242話 9/29 17人目の客
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色んな人に魔法を試してもらえる。こういう環境になってきたことが嬉しいな。初めはどうなる事かとも思ったが、なんとかなるものだ。徐々に客も増えてきているしな。
増えてくれないと困るんだ。私が困る。困っても、助けてくれる人は居ないからな。身分を完全に抜かれてしまっているんだから、仕方が無い事ではあるんだけど。
身分があったところで、面倒なだけなんだがね。下手な身分なんかよりも、自由の方が良いと思う訳だ。何事にも縛られない方が、何かと動きやすい。
偶に欲しくなる時もあるけどな。陳情を上げる時なんかは、身分が欲しい時もある。無いのとでは、雲泥の差があるからな。平民の陳情を何処まで聞いてくれるのかという事になる。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「ふむ。こんな所に魔法屋があったのか。知らなかったな。いや、建物からするに、最近できたばかりなのか。しかし、店主よ。立地の悪い所を選んだものだな」
「ああ。初めは、冒険者ギルドに近いし、スラムにも近いから、その客が見込めるだろうと思っていたんだが、考えるまでもなく、メイン通りに作った方が良かっただろうな」
「そうだろうな。立地の悪さは、開店当初に影響する。軌道に乗り始めたら、そう言う事にはならないとは思うが、初めが難しいだろう。耐えるしか無いな」
「ああ、そうさせてもらうよ。それで、名前とクランを教えてくれるか? 一応、来た客の事は覚えておきたいんだ。客数も少ないからな」
「わかった。俺は、マシューだ。クランは「情熱の調停者」に所属している。狩場は、平原だな。今はクランを大きくしている最中という訳だ」
立地が悪いのは、もうどうしようもない。昔の私に言わないといけない事だからな。後悔は、先には来ないんだ。やってみて解ったことだからな。それは仕方がない。
だが、こうして見つけてくれる人もいるんだ。なんとか経営はやっていけると思っている。軌道に乗るまでがもの凄く大変だとは思うが、仕方がないからな。
それで、平原を狩場にしているんだな。まあスタンダードなクランという所か。東の方で活動をするのであれば、平原になるからな。その辺は普通だよな。
「む。店主よ。これは、スクロールを縛ってあるが、解いても良いのか? それとも中身を見せないつもりなのか? 流石に中身を見せないと言うのは、どうかと思うぞ」
「ああ、それは解いてもいいやつだ。というのも、誰が作った魔法なのかが解らなくなっては、困るだろう? それを防止するために紐で括ってあるだけだからな」
「ああ、混ぜる馬鹿も居るからな。それを防止するためか。しかし、手間になるのは頂けないな。何か、他にいい案が無いのかと探してしまいそうだ」
「何かいい案があるのであれば、こちらとしても教えて欲しい。見てすぐわかる事と言えば、色紐で括るくらいしか、思い付かなかったんだ。面倒を掛けるのは済まないと思っている」
「混ざるよりはマシだろう。こちらとしても、了解した。そう言う配慮があることは、有難い事だからな。誰の作った魔法なのかが解らないと、買いようが無い」
だと思うんだよ。これ以上にいい案があれば良いんだけど。一目で解るとなれば、これが一番いいんじゃないかと判断したまでだ。確かに面倒ではあるんだけどな。
それは、ある程度は仕方がない。間違えるのを防止するためなんだからな。間違いはどうしても起こるものなんだ。悪意があれば、簡単にそうなってしまう。
「ふむ。変わった形だな。見たことがない。店主、この形に意味はあるのか? 威力や他の事については、申し分ないとは思うが、形がどうにもな。普通の魔法とは感覚が違いそうだ」
「形については、それが標準だな。普通の魔法の様に出来なくはないが、威力や範囲が狭まってしまう。それでは、その形以外にする意味が無くなってしまうからな」
「そうか。形が特殊なこと以外には、普通の魔法、よりは強いか。形を犠牲にして、威力を上げたとも取れるな。試してみない事には、何とも言えないが」
「平原で使う分には問題無い筈だな。それよりも、こっちの魔法を見て欲しいな。こっちは、最近売り出し始めたんだが、平原では中々に使い勝手がいい魔法に仕上がったと思っている」
「どれ。……ふむ、雷属性なのか。しかし、これは、効果が他の魔法と異なってくるのか。どうなるのかは解らないが、これは効果を重視した魔法という事でよろしいか?」
「ああ、そうなる。効果を元に考えた魔法だな。雷属性になったのは、効果からになる。他の属性になる事は無いな。雷属性の攻撃である事には変わりがない」
「そうか。まあ使ってみない事には、解らんという事か。薦めるという事は、既に実験は終わっているんだろう? 後は、好みに合うのかどうかと言ったところか」
「そう言う事だな。好みであれば、継続的に使ってくれると嬉しい。準備はしておくが、人気になれば、売り切れる事も視野に入れておいてくれ。流石にその魔法ばかりを作る訳には行かないからな」
「まあ、そうなるだろうな。ある程度の偏りがあるのは仕方がないが、偏り過ぎるのも問題だからな。今回は、この2つを買って行く事にしよう。継続するかは、魔法次第だ」
「ああ、そうしてくれると助かる。クライヴ君、会計を」
「はい。中銀貨2枚になります。……丁度頂きました」
「毎度どうも。またどうぞ」
「今後も利用する魔法屋であってくれる事を、俺も望んでいる。それではな」
行ったか。年はギースと同じくらいに見えたが、流石に魔法使いの寿命は長いな。前衛なら、引退していても、おかしくはない年齢だろう。白髪が増え始めた頃合いだったな。
見つけてくれたことには感謝をしている。見つけてくれるまでが勝負だからな。魔法に関しては、そこまで心配はしていないんだよ。多分だが、また買ってくれると思っている。
どうなるのかは、解らんがね。何かと便利な魔法だと自負しているからな。これっきりだと思っては居ない。後は、クランの人に買って行ってもらえるのかという事くらいか。




