206話 9/24 ジョージ来店
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
クライヴ君が帰ってきて、紅茶をゆっくりと飲んでいる。この時間からそろそろお客が見え始める頃なんだけど、どうだろうな。誰か来るのか。
誰が来てくれても良いんだがね。クライヴ君も紹介したいし。まだ魔法を作らせる事はしないけど、まずは顔見世をね。した方が良いとかはよく解らんのだが。
とりあえずは人が来るまではゆっくりと待っていればいい。と言うか、待つしか出来ない訳なんだよ。魔法は昼から作るからな。作る数の予定は立ててあるから。それ通りに作る予定だ。
とにかくは風属性を追加しないといけないかな。火属性と氷属性も欲しいんだけど、メインはまだ風属性だな。割り振りは前に考えたもので良いとしてだな。
後は何の皮紙で作るのかを決めないといけないんだよな。気分で決めると言うのも悪くはない。その時々に合わせて作ると言っても、何を基準に作れば良いのかが解らないからな。
人気のものを作ればいいとは言うが、売り切れ御免の商品に人気も何も無いんだよ。数を作らなければならない。数なんだよな。とりあえずは数を用意しないといけない。
溢れ返っても問題ない。溢れたら後で沢山売れるだけだ。今はまだ売れないかもしれないけど、その内売れるようになってくれる。心配することではないんだよ。心配しないといけないのは売り切れなんだ。そっちの方を心配した方が良い。
結局は売り切れるんだろうが、それまでは足掻くつもりでいる。多少なりとも売り切れを失くしたい。欲しい魔法があるという状態にしておきたい。無駄な足掻きではあるんだけどな。
カランカラン
「いらっしゃい。ゆっくりと見て行ってくれ」
「いらっしゃいませ!」
「おん? 店主ーなんや人を雇ったんか? 雇うんやったら可愛え子にせなあかんやろ。看板娘は大事やで。パッと見い、可愛い系男子やんか。しかも子供。あかんなー。もうちょっと工夫せな」
「……いや、看板娘として雇ったわけではない。一応これでも弟子として雇ったんだ。まだ魔法は作らせていないが、10月からは魔法を作らせる予定でいる」
ジョージか。まあ1人目としては当たりな方だろう。と言うか、当たりとは? と言いたい状況ではあるんだが、まあ冗談も効くし、何でも言いやすい人柄ではあるからな。
まあ一発目から否定で来るのは揶揄っているからだろうな。弟子に男も女も無い。そもそも魔法が使えなければ、魔法屋は出来ないんだ。それはジョージがよく解っているだろう。
それでも何か会話の糸口が欲しいんだろうな。とっかかりってのは大事なんだよ。ユーモアで返すのは難しかったが、まあ間違いをいった訳でもないしな。
「弟子ぃ? 早ないか? 普通はまだ先やろ。魔法が売れ始めてからやろ。まだ常連で成り立っとる訳やろ? 品ぞろえをみたら解るわ。店としてはこれからってとこや。それが弟子。なんや変なもんを掴まされたんやろ」
「まあ言いたいことも解るがな。弟子を取るには早すぎる。それはその通りだ。普通は在り得ない。ましてやこんな発展途上の店に来る弟子なんて居ない。そう思うのは無理はない。だが、魔法の使える回数が少ないんだ。それ故に余っていたと言うべきだろうな」
「せやろな。せやないと何処にそんな人脈があったんやと言いたくもなるわ。そんで? 少ないってどの位や? まあ残ってるんやから期待は出来へんけどな」
「す、すみません。2回です……」
クライヴ君が謝ってしまった。まあ解らんでもない。少ないのは事実だからな。それでもまあ、色はまともだったから大丈夫だろう。それにそんな人材でも受け入れていかないと、後がない。
「2回かあ。3回は欲しい所やったやろな。正直な話、言うてみ? ちょっと期待外れやったやろ? もうちょっとあってくれたらなって思ったやろ?」
「正直な話、2回はどうかとは思ったぞ。思ったが、そもそも魔法屋をやろうという人材を得るにはこの魔法屋はまだ早い。普通なら私一人で回さないといけないレベルの話だからな」
「せやろ? ただの店員やったら解らんでも無いわ。でも弟子やろ? そりゃ吟味せなあかんやろ。まだ早いとは思うで? それでも店主が選んだんやったらしゃーないけどな」
「そうだな。しょうがない所だな。それで? 今回はいくら負けて欲しいんだ?」
「店主ー、そこはこれから詰めるところやん。先走ったらあかんて。ここからがおもろい所やないの。ここからが自分の見せ所やで? 下げて上げて負けて貰う。そこまでいかなあかんやろ。今回はこの3つを中銀貨2枚と小銀貨5枚で勘弁したるわ」
まあ結局はそこなんだよな。いくら負かるのか。それの話術だ。下げて、上げて、いい感じのところで値段の交渉をやる。こういう手口もあるんだ。全部はやらせなかったが。やらせると長いからな。
クライヴ君が目が点になっているからな。まあこんな交渉をしてくる奴は他には居ないからな。まあ今回だけだろう。次からは負けるつもりは無いけどな。
「そうだ、ジョージ。この子はクライヴ君と言うんだ。10月から魔法を売り出す。よろしく頼む。因みに魔力の色は赤だった。この意味が解るだろう?」
「クライヴです。よろしくお願いします」
「ほう! 何や見たんかいな。自分も赤やったからな。よー覚えてるわ。クライヴ君な。これからもよろしくな。じゃあ店主、今日はこんな所でな。また来るで」
行ったか。まあ次からは安易に値下げしないようにクライヴ君に言い聞かせておかないといけないな。やっぱりジョージはジョージだったな。直ぐに値下げの交渉に入る。
これを見せたかったから当たりなんだよ。そうなんだ。一部の魔法使いは値切るんだよ。特にジョージは顕著だからな。弱みを見せると直ぐに値切りにかかる。
まあこういうのは慣れだからな。慣れないとどうしようもない。暫くは少し値切られるんだろうな。クライヴ君の魔法を値切って買うんだろう。別に良いがね。早く慣れてくれよ。




