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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

繋がり

作者: 久慈竜之介

 冷たい北風が吹き付ける。

 大きな夕日が真っ赤に照らす駅のホームに一人で立っていた。横には若いスーツを着た男性と小学生二人が並んでいる。

 天井から一匹の小さな緑色の蜘蛛が糸をたどって降りてきた。その緑色の蜘蛛は巣を作っている途中だろう。日光を浴びてまだ完成されていないどこかへ繋がっている蜘蛛の巣が二本キラキラと光っている。まだ蜘蛛の巣を作ったことがないのかぎこちないようにもみえる。1匹でやるにはかなりの重労働だ。北風に煽られる姿は急かされているように見える。おそらく、蜘蛛の糸同士を繋げなければ巣は作れないのだろう。協力者でもいるのなら作りやすいだろうに。風に吹かれながら、キラキラと光る二本の糸に捕まろうと必死なようだ。私は夢中になって斜め上の蜘蛛をしきりに見ていたため、小学生が何を見ているのか不思議そうに私と同じ斜め上あたりを見ていた。小学生の目にその蜘蛛が映っているのかはわからない。

 真っ赤に光っていた夕日はいつのまにか雲に隠れ蜘蛛の糸のキラキラは徐々に薄くなっていく。緑色に見えた蜘蛛も光がなくなり濁った色に見える。強い北風に吹かれてどうしようもなく舞っている。

 遠くから踏切の警報音が聞こえる。走っていた車の音が止まる。電車の大きな音が徐々に近づいてくる。一定で鳴り響く踏切のリズムと蜘蛛の揺れは重なり頭がまわるようである。冷えた北風がビュッと強く吹き付けた。緑色の蜘蛛は線路へと落ちていった。横にいたスーツの男性はホームへと飛びこんだ。その上を電車が大きな音を立てながら駅のホームに入ってきた。

 

 糸はプッツリと切れてしまったのだ。

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