249話 9/30 クライヴ君魔法を書き上げる
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「あの、書けました。一度見て貰っても良いですか?」
「ああ、構わんよ。どれ……うん、よく書けているじゃないか。これなら問題無いだろう。売り物にもなるはずだ。この調子で、どんどんと作っていってくれ」
「はい! 解りました!」
クライヴ君は30分程かけて、1つのスクロールを完成させた。まだ完成はしていないか。精霊がどのように読み解くのかが問題になってくる。だが、第一関門はクリアしたと思われる。
後は、精霊の気分次第だろう。どんな精霊が読み解くのかで、違いが出てくるかもしれない。私の物と全く同じになれば良いが、どうだろうな。その辺りの検証もまだだからな。
普通にしていれば、普通に同じような魔法が出来上がるんだ。魔法陣魔法が普通の魔法であればの話になってくるんだが、それは解らないと言うしかない。
私的には、そこまで変わったことをしているとは思っていない。普通の魔法の領分で作っていると考えている。特殊な工程は必要としていない。図形を描くくらいだからな。それが、精霊に特殊だと思われるのかどうか。流石にそれで判断はされないと思う。
解らん以上は、どうしようも無いんだけどな。私しか作れないという事は、無い筈なんだよ。魔法というものは、作り手に依存することは無い筈だ。あくまでも、精霊に依存する。
同じように書けば、同じ魔法が出来上がる。そのはずだ。そう在ってくれないと、困る事にはなるんだ。ある程度は同じ魔法になってくれないと困るんだよ。
まあ大丈夫だろう。大丈夫で無かったら、対策を考えれば良いんだから。……対策を考えられる人が居ないと、魔法屋として、続けられないから、出来れば、同じであって欲しいんだけどな。
そんな訳で、クライヴ君が魔法の作成に掛かり切りになるために、私が偶に店番をしつつ、魔法を作っている。時間の短縮くらいは、やってのけるさ。作り慣れているんだから。
大量生産のコツは、先に図形を全て描いてしまう事だ。同じ魔法を作るのであれば、先に円と三角形か四角形を描いてしまうんだ。そうすれば、後は、文字を書くだけだからな。
それが、出来ないクライヴ君は、1つ1つ作るしかない。明日の分も作っておくのであれば、似たようなことは出来るだろうが、それはまた、次の工程だな。
作る魔法を絞ること。大量生産の基本でもある。同じものを作る方が違う物を作る時よりも簡単なんだ。同じ工程を辿ればいいだけだからな。
私は、そうやって時間を短縮させている。特に麻痺魔法なんかは、9枚同時に描いている。図形さえ描いてしまえば、後は文字を配置するだけだからな。それ程苦労することは無いんだよ。
「あの、すみません。この魔法なんですけど、四角形の書き方が解りません。どうしたら良いんでしょうか?」
「ああ、これを書くのか。となると、一度十字に線を書かないといけないな。そうしなくても出来るんだが、まずはそうした方が良いな。それで、十字の書き方だが……」
まあ正方形の書き方は、正三角形よりは、難しいからな。書き方を覚えて貰うのには、時間がかかるかもしれない。どうしても、二等分線を多用するからな。その方法しか知らないんだ。
45度を測る道具があれば、簡単なんだろうが、コンパスだけで描こうとすると、少し厄介なんだよ。作れなくは無いんだがね? 45度なんてありふれた形だからだな。
道具を作って貰う事は可能だろう。だが、コンパスだけで描けるのだから、描くのに慣れて貰った方が良い。その内、教える立場になるんだからな。道具は少ない方が教えやすいからな。
思ったよりも、簡単だから、心配はしなくても大丈夫だ。コツもある程度描いていれば、掴めてくる。頑張れ、クライヴ君。恐らくだが、この部分だけは、先進的な数学の話だからな。
数学が発展しているわけではない。どちらかと言えば、文学の方が発展している。数学者というのは、数が少ない上に、そもそも何の役に立つのかと言われることが多いから、立場が低いんだ。
魔法の基礎は、文章だからな。スクロールの基礎は文章なんだ。魔道具は知らない。向こうは数学の世界なのかもしれないが、貴族院で数学をやっている人は少ないな。
如何にして、いい魔法を作る文章を作るのかに心血が注がれている。数学には見向きもされない。論文閥くらいだろう。何かの論を立てる時に数学という手段を取る可能性はある。
まあ、そんな面倒な事をやりたがる派閥だ。数学もやっていることだろう。何かの研究が魔法になるのだから、どういう理屈なのか、さっぱりと解らないんだがね。
所詮は精霊が決めていること。私たちが介入できることではないんだ。何を正解とするのか。何の属性へと変化させるのか。全ての事項は精霊が決めている。
もし、論文閥が、世界の法則の一部を解明したとすれば、もの凄い上級魔法が出来上がるだろうとは思っているが、そんな天才がポンポンと出てくるのかという疑問もあるんだ。
天才が出てきて、かつ、論文閥に所属しなければならない。そんな偶然があるのかどうかだな。中々ないとは思うぞ。論文閥の未来は、暗いかもしれないな。
派閥としては、そこそこの規模があるんだがね。皮紙を大量に使うから、私は好みでは無かったが。早い内に、魔法陣魔法へと移ったとも言えるがね。魔法と言えば、魔法陣だったからな。
なんにしても、クライヴ君の魔法の作成には、時間がかかる。それは仕方が無い事なんだ。すらすらと書かれても、困ってしまう。私の苦労が何だったのかとなるからな。
難しくはない。されども、簡単という訳にも行かないんだ。覚えないといけないことは幾つかある。それを覚えて貰えば、後は、文字を書くだけだ。それで魔法は完成するんだよ。




