11話 9/5 アリアナ視点 何時動くのか、威力は申し分なし
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畑との境界からは斥候頼りになる。魔法使いの出番はまだ先さ。まずは群れを見つけないことには始まらないんだ。目視できればいいんだけどね。目が良くても、そんなに近くにはいないんだよ。
とは言いつつも、此処は草原。畑には麦やら何やらが育っているが、その境目からも何かしらの植物は植わっている訳さ。その中からワイルドボアの痕跡を辿らないといけない訳だ。
目に見えて解るのは、畑の土塁を壊されていた時だよね。その時は痕跡を追いやすいそうだ。もっとも、競合相手もいる事なんだけどね。だからあたしたちは朝早くから出張っている訳なんだけど。
朝に強いか夜に強いかの違いだよ。朝に強い方が良いと個人的には思っているんだけど、夜が得意なクランもあるんだよね。暗いから見えにくいはずなんだけどね。
でも、夜の方が魔物が活発に動くからね。狩りやすいのかもしれない。あたし的には朝の方が良いけどね。明るい方が見やすいさ。頭の悪いあたしでは、夜の活動は無理があるかな。
おっと、斥候がワイルドボアの痕跡を見つけたみたいだ。移動するみたいだよ。比較的新しいのだと、1時間も移動すれば見つかるんだけどね。さて、今日は出番はあるだろうか。
ない日もあるんだよ。魔法を使うまでもないって時と、クランマスターから声がかからなかった時だね。どんな魔法を使うのかクランマスターは把握してるからさ。規模や乱入の手合いによって使う魔法を変えたりするんだ。あたしは数が多い時、40以上の時に担当するんだよ。
ただ今回は40以上であってほしいね。魔法の試し打ちをしたいからさ。迷惑はかけるかもしれないけど、こういう時はワクワクするね。まずはどっちを使おうか。
数によって決めたいところではあるかな。少なければゴブリンで。多ければワイルドボアの魔法を使おう。緊急時はいつもの所のを使うけどね。威力は弱いが、詠唱がかなり短いから。何度も言うが、あたしは頭が良くないんだ。直ぐには動けないんだよ。
……どうやら今回はあたしたちが乱入者になったようだ。こういう時は魔法を使わない。乱入したところで貰える成果は限られてるからね。倒した分だけでももらえれば御の字って事もあるんだよ。
こういう時は他の乱入者がいないか、新たな魔物の乱入が無いかを警戒しておくものなんだよ。魔物は仲間意識が強いのか、よく乱入してくるからね。ゴブリンは何も考えて無さそうではあるけど。
50もいた群れを倒し終わり、あたしらは15の戦果を得た。乱入が早めだったみたいだね。相手には悪いけど、結構弾んでくれたようだ。負傷者もないし、次の痕跡探しだ。斥候のお仕事だよ。
1度戦闘をした箇所からは痕跡は追えない。だから離れる必要があるんだよ。離れた先に痕跡があればいいが、無い場合もある。探すのは大変だよね。
まあそれも斥候の仕事さ。後7時間ほど粘れるとしても成果無しでは帰りたくは無いからね。群れの1つは叩いておきたいものさ。見つけてくれることを祈るしかない。
……幾つか見つけたようだけど、それは追わないみたいだね。昨日以前の痕跡だろうとの判断だ。そして今追っているのは乱入が無さそうであると判断した痕跡みたいだね。
規模は50を超えるそうだ。それが乱入無しで手に入るんなら大きいが、さてどうなる事か。こればかりは行ってみないと解らないからね。ここにいるとすぐにわかればいいんだがね。
そんな都合のいいようにはいかんだろうさ。そんな魔道具があれば買っているって話だ。聞いたことが無いという事はそんなもの売っていないか、手が出ない程に高いかのどちらかだろうからさ。
そんなことを言っている間に、目でも見えるところまで来たみたいだね。どうやら乱入ではないようだ。ざっと数は70いくかどうか。良い規模だね。これなら大丈夫そうだ。
「マーク、アリアナ、ヘレン。魔法を頼む」
「解った。『怒り狂え旋風。激動の告白は行方を知らず。彼方へ向かえよ蒼穹の櫓。狙え狙えと合図を打てば。降り注ぐ愛の円舞曲』」
「……『数多の大猪は浜風の如く。突撃せよ』」
「任せて。『朧気に聞いた松籟は安眠を誘う声に因りて。健やかなる眠りは爽やかな響きを伝えるような大樹の如く。ささやかな幸せは昼間に微睡む子猫のありさま。流浪の民草も安住の地を求めん』」
矢と大猪17と風刃が飛んでいく。風刃が一番早く、矢、大猪と続く。威力はどうだろうさね。風刃はワイルドボアを切り裂くまではいかず、単に打撃を与えただけに過ぎない。ただ範囲は凄い。殆どのワイルドボアに痛烈な打撃を与えている。
矢は当たったところから血飛沫が飛ぶ。威力は中々。上から降り注ぐ形を取っている為、広範囲を傷つける。だが、それでは止まらない。こちらが見えたのか、突進してくる。
そして、風の大猪と激突した。ワイルドボアが後ろに吹き飛ぶ。……何あの威力。範囲は当たったところだから仕方がないが、ワイルドボアを吹き飛ばすってどんな威力をしてるのさ。
「「「「「おおおおおおお!」」」」」
前衛が突っ込んでいく。突っ込んでいって正解だと思う。ワイルドボアと魔法が押し合っているのだから。一撃で消えない魔法なのかい? まっすぐ突撃していく。
威力が出鱈目に高いみたいだが、追尾はしてくれないようだ。横を通り過ぎるワイルドボアが居る。それは前衛に任せる。多少は他の魔法で弱っているだろうからさ。
なんとも変な感じがするね。詠唱文から考えると、威力はあそこまで無いはずなんだけど、あの威力だし、うーん。考えても解らないことは解らないんだ。この魔法は使えるという事が解ればいいさ。
「「「「「おおおおおおおおお!」」」」」
さて、倒し切ったね。戦果は上々じゃないの。推定70の群れだからね。この間とは違うが、まあ良い戦果さね。もう少し欲張ってもいいかもしれないが、どうするかだ。まだ時間は4時間ほど残っているからね。