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双子の姉妹の竜騎士/ドラゴンナイト  作者: 早乙女
第1エリア 大草原
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第13話 反抗期

「師匠....」

「どうやらテイム出来たようじゃな」


 師匠がイチゴの頭を撫でるが、イチゴは何の凶暴性も見せない。

 大人しくなされるがままだ。

 なぜ?という疑問は残るが...きっと師匠が強いから反抗できないのだろう...。

 師匠から見たら小さな兎でも...私の能力からしたら巨大な化け物。

 現状、シリュウと協力した所で勝てる道理はない。


「ふむ、能力不足で言う事聞かないようじゃな」

「そうなんです...戦ってくれないんです...」


 イチゴのステータスを眺めながら師匠は考え込む。


「ふむ...確かにこのステータスならこの辺り一帯なら無双できるしのぉ...」


 この辺りのMOBは大体ステータスが二桁、ロード級で四桁。

 四桁級を見たのは今のところこのイチゴだけだ。

 それに召喚獣になったことで様々な追加能力を手に入れほんとの意味で無双状態だ。


「そうじゃなぁ...イチゴよ...」

「はい」

「この子達が草原のエリアボスを倒せたら協力してやってはくれんかの」

「はっ畏まりました」


 えぇ...せっかくの私の召喚獣が...


「契約石に戻るのは嫌かのぉ?」


 師匠の問いかけに対しイチゴは唇を噛みしめる


「・・・お望みとあらば...」

「ほっほっほ。よいよい。感情をもっとるのじゃろ?ここで自由に暮らすとよい、その代わり、この子達のサポートだけ頼むかの」

「畏まりました」


 あら...すごい素直...。


「しばらくわしは出てくるからの、頼んだぞい」

「はっ」


 師匠はゼルセラ様に貰った刀を手に持つとその場から一瞬で姿を消す。

 私はどうしようかな...召喚獣も使えないし...地道にレベル上げるしかないかなぁ...。


「シリュウ。私今からその辺で地道にレベル上げしてくるね」

「きゅっぴー」


 ダメだ...なんて言ってるかわかんない...

 分かってくれたのかな?


「行ってらっしゃい。だそうです」

「え?うん!行ってきます!!」


 シリュウの言葉を訳してくれたのかな?

 ウフフ...案外かわいい子じゃん

 いつか一緒に戦おうね。イチゴ!


 ―――――――――――――――――――――


 見送ったはいいものの....私は何しようかな....


「何故、自分で話さないんですか?」

「きゅぴ??」


 まさか気付いてる?


「秘匿スキルで言語理解を隠してる理由を聞いているんです」


 やっぱり気づいてたか...


「内緒にしてくれる?」

「えぇあなたには恨みもありますが、一度敗れた身、それくらいは守りましょう」

「恨みって...弱肉強食だから仕方ないじゃない...」

「えぇ、だから私も責めてはいません」


 子ウサギと舐めてたけど中々侮れないわね...

 背を向けて拠点の二階に歩き出すとしっかりついて来てくれるので、そのまま歩く。

 見送ったけどやっぱりミーシャの事が心配だ。


「ふぅ」


 私が二階のベランダで一息つくと後ろから足音が聞こえてくる。

 明らかに二足歩行の足音に振り返ってみればそこには白髪のおさげがよく似合う赤目の少女の姿があった。


「まさか...イチゴ?」

「えぇさすがにあの姿で家事は大変ですからね」

「まさか人型になれるなんて...」

「契約できた時に進化を果たし獲得しました。念のため秘匿しておきましたが」


 意外と思慮深いようだ。

 メイドさんみたいでかわいい....

 幼げな表情に小動物の様に華奢な身体...


「ミーシャには内緒よ?」

「えぇ問題ありません、むしろこの身体で接したほうが良いのでは?」

「確かに...小さい兎よりかは...ましかな...」

「それは、あの姿はましではないと??」

「違う違う!!兎に世話をされるよりかは同年代くらいの子の方がましかなって」

「あぁそういう事でしたか」

「召喚主がいまだに幼いせいで...私の体まで幼くなってしまいましたが...」

「その姿って...ミーシャのせいだったんだ」


 遠くで戦っているミーシャを眺めながらクスリと微笑む。


「それで、どうしてご自分でお話になられないんですか?」

「私は元々双子だったの」

「双竜?でしょうか?」

「いいえ、前世の話です。私の前世の名前はマーシャ・ストロニア」

「まさかミーシャの?」

「そうなの、ミーシャの双子の妹。それが前世の私」

「ではどうして今は竜に?」


 一呼吸う置き微笑む。


「私は死んで、ある御方に助けられた」

「ある御方?それは?」

「この世界の創造主様」

「????にわかには信じられませんね」

「そうよね、だって貴女はその創造主に作られた存在なんだもの」

「信じられませんが...」

「信じてもらえるとは思ってないわ、ただ、今から5年後あの御方の使者様がここに来られる...だからその時までに私たちは強くならないといけないの...」


 キョトンとするイチゴをさて置き話を進める。


「私が直接ミーシャに話しかけない理由...それはね...怖いの...」

「怖い?感動の再会ではないですか?」

「ミーシャは私が死んだと思って必死に生きている...」

「死んでなかったのならミーシャもうれしいのでは?」

「きっとミーシャは負い目を感じてるはず...私を死なせた事...私だってそう...ミーシャの手を汚させてしまった...私以上に優しくて綺麗なミーシャの手を自分勝手に...」

「そんなに気負わなくて良いと思いますが...」

「そうかもしれない...でも...なんて声を掛けたらいいかわからないの...」

「そうですか...話してくれて感謝申し上げます」

「まだ終わってないけど...」

「もう大丈夫です。随分とお辛そうだったので」


 私は気づいていなかった。

 私の頬を涙が伝っていたことを...。


 いつの間にか日が暮れそうになっていた。

 遠くからミーシャを眺めていただけで随分と時間が経っていたらしい。


 二階から一階に降りてミーシャを出迎える。


「はぁ疲れた~シリュウ~」


 愛しい愛しい私のミーシャ...

 今も昔も...これからもずっと....マーシャはミーシャの事が大好きです


きゅぴー(おかえりなさい)!」


「ただいま~」


愛しのミーシャ...今はまだごめんね。私の勇気が足りなくて....


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