12話 9/5 アリアナ視点 まだまだ稼ごう、慣れなんじゃないかな
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「!! 乱入だ! 数は30! ワイルドボアだ!」
一息も吐かせてくれなかったのかい。まあいいさ。とりあえず迎撃をするんだけど、クランマスターはどういう判断をするかだね。誰を指定するのかの判断はクランマスターの仕事さ。あたしの仕事ではないからね。あたしは指示を待つだけさ。
「アリアナ、サラ。迎撃用意」
指名が入ったよ。もう一つも使いどころだろうね。あたしは他の魔法使いよりも使える魔法が多いからさ。こういう時の対処にも選ばれやすいんだ。……準備をしていないといつもの魔法しか使えないって欠点はあるんだけど、今回は準備を出来ているからね。
「……『賤しき風はゴブリンの如く這いまわる』」
「了解。『金の風、銀の風。恋慕の竜巻は恐れを知らず』」
ゴブリンの形をした風塊が走っていく。それを追い越して竜巻が走る。とりあえず突撃を止めてくれさえすればいい。それでこちらの前衛が戦いやすくなるからさ。
ワイルドボアの怖いところは突進攻撃だ。それさえ何とかすればこっちのもんさ。相手の出鼻を挫く。そんな魔法で良い。あたしらが先手を取るんだよ。それで大体の戦闘はこっちのものさ。
竜巻がワイルドボアの突進を緩め、ゴブリンがワイルドボアに突撃していき、完全に突進を止めて見せた。25のゴブリンが出るんだったね。ならば殆ど突進を止めてくれるだろう。
前が止まれば後はぶつかるしかない。同士討ちさね。突進は強いが、群れでの突進はそのリスクがあるからね。前の5匹ほどを止めてやれば自滅してくれる。後は前衛たちの頑張り次第さ。
「突撃!」
「「「「「おおおおおおおお!」」」」」
士気は十分。後はそれ以上の乱入が無いかを周りの警戒をしないといけない。これが斥候と魔法使いの役割だからね。これ以上の援護は出来ないのさ。魔法は味方にも当たるからね。
味方に当たらない魔法が在れば使えるんだろうけど、そんな都合のいい魔法は無いね。そんな便利な魔法は今まで見たこと無い。基本的にはまっすぐ飛ぶのが魔法だからね。
でも基本でない魔法ばかりを置いているあの店ならあるかもしれないが。今度探してみよう。あれば儲けもの。無ければそれまでだ。都合よくはいかないって事さ。
「「「「「おおおおおおおお!」」」」」
さあ、終わったみたいだね。乱入の気配は無し。とりあえず、積み込んでみてからだね。100は超えただろうさ。今回も良い戦果を獲得できたかね。
難しいことは首脳陣が考えるさね。あたしらは倒したって実績があればいい訳だ。それがクランの名声になり、クランメンバーが増えるって事になる。スラムのクランでもメンバー募集をすれば入ってくるのは多いのさ。規則を聞いて辞めてくのも多いけどね。
戦闘が終わって、積込も終わった。数にして112頭のワイルドボアが荷車に積み込まれたことになる。時間は3時間半残っているが、今日はこれで帰るみたいだね。それも当然か。
基本は荷車がいっぱいになったら帰り支度だからねえ。うちの戦闘要員が荷車を引いているが、重くないのかとも思うんだが、あたしは荷車を引かないからね。
魔法使いはまずは魔法を使えないと意味がない。息が上がって魔法が打てませんでしたでは話にならない訳さ。だからあたしら5人は荷車を引くのを免除されている。
100台の荷車が転がっていく様は壮観だねえ。重いだろうが頑張ってくれたまえよ。あたしらは戦力にはなれないんでね。どの道、力が無いからさ。引けないと思うんだよね。
1トンクラスの巨体が2つ載っている荷車もあるんだから世話ないよ。本当に良く引けるもんだ。冒険者の肉体はどうなっているんだろうね。
あたしら魔法使いには特にそんな恩恵は無い。前衛は力が強くなるって言っているんだけど、本当なのか怪しい所さ。単に慣れたという方が納得がいくね。
慣れとは恐ろしいものでさ。あたしも初めのころは詠唱をとちったりしたもんさ。魔法使いがとちると全体に響くからね。だから無駄かもしれないけど、2人か3人で詠唱をするんだからさ。
ゴブリン程度でも舐めちゃいけないよ。あいつらは狡猾だからね。ゴブリンは雑魚なんて吹かしてる野良の野郎もいるにはいるが、はぐれの処分をしているだけだ。本体とは当たらない。
ゴブリンは厄介なんだよ。草原で当たる分にはそこまでなんだがね。草原だと100や200といった数で攻めてくるからね。それはそれで厄介なんだよ。魔法で散らさないとこっちが少数派になってしまうからさ。それは勘弁願いたいところさ。
それ以上に厄介なのが、森の中のゴブリンだ。森の中は大規模戦闘が出来ないから余計にね。人間よりも一回り小さいゴブリンの方が有利なのさ。数も50は居るだろうしね。
それに奴らは武器を持ってるからさ。簡単な作りだが、石斧や石槍を持っていることがあるんだよ。それはそれで厄介なのさ。武器があるだけで致命傷になることがあるからね。
冒険者も防具は身に着けるが、あくまでも急所を守るだけの防具だ。全身鎧なんて着れるわけがない。重すぎて移動に不便だし、長距離を歩くし、今回みたいに重いものを引くこともある。それなのに鎧までとなると無理だ。流石にね。
そんな訳で、森でゴブリンとやりあうのは避けたいところだけど、依頼が出れば受けるんだけどね。依頼料が美味しい所には飛びつくのが冒険者だからさ。
まあ魔法使いは一番死ににくい所にいるって訳でもないんだがね。基本は一番前を斥候が。その次が魔法使いだ。開幕で魔法を打たないといけないからね。それで前衛と入れ替わるんだけどさ。
それに荷車を引く前衛の後ろを歩いてたんじゃ、魔法を打てないじゃないか。魔法を打たないと何のための魔法使いなのかが解らないからね。魔法を打つためには前に出るしかないんだよ。
「前方、乱戦中です! 乱入しますか?」
「行くぞ。稼げるときに稼ぐ。それが俺たちのクランだろう?」
「「「「「おおおおおおおおお!」」」」」
なんだい。今日も大量じゃないか。乱入するんだから分け前は貰えるはずだ。こちらの戦果を見て、減らすって事は出来ないからね。まああたしら魔法使いの出番はない訳なんだけどさ。前衛に頑張ってもらうしかない訳さ。頑張れ前衛。