20話 9/9 ジョージ来店、幟は目立つ
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
カランカラン
「店主ー。なんやまたおもろいもんを置いてるやんか。何やあれ。目立ってしゃーないやろ。ええ置物やん? 値段の交渉はしたんかいな? 勿論せなあかんで。してなかったら再交渉せなあかんで。当然やろ? 新しいもん考えたら値段の交渉はせなあかん。こんなん常識やで?」
「ああ、情報料は受け取っている。良い値段になったよ」
「せやろなせやろな。こんなアイディアは売らんと勿体ないで。なんぼになったか解らんけどや、今後これが流行っていくんやろなあ。目立つし解りやすい。邪魔にもならんしな。ええことやんか」
相変わらず良く喋るな。気持ちいいくらいには喋る。だが、2回目という事は、魔法は合ったのだろうな。そうでなければまた来るという事は無いだろうからな。
「ほな、魔法を見せて貰うで。ええか?」
「ああ、見て行ってくれ」
「でな。ちゃんと3つとも使うて来てん。3人とも魔力の相性に問題なしや。こんなん珍しいで? 大体は1人しか合わへんのや。3人が使える魔法っちゅうもんは少ないんやで? 店主はおもろい魔力の色をしてるんかもしれへんな。褒めとんのやで? ええことやんか。万人受けするって事やで?」
なる程。3人とも魔力の癖が合ったのか。それだと嬉しいが、流石に偶然が過ぎるな。今の所、この魔法を買いに来ているのは3人で、使用者は恐らく5人のはずだな。その全員と魔力の癖が合うというのは出来すぎているな。万人受けする魔法か。
「万人受けするのは嬉しい反面、忙しくなりそうだな」
「せやろな。作った先から売れるっちゅうことになるやろな。早いとこ弟子を取った方がええんとちゃうか? 流行り出してからじゃあ遅いかも知れへんで? まあ弟子言うても直ぐに見つかるとは限らんしな。じっくりと探すのが吉やで。そない急いでもええ人材が見つかるとは限らんのや。でもまずは認知されることやろ。認知されんと、弟子の募集も出来へんからな」
「弟子か。流石にまだ早いかと思っているんだがな。でもそうか。来年くらいには考えておくか」
まだまだ無名の魔法屋だ。弟子を探すといっても伝手が無いしな。弟子とは巡り合わせとも言うし、もし見つかれば確保はするが、さて、どうなる事か。その辺も運だからな。
「そう言う頭でおらんとあかんで。流行り出してからじゃあ遅いんやからな。ああ、そういえば、魔法、試させて貰いましたで。中々に良い魔法でしたわ。自分はマッドフロッグの魔法を使わせてもろたんやけどな。威力も中々やし、ええ魔法やんか。ただなあ。速度が遅いねん。もうちょっと速くうならんか? それだけで使い勝手は全然違うねん。コロコロ転がっていくのはええんや。もうちょっと速うなってくれると、な。数は減ってもかまへんのや。速度だけどうにかならんか?」
「速度か。まあ何とかしてみよう。数は減るかもしれんが、その辺は仕方がないな。そう言う形にしかならんのだ。仕方があるまい。まあ努力はしてみよう」
「たのんますわ。それでな。ワイルドボアの奴やねん。あれな、威力は十分やねん。けどな、強すぎて後ろの奴らの出番が無いんですわ。もうちょっと範囲をどうにかしてくれた方が有難いんやわ。数は減っても文句は言わんけどもやな。今の威力のまま横に広がらんもんなんか? なんか改良は出来そうな感じの事を言うてましたやん。それも出来たら改良して欲しいんですわ」
ああ、それはアリアナにも言われたんだが、そうか。威力が無駄になっている可能性があるのだな。横に並ばせるのは中々に難しい注文なんだが、やってみるしかあるまい。融通の利くのが魔法陣魔法のいい所だからな。
「それは他の客にも言われたんだ。今改良中だ。何とかして見せよう。それで、ゴブリンのはどうだったんだ?」
ここまで聞いてきたんだ。どうせなら全部聞いておこう。何かしらあるのであれば言ってもらえる方が嬉しいからな。改良も楽しいからな。苦では無いんだよ。
「ゴブリンのはええ感じでしたで。ちゃんとワイルドボアを止められるし、球並の速度もあったもんな。数も多いしでいう事なしやで。後は運やろ。あの感じやと、何処に行くんかは球と一緒やろ? ゴブリンやもんな。範囲が地上ってなってるからよう解らんのやけど、ある程度は範囲があると考えてもええんやろ? 一点言わせてもらうんやとしたら、範囲はもうちょっと狭てもええかも知れへんな。その分数を増やしてもらえると嬉しいわ。あ、威力はそのままで頼むで」
「範囲の地上というのはどうしても変えられないんだが、数を増やすことは可能だろうな。威力も据え置きで何とかしてみよう。その辺りは了解した」
「なんや、範囲は変えられへんのか?」
「厳密に言えば変わっているんだが、表記までは変えられないんだ。あれは地上にしかならん。ゴブリンは空を飛べないからな。だからそう言う表記になってしまう」
そうなんだよな。地上っていう範囲はあくまでも地上に効果がありますよって話であって、地上の何処までもいけるって訳じゃないってのと、空中には意味が無いですよって意味なんだよな。
「ああ、そう言う。空中の敵には意味が無いって事かいな。でも範囲は弄れるんやな。弄れるんやったらそんなに遠くまで行かさんでええわな。もうちょい短てもええわ。その分数を増やしてくれると助かりますわ。でもそんな注文受けて大丈夫なんか? 魔法ってもんは融通が効かんもんなのとちゃうんか? 作り方まではよう解っとらんけど」
「作り方次第だな。私の作り方はある程度の融通は利くはずだ。いずれはオーダーメイドも考えてはいる。まあまだまだ魔法の作り方の仕様が解っていない部分もあるからな。それ次第だが」
「オーダーメイド! ええ響きやんか。特注の魔法って事やんな? ええな。ええな。出来るようになったら言うてな。自分も一度はやってみたいわ。その時はよろしくな? それでやな。これとこれとこれを貰おか。店主ー。解ってるんやろ?」
はいはい。解っているとも。皆が同じような事をするからな。負けろと言うんだろう? 改良点も持ってきてくれたことだしな。少しくらいは問題ない。
「解った。中銀貨2枚と小銀貨4枚だ。これ以上は流石に無理だぞ」
「流石店主。話が分かる。ほなこれがお代な。また来るでー」
行ったか。嵐のような奴だな。本当に良く喋る。あれだけ喋るのであれば、詠唱が多少長くとも苦にならないのかもしれんがな。まあその辺は魔法使い次第だ。
さて、また出て行ったわけだが、下書きをしておくか。皮紙も魔石インクも常備品として幾つも置いてあるが、そろそろ買い出しに行かないといけないかもしれないか。皮紙が欲しい。
思ったよりも魔法が売れていくからな。皮紙はもう少し準備しておいた方が良いのかもしれないな。さて、下書きを済ませておくか。下書きは普通のインクで良いからな。さて、作業をしようか。