10話 9/5 アリアナ視点 話すのは苦手なんだよ、詠唱が短いのは利点
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あたしの名前はアリアナ。クラン「カナリアの鳴き声」の魔法使いをやっている。これでも初級魔法を12回も使える魔法使いさ。12回ってのは魔法使いとしては少ない方だけどね。
それはあくまでも魔法使いという括りで囲った時の結果に過ぎないんだよ。初級魔法を発動すらさせられない連中も沢山いるんだ。それに魔法をある程度使えるやつは魔法屋になってしまうからさ。
だから初級魔法を12回も使えるというのは貴重な訳だ。中級魔法を2回分と言えば十分わかるかい? 魔法兵には及ばないが、十分な戦力だという事さ。
普段と全然違う? あー、声にするのは苦手なんだよ。こう、何と言ったらいいのか解らんけど、ともかく、考えていることと声に出すことは違うって事さ。
普通に話せたら魔法屋に入ることも考えたんだけどね。12回使えるってことは24個のスクロールを作れるって事だからさ。かなりの戦力になると思うんだ。普通に話せたらな。
それは無理だから、冒険者をやっている訳。冒険者は仕事が出来ればコミュニケーション能力は求められないからさ。詠唱以外で話さなくていいってのは楽でいいよ。
それにあたしの所属しているクランは中々に大きいんだよね。スラムでは3番目の規模を誇るんだよ。魔法使いも5人いるしね。非戦闘員は少し少ないのが難点なんだけど。
クランとしては戦闘員が230人。これには魔法使いも入っているし、斥候も入ってる。近接戦闘が出来るやつだけが戦闘員じゃないって事さ。斥候だって立派な戦闘員だよ。戦闘には参加しないけど、それでも獲物を見つけてくれないとあたしらの仕事がないじゃない。
それで非戦闘員が28人。少ないんだよね。この倍はいても良いはずなんだけど、クランの規則があるからさ。それが加入のしづらさになっているんだろうとは思うんだけど。
クランの規則としては、非戦闘員は戦闘員の命令に逆らう事は許されないってのがあるんだよね。非戦闘員は調子に乗るなって事なんだろうけど、あたしはそれを撤回した方が良いと思うんだけどね。上の考えることはよくわからないんだよ。
非戦闘員だって仲間じゃないのさ。そう思うんだけど、自分の意見を言うのが苦手だからなあ、あたし。会話は最低限で済ませないといけないんだよね。自分のせいなんだけどさ。
それに頭が良い訳じゃないんだよね。頭が良ければまた色々と違うんだろうけど、あたしには頭脳労働は無理なんだよ。クランを率いるのだって無理。あたしはあたしでしかないんだよ。
まあともかく、今日のワイルドボア狩りを成功させればいいっていうのは判るさ。単純なことは解りやすくてとてもいい。無駄に考えなくても良いしね。とりあえず前の敵を叩けばいいんだから。
この時期はどうしてもワイルドボアが来てしまうからね。収穫時期を狙ってくるんだから質が悪い。収穫は早くても10月だからまだまだワイルドボアの狩り時は逃しちゃいないよ。
あたしらが出張るのもこれで2回目だしね。1回目の時に魔法を2つ消費したから魔法を買い足しに行ったんだけど、あんな近くに魔法屋ってあったっけ? と思って入ったんだよね。
どうにもよくわからない魔法でさ。なんか形がおかしいし、詠唱文にしては威力は強いし、なんなんだろうね? 賢い奴は色々と言って安くできるんだろうけど、あたしには駄目だったよ。
安く買える事は良いことなんだけど、値段の交渉が上手くいった例がないんだよね。良いけどね。多少安く買えたって狩りの金額の方が大きいんだからさ。
あたしは狩りの時に役に立てばそれでいいんだよ。前回の時は乱入含めて130は狩ったしね。4戦もする羽目になったけど、それはご愛敬。連戦なんてよくある事さ。
前回は出来過ぎも良いところだってクランマスターは言ってたけどね。100を超える成果なんてそうそうない物なのさ。運がよかったんだろうね。その分負傷者は出た訳だけど。
それでもまた今日もワイルドボア狩りさ。クランのモットーとして稼げるときに稼ごうってのがあってさ。それを実践するんだよ。だからワイルドボア狩りのスパンが短いんだけどさ。
普通は1週間に1回。9月の初めごろからだから4回か5回行けばいい方なんだ。それをあたしたちのクランは4日に1回行こうってんだからさ。倍近く行けるんだよ。
9月の後半の方がワイルドボアの数が増えるんだけど、競合相手も増えるからね。端から乱入狙いのクランもあることだし。数が少ないとどうしてもそうならざるを得ないんだけど、あたしらとしたら取り分が減るからなるべく早く倒してしまいたいんだよね。
今回の魔法屋の魔法はおあつらえ向きって感じかな。詠唱文は短いし、威力はある。そんな魔法が在るのかいって話な訳なんだが、実際にあるんだからしょうがないさ。
形は特殊だが、要は使えれば問題ない訳で。詠唱が簡単なのが良いあたしにとっては良い魔法屋な訳だよ。これで魔力の癖が少なければ完璧なんだけどねえ。その辺は使ってみてからのお楽しみ。
でもまずは歩かないといけない訳だよ。畑との境界線に行かないと話にならない。端から食い荒らしてくるからね。まずは1時間ほど歩かなければならないんだよ。
近くに魔物がいる訳がないじゃないの。魔物は遠くにいるものさ。開拓村ならいざ知らず、此処は大都市なんだからさ。それでも魔物の被害はあるわけなんだよね。
偉い人たちが考えても、ゼロにはできないんだから仕方がないさ。その分仕事があるって事なんだけどね。難しいことは解らないけど、今回もこの荷車100台を使い切れれば嬉しいよね。