110話 9/16 飯屋は儲かっているよな、カナリアの鳴き声のクラン員
OFUSE始めました。
https://ofuse.me/rukea
ついでにブログも始めました。好きなことをつらつらと書いていく予定。
https://rukeanote.hatenablog.com/
さらについでにTwitterも始めました。変なこともつぶやく可能性があります。関係ないことも沢山つぶやきます。
https://twitter.com/rukeanote
用件は何か。飯を食う事である。さっさと夕飯に有り付きたい。2周目に突入だ。少し時間が遅かったのかもしれない。ピークはまだまだ先だろうが、客の入りが多くなっているんだろう。
座る席が無いんだよな。無いと飯を食えないんだよ。それはそう。仕方が無いことなんだけどな。飯屋だって広さは限られているんだからさ。当然入れる人間の数も決まってくるわけだな。
だから相席をするんだけど。相席しないと待ってられない。1人空いたら1人入る位のペースで飯屋は回しているからな。まあ儲かっているんだから良いんだろう。
飯屋は儲かっていると思うぞ。魔法屋よりは流石に儲からないが。客単価が安いからな。儲かるのは儲かるだろうが、小銭が沢山と言った感じだろうな。
それでも人が入らないよりは、入ってくれた方が儲かるんだから良いんだよ。客は沢山いるんだからな。冒険者という客が。それでもこの時間帯は特に忙しくなってくる時間帯だからな。
冒険者が皆こぞって帰って来るんだからさ。今からは夜の部。夜のギルドの時間だからな。夜のギルドは規模が大きめか、昼間のあぶれ組みかに別れるんだけどな。
昼間で失敗した所が、夜に向かうと高確率で失敗するんだがね。夜には夜の戦い方ってのがある訳だよ。常識の違いがあるって訳だ。当然ながら昼間の常識は通じない。
まあ一介の魔法屋風情が語れる事も少ないんだけどな。情報は持ち合わせてはいないんだよ。知っていることと、知らないことはある。夜の戦い方については知らないなあ。
昼間の戦い方についても大雑把にしか知らないんだけどな。基本戦闘にはノータッチ。魔法を売るまでがお仕事ですのでね。その後の事はおまかせになる。
使い勝手が良いのか悪いのかを聞いて、改良できるところは改良する。出来ない所は諦めるしかない。初級の枠ははみ出ることが出来ないんだよ。それは出来ない。
あくまでも初級魔法は初級魔法だ。逸脱したものは、恐らくだが作れない。そう言う法則の様なものが明確にある訳では無いんだけど、難しいとは思う。
出来ることをやるしか無い訳だよ。出来る事しか出来ないのは仕方が無いことなんだ。出来ないのに出来るとは言えないからな。無理なものは無理なんだよ。
それでも多くを望むのが常という訳だ。何から何まで完璧な物は作れないのと同じだよ。完璧な物を求めるのは仕方がない。まあ個人に因って完璧の定義も違う訳なんだがね。
威力、範囲、効果、数、その他諸々を指定できれば違うんだろうけど、指定するにも限界はある。どうしても指定漏れが出てしまう。それは文字列閥でも同じことが起きるんだ。
文字列閥に作れない魔法は無いんだが、それでも初級魔法の限界はある。全部盛りにすると、中途半端な魔法が出来上がる。そういう仕組みなんだよ。
例えば、数を500とするとしよう。500の魔法は出来上がるが、威力や範囲がしょぼくなる。ゴブリンにかすり傷を負わせられるかどうかの魔法になってしまう。
それでは意味が無いから威力を足すとしよう。そうすると、今度は指定した数よりも少なくなる。威力が大きくなる代わりに数が犠牲になる。ついでに範囲や効果も犠牲となる。
全てを全部盛りにすると、中途半端な魔法が出来上がるのと同時に、それ以上は初級では望めないとなってしまう。初級魔法にはそれくらいしか詰め込めないとなっている。
解らんがね。確定情報では無いんだよ。文字列閥の作成方法ではとの注釈が付くからな。文字列閥での作成方法で作れない魔法があるのかとは言いたいんだが。
限界線は何処までも同じだろうとは思いたい。そうしないと1つの派閥で特殊な係数が使われている魔法であれば、全部が全部そっちにいってしまう気がするからな。
何はともあれ、まずは食事です。漸く空いているところを見つけたのでね。そちらに行く事に。それではいつもの奴で。相席になりますよ。相席をする人には一声かけないとね。
「相席いいかな?」
「ああ、良いぜ」
「冒険者か?」
「あ? そうだが?」
風体は如何にも冒険者なんだが、一応確認はしておかないといけない。獲物を持っているわけでも無いからな。流石にそんなものを持っていたら冒険者確定なんだが。
流石に飯屋に剣を持ってくる馬鹿はいないって事なんだよ。飯食うのに邪魔でしか無いからな。拠点に置いてくるだろうよ。飯屋に直接来た場合は知らんけど。
「何、この近くで魔法屋を始めてな。最近始めたばかりなんだ。それでもしよければ宣伝をと思ってな。クランに魔法使いがいるのであれば、是非とも宣伝をして欲しいんだが」
「あ? あー、最近使ってる魔法がそうかもしれねえんだが、普通とは違う形をしてないか? ゴブリンだとかワイルドボアの形をしてないか?」
「そうだ。その魔法だ。なんだ、知っているクランの人なのか」
「やっぱりそうか。最近使い始めたってったらその魔法だったからよ。珍しい形をしているから覚えてるぜ。結構威力がある奴だろ? 中々に有難いことだぜ」
なんだ、既に使っている所のクラン員か。何処のクランなんだろうな。気にはなる。まあ何処のクランでも良いんだけどな。使ってくれているのであれば。
便利に使ってくれると嬉しい所。便利に使って、どんどんと消費をしてくれればいい。そしてどんどんと買ってくれればなお嬉しい。売上的に。
「因みに何処のクランの所属なんだ? 結構限られると思うんだがね。正直な所、私の魔法はまだまだ知名度が無い魔法なんだ。まさかもう使っているクランの人と会うと思っていなかったからな」
「俺はカナリアの鳴き声っつうクランだな。使っている魔法使いが誰なのかは知らないが、かなりの頻度で見てるからな。結構使ってんよ。今日も使ってたからな」
「カナリアの鳴き声ならアリアナだな。彼女が買って行っている。他のクランメンバーにも使って見て欲しいとお願いはしてあるんだが、買いに来たことは無いな」
「アリアナ嬢の事か。色んな所に出歩いているって言うのがクランでの中の話だからな。まあ照れ屋なのか人と話そうとはしないんだけどな」
まあ確かに人と積極的に話にいくタイプでは無いな。話しかけるのもされたくは無さそうではあるが。ただ、それが照れ屋だからかどうかは解らん所ではある。
しかし、そうか。カナリアの鳴き声なあ。知っているクラン員に出くわすことになるとは思っていなかったな。考えてみればある程度、当たっても仕方がない所ではあるんだが。
近くの冒険者が飯を食いに来ているわけだからな。当然ながら近場のクラン員は食いに来ることもあるだろうさ。自分たちのところで作っていたら別なんだろうけどな。




