏面に作成者の名前でも書いておけば良いんだろうが、それはかなり面倒だ。魔法を作り終えてからの作業が面倒すぎる。
「それとだな。この店の売りとなる魔法はこれだ。雷属性の魔法ではあるんだが、平原の魔物であれば、効果はあるはずだ。今の所、検証中の魔法ではあるんだが、ゴブリンとワイルドボアには効いている。予想が正しければ、ウルフにも効果はあるはずだ」
「そんな魔法があっていいのか? 属性を無視していることになるぞ? 普通であれば、在り得ないと言わせてもらう所だ。風属性の間違いじゃないのか?」
「いや、雷属性であっている。生物系統の魔物であれば、効くはずなんだ。ゴーレムには、効きが悪いとは思うが、それは試してもらわんことには解らん。今、検証をしてもらっている途中の魔法ではあるんだが、効果については、自信を持っている」
「そこまで言うのか。まあ買ってみるか。弟子の方の魔法も1つ欲しいし、とりあえず、この3つだな。それで? 金額は幾らなんだ?」
「クライヴ君、会計だ」
「はい。中銀貨3枚になります。……丁度頂きました」
「毎度どうも。またどうぞ」
「とりあえず、魔法の使い心地を試してみてからだな。また来るかはその時に決めるとしよう」
行ったか。形が気に入らなければ、確定で来ないんだけどな。形はどうにもならんからな。話題にしなかったという事は、そこまで形を気にしていないという事なんじゃなかろうか。
麻痺魔法はいいぞ。平原であれば、無双出来る筈なんだ。ウルフにも効いてくれると思うんだがな。効かない訳が無いんだよ。理屈だけを考えればな。魔物が理屈で動いていればなんだけどな。




