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小石  作者: くりきんとん
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元小石

 小学生の頃、小石を蹴りながら通学路を渡るちょっとした遊びが流行っていた。

 俺もその例に漏れず、手頃な小石を蹴りながら学校までの道や学校までの帰り道を歩いていた。しかし、俺は他の人とは違い同じ小石を学校への行きと帰り、何年も続けて蹴っていた。


「おい、もっと真っ直ぐ蹴りやがれ。俺の美しいボディが側溝に落ちちまうだろうが。」


 そして今、大学生になった俺はなぜか巨大化し、喋るようになった元小石を蹴りながら通学していた。


 小石はサッカーボールくらいの大きさになっていた。ちなみに目がついている。犬みたいな目が付いている。こんなにも大きな石を蹴っているのでよく見られることが悩みだ。


 近所のおばさんに石を蹴っているけどそんなに大きな石を蹴って足を痛めないのか?と心配されてしまった。俺は何十年と蹴っているので右足が鋼のように硬くなったのだ。


 そして左右の靴のサイズも違っている。左は26cmなのに右は30cmもあるのだ。靴は違うサイズで二足買わないといけないことになるのが厄介だ。


「腹減ったな、砂場に行ってくれ」


 小石は砂上を転がりたがる。砂を食べるからだ。砂を食べるときはいつもは隠してる口がでてくる。口は人みたいに唇や歯がちゃんとある。もしゃもしゃベロベロと食らいつく姿は正直かわいいとは思えないので、あんまり見ないようにしている。


 満足した後小石は眠る。眠ってしまったら動かなくなる。100キロくらいの重さに変わるのだ。流石にそれは蹴れないのでしばらくの間待ってやることにしている。


 俺も公園のベンチで眠ってしまったようだ。俺の隣に誰か座っているのが視界に見えた。なんで横に座るんだよ。隣のベンチ空いてるのに。と思って立ち上がったら腕を掴まれた。


「なあ……今日がその日だったんだ。」


 意味がわからなくて怖くなったので逃げたが、小石をもってくるのを忘れて遠くから小石を探した。小石がいなくなっているのが確認できた。いったいどこに行ってしまったのか……


 ザザザザ……草むらをかき分ける音が聞こえて、小石だと思って振り返ったら、女の子がたっていた。


「おい、置いていくなよ!!!」


 いきなり女の子にそんなことを言われたのでびっくりした。


「お嬢ちゃん誰かと間違ってない?迷子?」


 女の子は真っ直ぐな目でこちらを見ていった。


 「俺は小石だぜ?ようやくこの姿になれたんだ!今日がその日だったってことよ。」


 俺の頭は追いつかない。沈黙が1分続いた。


読んでいただきありがとうございました。

SNSや感想、レビューなどの投稿やポイントを頂けたらやる気に繋がります。

次回作のタイトルは決まってますので、近いうちにまた投稿予定です。

楽しみにお待ちください。

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