どうも、魔王に無理矢理嫁がされたけど、ブラックな職場や、パワハラ上司から逃げ出せて幸せを掴んだjkです。
パリポリパリポリパリポリ…
現在、私はふかふかのベットに寝転がりつつポテチを食べ、更にはYou○ubeまで見るという、至福の時を過ごしている。つまるところ、ゴロゴロダラダラを謳歌しているというわけだ。
たとえ、周りの調度品がやたら渋い割にちょこちょこ純金が使われていても、YouT〇beを映し出す画面がどう見てもただの石ころでも、窓の外には翼竜が飛んでいたり、メイドの耳の横にはヒツジのツノがくっついている、もしくはザ・悪魔っぽい触角又はとがった耳、一見矢印な尻尾、必要以上にビッグサイズな犬歯が付属していても、私は気にしない。
そうして、とてもとても有意義な時間を過ごしていた私だったが、その時間は配慮するという精神を微塵も持ち合わせていないであろう野郎に中断させられる。
「ミユキ!助けに来たよ!!」
せっかくの幸せを邪魔するのはどこの誰だよ?
とか思いながら振り向けば、そこにいたのは、パーティーメンバーその壱、その弐、その参、その肆という名のパワハラ上司戦隊。
せっかくここまで逃げてきたのに、追ってくるとは執念深い奴らだわ…
私が呆れて何も言えないことを、このパワハラ上司戦隊は、何か勘違いしてしまったようで、
「ああ、怖かったよね?遅れてごめんね?」
とか言いながら、その壱こと第一王子が手を差し伸べてきた。
腹が立ったので、その手を蹴とばしてやろうと思った矢先。
第一王子…面倒くさいからその壱で行こう。その壱の手が跳ね返された。
この一瞬で、私の周りに結界が張られたようだ。
その壱は痛いとか痺れるとかわめきながら、ちゃっかりその参ことボインのヒーラーさんに治療してもらっている。
そいつらを無視しつつ、私は件の結界を張った男こと魔王、ルメンに微笑みかける。
彼は、真っ赤な長髪に、金色の瞳を持つ、私が見たことがある人間の顔面偏差値ではぶっちぎり&不動の一位記録を更新し続け(当社比)、礼儀正しく性格もめちゃくちゃ良いという、自慢でしかない我が恋人兼婚約者である。
「悪い、遅くなった。」
そう言いながら、私を抱き寄せたルメンに、その壱はヒステリックな声を漏らす。
「お、お前は魔王!よ、よくも俺の聖女を奪ったな!?返せコラ!」
その壱をはじめとしたパワハラ上司戦隊は、いきなり現れたラスボスにだいぶ戸惑っていらっしゃるご様子。
せっかくなので、前世の知識の一つ――「ざまあ」なるものををやってみることにした。
「どうもこんにちは、不法侵入者さんたち?言いたいことは色々と溜まっているのですけど…まず、一つ。私、今幸せですよ?貴方たちの国で聖女の責務という名の過剰労働をさせられていた時よりも、ね」
なんかパワハラ上司戦隊全員が瞠目した。意外だったのかしら?
というか、そんな反応されると、私は無自覚にこき使われてたことになる。
そうなると、ひどく苛立ちが増すのだが。
「過剰労働!?どういうことだ!?私たちは、異世界より召喚した貴女を、聖女として最高の待遇を…」
「はあ?元の世界からいきなり飛ばされた挙句、召喚が成功してからの私への第一声が、『早速だけど、この書類を今日中に終わらせてね?』で、その書類って貴方方の国の財政構造改革案だったんですよ!?初手からパワハラ以外の何物でもないです!しかもその後、国中を覆う結界を張れだの、全国民の治癒をする義務があるだの、政治に参加しろだの、一日20時間働かされてたんですよ!?どう考えても過剰労働でしょこれ!?」
「ぐっ、し、しかし、これらは聖女の仕事であって…」
「聖女の仕事って言われても、いきなり異世界に飛ばされて右も左も分からない私に、説明なしにいきなり財政構造改革案押し付けるか?しかも、睡眠時間削って今までの聖女の履歴を書物で紐解いたら、確かに結界張ったり人の治癒してたりしましたけど、一日の総合的な勤務時間は5時間です!4分の1ですよ!?しかも、結界も治癒も、魔導士の人とヒーラーの方とのシフト制ですし!貴方方の国、魔導士もヒーラーもいましたよね?仕事、自分はサボっておいて、かなりの割合で生まれる魔導士とヒーラーなんかより貴重なはずの聖女にさせるとか、とんだクズ野郎ですよね?」
パーティーメンバーその弐こと、魔導士と、その参を睨みながら口にする。
彼らは、肉眼で見えるほどビッグサイズの冷や汗を流しつつ、盛大に目をそらした。
「おい、お前ら、ミユキに仕事押し付けるなんて、何してくれてんだ!?」
その壱が、爆弾発言を投下した。
ぷちっ
その瞬間、私の中で何かが切れた。
「貴方には絶対に言われたくないですよその発言!?何かにつけて政務を押し付けてきたのは貴方でしょうが!?記録には、政務を担当していた聖女なんて一人もいませんでしたよ!?」
「ううっ!?」
そんな無茶ぶりに私が耐えられた理由は、一つ。
私は、東大の法律学科志望だったからだ。
受験勉強で体力はついていたし、法律に関する知識も、そこいらの大人とはけた違いだ。
私が召喚された理由としては、そこらへんが原因なのだろう。
おそらく、彼らが仕事を押し付けやすい人間という条件で、聖女を召還したのだろう。
聖女召還の動機がクズすぎる。
しかし、極め付きが、これだ。
「しかも、寝不足で仕事の効率が落ちたら魔王の生贄にするし!友好のためとか言ってましたけど、聖女何ですかもう!全部貴方方のせいなのに、ポイ捨てってのはあまりにひどすぎる!」
「だ、だから私たちはミユキを助けに…」
「その必要はない」
声を上げたのは、ルメンだ。
「俺は少なくとも、お前たちよりはミユキを丁重に扱っているつもりだが?」
わあ…これはルメン、かなり怒ってるな…
この状態の彼はヤバい。
ここはおとなしく引き下がっといた方が良いのだが、この阿保は、救いようのないことに、逆ギレした。
「何を言っている!?魔王風情が調子に乗るな!」
――ふざけんな
今度こそ、私の堪忍袋の緒が切れた。
「ふざけないでください。生贄として送られた私を、ルメンはこの世界に転移させられてから初めて、私という個を認め、丁重に扱ってくれました。私を利用することしか考えていなかった貴方たちが彼を貶めることなんて、馬鹿馬鹿しい。そんな発言をするくらいなら、私に謝ることの方が先でしょう?まあ、謝ったって許せませんし、そもそも私がいないともう国が回らなくなったということにやっと気が付いたから、私を連れ戻しに来たのでしょう?その時点で、貴方たちの敗北は決定しているんですよ?」
『敗北?』
全員例外なく間抜け面をした、パワハラ上司戦隊の声がシンクロした。
私は、口の端を軽く持ち上げ、語りだす。
「皆さん、気付かなかったのですか?魔王城に辿り着くまで、一人の魔族にも会わなかったことを」
パワハラ上司戦隊は、そう言えば…とでも言いたげな表情をしている。
それに構わず、私は話を続ける。
「ルメンは、貴方たちが私に謝罪しようとするつもりだったならば、通そうとしていたのですよ。まあ、貴方方は私を連れ戻しに来ただけのようでしたので、こんなことになっていますが」
「こんな…こと、だと?」
その壱は、本気で分からないご様子。しょうがないので、先程までYouTu〇eが映し出されていた魔石を弄り、人間界の様子を映し出す。
『へ?』
そこには、大量の魔族が写っていた。
「貴方方のせいで、人間界はこれから魔王陛下の麾下になるんですよ。まあ、貴方方の悪政に民衆の皆様も耐えかねていたそうですので、この体制を歓迎している方が大半を占めているそうですよ?」
『なっ…!?』
「というわけで、お前たちはこの場で拘束させていただく」
はい、パワハラ上司戦隊は静かに激怒していた我が恋人に連行されていきましたよ…たく、最後まで愚かなままだったな…
まあとりあえず、私は今、幸せです!
ノリで書いたものを放置してました…(汗)
よろしければ、感想等送っていただければと思います<(_ _)>