160話 9/19 クライヴ君とティータイム
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紅茶を入れてきて、クライヴ君とティータイムな訳なんだが、客は来ないぞ。そんな時間帯だからな。それでも一応は店を開けている。本当に一応なんだがね。
魔法使いの買い物の時間は午前中だ。午後からは何をしているのかは知らないが、基本的にはやってこないと思っても良い。そう言う事なんだよ。
前衛ならば、武器の手入れなんかをしないといけないんだろうが、魔法使いは何をしているんだろうな。特にやることが思い浮かばないんだが。
魔法の詠唱の訓練でもしているんだろうか。読みにくい魔法は兎に角読みにくいからな。噛まないように魔法の詠唱の練習をしているのかもしれない。
流石にスクロールに魔力を流さないで詠唱をしても魔法は発動しないからな。魔力は必要不可欠のものなんだよ。読んだだけでは魔法は発動しない。これは常識である。
後は、読み間違えても発動しないし、魔力が足りなくても発動しない。簡単にこれでどうだって感じで魔法を発動できる訳では無いんだよな。
となると、やはり魔法の詠唱の訓練をしているのかもしれないな。詠唱文は似たような物はあれども、全く同じ詠唱文になることは殆どない。
無いとは言い切れないのが辛い所だな。無い訳ではないというのが研究の結果であるが、そもそも、大量にある詠唱文を照合するのは大変なんだよな。それでもやるのが研究職なんだがね。
同じ詠唱文はある。これの証明は難しい。だが、同じ詠唱文はないという証明の方がもっと難しい。未来も見ないといけないからな。過去の事例だけでは判断できない。
魔法の詠唱は精霊が気分で決めていると言われている。本当にそうなのかどうかは解らない。単純にそれくらいの数があるという事でもあるんだよな。
研究のし甲斐があるというものだ。同じ人が同じ文章を書いて、同じ魔法になるのかどうかはなるといっても良い。それが同じ詠唱文になるのかというのは解らない。
何十年も同じ魔法を作っていても、解らない可能性はある。単純に見落としているだけの可能性もあるし、本当に同じ文章が存在しない可能性もある。
解らんことを研究するのが、研究職の仕事だからな。頑張ってくれとは思うんだがね。私はやりたくはない。どんな詠唱文になるのかなんてどうでもいい話だからな。
話が脱線したな。魔法使いが休みの日に、午後に何をしているのかについては解らない所があるが、詠唱文の復唱をしている可能性はあるな。
特に突発的に使わないといけなくなった時なんかに、直ぐに読めないと話にもならないからな。魔法の詠唱でとちる訳にはいかないんだよ。
時間の無駄と、魔力の無駄になるからな。魔力は魔法を発動させなくても消費する。失敗しても消費はするんだよな。魔力を流すことには変わりがないからな。
魔法使いも楽な仕事では無い筈だ。慣れてくるまでは仲間に迷惑をかけるだろうし、魔法の選択次第では、役に立たないこともあるんだからな。
私の店ではなるべく、戦力になる魔法を売れるようにしたい。言うのは簡単なんだが、これがまた難しいのが普通の店の作り方なんだよな。魔法陣魔法はそうでもないんだがね。
「クライヴ君はどんな魔法が作りたいと思っているんだ? 何かしら考えていることはあるんだろう? そうでなければ、魔法屋をやりたいとは言わない可能性もあるからな」
「えっと、そうですね。僕としては強い魔法を作りたいと思っています。冒険者の魔法使いが使って、強いと思える魔法を作りたいです」
「強い魔法なあ。強いと一概に言っても色々とあるぞ。単純な威力の話なのか、範囲が広いと言う話なのか、数が多いという話なのか。強さにも色々な種類があるぞ?」
「そうですね……。全部を満たした魔法は作れないんですか? 威力があって、範囲が広くて、数が多い魔法と言うのは在り得ないんでしょうか?」
在り得なくは無いな。それが初級に収まるのかと言う話ではあるんだが。理想は確かにそこにある。クライヴ君の言う通りの魔法があれば、強い事には変わりない。
強い魔法が良いのかと言われると、そうであるとも言えるし、そうでないとも言える。その辺は魔法使いの好みの問題も絡んでくるからな。どうだと言う答えは無いんだが。
「初級魔法でそれらを満たそうと思うと、かなりの技術と正確さが必要だろうな。初級の範囲内に収めることと、情報量が多いことは、相反する。情報量が多いほど、強くはなるが、初級魔法の範囲に収まらなくなってしまうな」
「そうなんですね。何を書けば、魔法になるんですか? 実は作り方なんかは全くわかってなくて」
「作り方が知られていないのはその通りだ。作り方が知られていたら、魔法屋は成り立たない。考えてみろ。自分で自分の使う魔法を作ればいいだけだからな」
「あ、そうですね。という事は、皆魔法がどうやって作られているのか知らないで使っているという事になるんですか?」
まあそう言う事だろうな。魔法の作り方を知っているのは貴族くらいなものだからな。貴族は習うが、教会ではそれを教えないからな。教えられないと言う方が正しいのかもしれないが。
精霊語を教えるだけでも大変なのだからな。皮紙代もかかる。費用がかかることを教会がわざわざ教えるのかと言う話になるんだよな。膨大な費用がかかるぞ。流石に無理だろう。
教会で精霊語を教えて貰えるだけでも破格の待遇だと思わないといけないだろうな。精霊語も必要最低限の文字だけでも何千字とある訳だ。それを覚えさせるんだから頭が下がるな。
慈善事業という訳でも無いんだろうが。魔物を倒してくれないと、教会側も自由に移動が出来ないからな。メリットを考えての事ではあるんだろうが。
何にしても、魔法は便利な物ではあるんだが、融通は効かないし、作るのは面倒だしで色々とあるんだよな。もう少し簡単に作れたら魔法屋が要らなくなるんだが、私の仕事が無くなってしまうな。
それだと困るから、今のままで良いとは思う。……都市自体は改革が必要な気がしないでも無いんだが、それは私の考える事では無いからな。貴族が勝手に考えてくれ。
 




