241話 9/29 ジョージ来店
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客が入り始めたという事は、買い物が終わりに差し掛かっているという事だ。時刻は8時30分過ぎ。ギースは終わるのが早かったな。急ぎの用事も無ければ、そんなところなのかもしれないが。
魔法屋を見終わるのが早いという事はだ。買っているものがそこまで多くないという事でもあるんだよ。回る店を限定しているという事だからな。欲しい魔法以外は買わないという所か。
もう少し、買って行ってくれても良いんだけどな。仲間の分も買って行ってくれ。そうは言っても、他の魔法の方が使いやすかったり、私の魔法に慣れすぎるのも怖いと言ったところか。
便利な魔法であることは、確かなんだろう。売れているという事は、そう言う事なんだ。だが、魔法を1つの魔法店からの購入に依存するほど、怖いことは無い。
一番いい店で買いたいのは、誰もが思う事なんだ。それは当然だろう。一番いい魔法が良いに決まっている。が、それでは駄目なんだ。魔法が無かった時に、何も出来ないからな。
臨時休業なんかされた日には、暫くの間、活動できなくなるんだよ。だから、魔法屋を何店も回るんだから。依存は駄目なんだ。出来る限り、依存はしない方が良いんだよ。
依存しても、問題ないくらいに、魔法を作れれば良いんだけどな。そんな訳には行かないからな。魔法を作る数量にも限度はある。1日に作れる量に限りがあるんだよ。
それでも、買い占めると、色々と怖い事もある。買い占めに走ると、他の魔法使いから、恨みも買ってしまう。あいつが買い占めたせいでってなる。依存者が多いほど、そうなりがちなんだよ。
だから、魔法は色々な魔法店から買った方が良いのはその通りなんだ。色々な魔法に慣れておかないとな。後々困ることになるのは自分だから。用心はしておかないと。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「店主~邪魔するで~」
「邪魔だけするなら帰ってくれ」
「そんな訳ないやん。勿論買って行くで。しかしなんやな店主。ちゃんと乗っかってくれるところが好感触やわ。冗談も解らん店もあるんやで? 少々のボケはツッコんでくれんとな」
「解るボケならな。解らんものには反応は出来ん。私の精度はそこまでよくないと思っておいてくれ。期待するほど、ツッコミに慣れている訳ではないからな」
ボケはツッコまれてなんぼの世界だからな。ボケ倒しという事もあるにはあるんだが、あれは難易度が高い。私には無理だ。天然のなせる業だとも言える。私は天然ではないつもりだ。
しかし、この手のジョークはかなり気を遣うんだ。初対面の人にはやるんじゃないぞ。切れられて終わりというパターンも存在する。ボケる場所は考えないといけない。
その点ジョージは、来店数も多いし、買ってくれることも多い。多少は慣れてきたという事なんだろう。良いことだな。難易度の高いボケは止めて欲しいが。
「おん? 店主店主。なんか縛ってあるで? これはあれか? 中身は見せん気なんか?」
「いや、中身は見てくれ。見ないで買うのはよっぽどだろう。それは、識別用に紐で括っただけだ。今後を考えると必要だろう? 混ざるといけないからな」
「ああ、そう言う事な。なんや、好きな魔法も選べん店になったんかと思うたわ。そうかそうか、弟子もとったし、そう言う事を気にせなあかん様になって来た訳やな」
「他の所は、どうやって識別しているんだ? 生憎、他の方法が解らなくてな。紐で括るのが一番簡単で早いと思ったからそうしたんだが。何か、他にいい方法があるか?」
「……無いなあ。そもそも、分けて置いてあるからな。買った方も誰のか大体解って買ってるからな。偶に混じってる店もあるけどな。もう使わんって決めたとこの店やけど」
「客に悪意があれば、混ぜたりもするだろう? それは避けたいから、こういう処置をした訳なんだ。本当に悪意があれば、これでも、混ぜることは可能なんだが」
「そこは、見はっとくしか無いやろな。流石にそんな事は出来へんとは思うけどな。自分もやらんし。そんな暇あったら、詠唱の練習でもしとけって話になるやろ」
「それは、確かにその通りだな。悪戯はされないようにはしているんだ。後はしっかりと見張っておくさ。クライヴ君も気を付けておいてくれ。何があるかは解らないからな」
「解りました!」
悪意が無いのが一番なんだがね。長い事やろうとするのであれば、そんな悪意もあるだろう。1件だけだが、ああいう事もあったしな。他に無いとは言い切れない。
尤も、あれも、値引き交渉を間違えただけとも言えなくは無いんだけどな。出店初期の段階だったし。でも、あれは流石に無いよな。交渉が下手すぎる。
「そういえばジョージ。新しい魔法を作ったんだ。今は他の人にも薦めている最中の魔法なんだが、中々の出来だとは自負している。使い勝手は確かめてくれ」
「そんなん、まずは見るに決まっとるやん。……あー、雷属性なんか。威力はそこそこあるけど、そもそもの属性相性があるやろ? それはどないするんや?」
「ああ、それは属性相性は殆ど関係ない。重要なのは、効果の部分であって、威力では無いんだ。実戦では、ワイルドボアを戦闘不能にさせるだけの効果が見込めている」
「ほーん。効果ねえ。……確かに不思議な効果やな。何やろ。見たことない魔法やな。威力じゃないってのは解ったけど、それは一体何なんやって話になるやろ」
「まあ、生き物系統特化型魔法と言ったところか。ゴーレムなんかには、相性が悪いと思っているんだ。実戦で使ってもらわないと、解らないが」
「何や色々と考えとんな。勿論買うんやけどな。そんなおもろいもん買わん方がおかしいやろ。後は、こっちも頼むわ。今回は結構買ってくで」
「ああ、クライヴ君会計だ」
「えっと、中銀貨7枚になります。……丁度頂きました」
「毎度どうも。またどうぞ」
「使うたら感想言いに来るな~」
行ったか。感想では値引きはしないからな。既に実験済みの魔法ではあるんだ。何か新しいことが出てきたら、値引きはさせて貰うが、今の所、そんなつもりはない。
使ってくれるだけでも有難いがね。どんどんと使ってくれ。問題点が出てくれば、それはそれで良しだ。問題が無い方が怖いからな。順調すぎるのもまた、怖いんだよ。
贅沢な悩みではあるんだがね。ゴーレムに効いたら、どうするんだろうな? ゴーレムが電気信号で動いている証拠にもなるんだが。流石にそれは無いだろうと思っているんだ。




