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双子の姉妹の竜騎士/ドラゴンナイト  作者: 早乙女
第1章 運命
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第6話 解説の天使

 広大な草原で深呼吸をした、それは自分だけではなく他の一人と一匹もそうだ、気持ち良さそうにキュピキュピと鳴いている


おじいさん、もとい師匠も気持ちよさそうだ


 だがそれは瞬時に終わった


 突如目の前に隕石が落ちて来たかの様な重々しい衝撃音が響く、あまりの衝撃波に私と子ドラゴンは飛ばされてしまった

 体が宙に浮き最初に居た場所からかなり遠くまで飛ばされている、必死に手を伸ばし子ドラゴンを抱え込んだが―――これからどうしようか...


 もう駄目かと思った瞬間、師匠が目の前に現れ私と子ドラゴンを助けてくれた、師匠...


やっぱ師匠はすごい人だ!!



「大丈夫かのぉ」


「あ、ありがとうございます!師匠!」


「し、師匠...良い響きじゃの」


 つい、師匠と呼んでしまったが喜んでくれたみたいだ、意外と師匠はかわいいところがあるのかもしれない

 不意に師匠を見るが翼は生えていない、それなのに私達は今空を飛んでいる、不思議だ...

と、頭の中に浮かべたが、こうゆうのはどんどん聞いていこう


「あの、師匠!どうやって空を飛んでいるですか?」


「あぁ、これはのぉ『飛行(フライ)』という飛行魔法じゃよ、おぬし達ならば直ぐに覚えれるじゃろうて」



 てことは、グレース様もこの魔法を使っていたのかな、だったら私も覚えてみたい。それに、一緒にさっき見た夜空を一緒に飛びたい、飛んでみたい


 少しの間、師匠に抱えられ飛んでいく、やがて、飛ばされた場所まで戻ってくると一人の女性が草原にできたクレーターの真ん中にいた


 その人は、真っ白な翼を生やした天使様の様な姿をしているが、決定的に違うものがある―――輪っかだ。天使様は本来明るい色の輪をしている...はず...


―――それなのに、この人の天使の輪は真っ黒に光っており、形も綺麗な円ではなくトゲトゲしい攻撃的な形をしている。

それに真っ赤な色の瞳には十字架が描かれている、


 そしてそれら全てを霞ませる程に、胸が大きい、私とは比較にもならないし、シャスティー叔母さん達でも全く及ばないだろう

 この人が


 ――――――ゼルセラ様...


「あら、ごめんなさい、つい、いつもの癖で降りてしまいました、お怪我はありませんか?」


女神様の様なゼルセラ様の顔が近くに寄ると女の私でさえ、心にときめくものがある


「ハイ!大丈夫です!!」


 緊張で声が上ずってしまった、恥ずかしい...


「緊張しなくて大丈夫です、ご主人様に伺っておりますので、『ダイヤの原石だから頼んだぞ』って、ほんとは私が手取り足取り教えたいのですが...出来るだけ自由にとの事なので最初にこの世界のシステムだけ、軽く説明させてもらいますね」



 そこからの説明は果てしなく続いた気がした、体感的には半日くらいな気がしたが、実際には1時間も経過しないくらいだった

 

 正直、途中からは内容が難しく理解できなかったが要するに―――


 この世界は多数のエリアに分かれていてエリアの中には火山や雪山、草原や砂漠さらには天界や魔界などなど、その数は千を超えてくるらしい、各エリアにはエリアボスといわれるボス?モンスターと言われるモンスターが居るらしくそのモンスターはドロップ品を三種類落とすらしい


 一つは、装備、二つ目は家具や日用品、三つ目は食料



 装備は言うまでもないが加工された状態でドロップ?するらしくすぐに利用できるとの事

装備のレア度は初級、中級、上級、超級、伝説級、神話級、神格級、世界級、覇王級と別れているらしい

 レア度が上昇すればするほど能力や効果が上昇するらしい、その中でも『覇王級(オーバーアイテム)』だけは特別でドロップ品ではないらいい


 特定の条件をクリアすると貰えるらしく、ゼルセラ様も今はそれを探している最中との事


 この世界で20個しか覇王級(オーバーアイテム)は存在してないらしく所得条件も手探りで探さなければならない


 この世界で長く生きていたゼルセラ様でさえ現在4つしか所持していないらしく、何がトリガーとなってアイテムを取得できたのかもわかっていないらしい


 そしてこの後自分が所持しているアイテムを見せて貰えるらしい、ここまで来るのに1時間も経過しており、正直、まだ続くのかと思うとこの世界への期待も薄れて行ってしまうかもしれない


 ―――だが、そうはならなかった、私はゼルセラ様が取りだしたアイテムに目を奪われてしまった


 最初に取りだしたのは『覇者の神速』という靴のようなアイテムで、どこかで目にしたことがあるような気がしなくもないアイテムだ。


 取りだしたというよりも現れたという方が正解だろうか、その装備はゼルセラ様が既に装備していたものらしく、今まで私達の目に見えていたものは形態変化した姿らしい


 その装備の効果は空中に地面や壁などを自由に作り出し、歩いた時や走った時に属性を付与するといったものらしい

 最初にゼルセラ様が現れたときの落雷と爆発は付与した属性なのだろうか


 見た方が早いと何もない空中に足を掛けるとまるで透明な土台がそこに在るかの様にゼルセラ様の足が地面から離れたところで静止する。

 さらに歩みを進め、まるで階段を上ってるかの様に上がっていく、やがて降りてきたゼルセラ様は誇らしげに胸を張っている


 他にも『覇滅の天輪』という禍々しい天使の輪も覇王級(オーバーアイテム)らしいが効果は教えてはくれなかった

 さらに、『覇者の意思』と言う、どんなアイテムでも一つ交換出来るといわれているアイテムがあるようだ


 そして最後に紹介してくれたのが一番すごかったのだ―――


 ゼルセラ様が左手を前にのばすと真っ白なアームカバーを真っ黒な手袋の様な鎧が腕を包んで行く

それは左手だけで右手は真っ白なアームカバーのままだった


「さっきの説明の解説をするわね、各エリアのボスモンスターはアイテムを三つドロップするという話の解説なのですが―――」


 そう言い何もない空間に左手を伸ばすと突如その空間が歪み始め、なんの躊躇いもなく左手を歪みの中に入れる

 そして、何かを探るような表情を取りやがて、何かを掴んだらしくそれをゆっくりと空間から取り出す


 ―――中から出てきたのは、化け物だった。全長15メートルはあるかと思われる全身に毛を生やした巨大な()()だった。


 となりの子ドラゴンが酷く怯えており身を震わせている、獣としての感で命の危機を感じているのだろうか

 さらに隣では師匠が驚いた表情で『巨山熊王(キンググリズリー)』と言葉を漏らしていた、この化け物はそうゆう名前らしい、さらには「わしでも足元にも及ばんな...」などと口にしてる...



 ―――そんな化け物を片手であんなに簡単そうに倒せるの?!とは思ったがこの世界で長く旅をしていたのならそれも可能なのだろう...か?


「この熊はこの草原エリアの裏エリアボスなのですが、HP1だけ残して連れて着ました」


 え?裏エリアボスなの?それって強敵なんじゃないの?とか疑問に思うが今は説明を聞いていよう


 そんな細い腕でどうやって持ち上げているのかわからないが、軽々と巨体を持ち上げ空中に投げる、投げた手にはいつの間にか真っ白な剣が握られており、一瞬で熊の巨体を真っ二つに切り裂いてしまった、それも、いとも簡単に。


 熊の巨体が弾けると、説明通り三つのアイテムが地面に散らばった、綺麗な水晶玉のようなアイテムはとても美しかった


ゼルセラ様が水晶に近づき確認する


神格級(ゴッズネームアイテム)ですか...大したことないですね...残念...これはシザース、貴方に差し上げます」


 それを、恭しくもらう師匠が正直羨ましかった

 ちらっと聞こえた声の『神格級(ゴッズネームアイテム)』という言葉のせいだろう


神格級(ゴッズネームアイテム)』の位は上から数えた方が早いくらい高位のアイテムで私達にとってはかなりのレアなアイテムだ。―――師匠ずるい...


 残りのアイテムを確認すると少し微笑んだ気がした


「これは貴方たちに差し上げますね、『バスルームキット』は乙女の必需品ですからね」


 ゼルセラ様が何かを飛ばすように手を動かすと、自分の中に何かが入って来る様な感覚を覚えた


「それが、『収納(ストレージ)』という初期スキルです、まだ、スキル自体が低ランクなのでアイテムは9個しか収納出来ないですが、少しすればそれなりに増えるはずですよ」


 試しに心の中で『収納(ストレージ)』と思い浮かべると目の前に宝箱の様な物が目に映った

それは他人には見えないらしく触れもしないようだ、きっとさっきのゼルセラ様の様に歪んだ空間に手を伸ばしているように見えているのだろうか


 ボックスの中には水晶玉がありうっすら綺麗なお風呂の様なものが映っている、これがさっき言っていたバスルームキットなのだろう、レア度は☆10と書かれており超級のアイテムの様だ

 再度何かが体に入ってくるような感覚を感じボックスの中を見ると水晶が一つ増えている、水晶には種の様なものが描かれておりその横には『3』という数字が描かれている


「それは『力の宝種(ほうしゅ)』といってそれを畑で育てればやがて食べ物になります、食べると攻撃力が永続的にアップするのでガンバって育ててくださいね」


 とりあえずの目標は畑を作って種を栽培してお風呂に入る!これでいいのだろうか...


「5年後にまた来る予定ですが、このエリアを突破するのはかなり先になりそうなので他のエリアの事に関してはまたその時にお話をしましょう、それと、これは私からのプレゼントです」


『絶対に5年以内にこのエリア突破する』と心の中で決意を固める、グレース様の期待に応えるためにも...


 プレゼントは師匠に送られたらしく、「ほ、ほう」などと、唸っている


「龍王たるわしが初心者とは...なんとも言えませんな...」


「初心者キットは木製のプレハブと小規模な畑を作ってくれます、中のチェストボックスには最初の方の冒険で役に立つアイテムが入っているわ、それらのアイテムはミシャちゃんとドラゴンちゃんで使う事、いいわね」


 元気よく返事をしたのを確認すると、ゼルセラ様がふわりと宙に浮く、勇気を振り絞り聞きたかった事叫ぶ


「ゼルセラ様はグレース様といったいどのような関係なのでしょうか」


 一瞬眉毛がピクピクした後考えこんだ、ご主人様と言ってたのだから、主人と従者ではないのだろうか


「主人と従者...いや、その前に私達は父と子...そうですねぇ私たちは父と子―――つまりはグレーステ・シュテルケ様の娘ですね♪」


 そっか...グレース様にはもう奥さんが居るんだ、気持ちが少し落ち込むがむしろいない方が不自然だろう、そう自分を慰める


 その後、ゼルセラ様はゆっくりと上昇し物凄い速度で飛んでいった。

後ろで雷がバチバチとしているが、気にしてはいけない



 師匠が開けた草原で水晶を使うといわれた通りに木造の家が現れた。


今日からここが―――私たちの家だ。


 となりで子ドラゴンも嬉しそうにキュピキュピとはしゃいでいる。

 楽しそうでなによりだ。


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