表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/9

ローグ、修業の場が実は妖精郷だったと知る

 山道を歩く。

 

「ちょっ…まっ…ハァハァ。早い。早いってば!」


 予想外だが一番遅れたのはベガやアルタイルではなくて、リタだった。ベガやアルタイルは魔物ハーフなので、見かけによらず体力があるらしい。


「リタ、おそいーっ!」


 アルタイルが軽口をたたく。笑顔。笑顔だ。街を出てから数日、アルタイルやベガが少しずつ笑うようになった。最初はずっとこわばった顔をしていた。当初の目的、世界を救う。そのことを真剣に考える。休憩をはさみながら、ゆっくりと山を登っていく。


 山を登り、谷を降り。山を登り、谷を降り。そうやって7日ほどかけて、俺が修業をしていた谷につく。


「へー、もっと地獄みたいなところで修業してたのかと思ったけど、けっこう綺麗なとこじゃない?」

「なんか、見たことない果物とかある!おいしそう!これ食べられます?」


リタとアルタイルがはしゃぐ中、ベガが、目を丸くして硬直していた。


「どうした?ベガ」

「こっ、こっこっ、こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、ここ!」



「ここ、妖精郷です!!!!!!!!!!」



◇ ◇ ◇



 妖精郷。

 名前だけは知ってる。

 おとぎ話とかによく出てくる、妖精の住まう郷。決して人間がたどり着くことはなく、もしたどり着いてしまった場合、二度と帰れないという。


「たどり着けたし、帰れたのだが?」

「正しくは、妖精が昔住んでいた元妖精郷です。今はすんでいない…どうしてここを離れてしまったのかわかりませんが…、妖精の気配が、まだ、そこかしこに充満してます」

「ローグさん、ここの食べ物を食べたり、湧き水を飲んだりしました?」

「修業中に飲んだり食べたりしたが?」

「なんてことを!」

「妖精郷の飲み物食べ物を普通の人間が食べたら、不老不死になっちゃいますよ!ローグさんが以上に若いのも、そのせいです!」

「そうなのか」

「へーえ、そうなんだ、じゃあ、飲んでみよ」

「飲まないほうがいいです!人間じゃなくなりますよ!」

「俺は人間じゃないのか」

「いえ!ローグさんが人間じゃないとか、そういう意味でいったのではなく!」

「いや、冗談でいったんだ、別に気にしてない」

「ローグさんは真顔で冗談を言わないでください!コミュ障ですか!」

「すいません、ずっと山にこもっていたもので」

「…ローグさん、ずっと山に、15年こもってったって言ってましたよね…15年…?」

「ああ、正確な時間はわからないが、山にこもって外に出た時に木の年輪で確認した。ここでは、いつも花が咲いていて季節がわからないからな」

「この妖精郷では、時間の流れが違うんです……外の世界での10年は、ここでの1年に相当します」

「つまり、どういうことだ?」

「ローグさんが修業していた時間は、15年じゃなくて、150年です……」

「アハハハハハハハハッハ!」


 リタが笑う。


「そりゃあ、あれだけ強いわけだ。っていうか150年修業って!おかしいって途中で気づけよ!」

「いや、おかしいと思ってたんだ。どんな大けがをしても死なないし、そこの木の実を食べたら、どんな大けがをしてても治って疲れが取れるし」

「おかしいと思ったらなんとかしろよ!」


 リタとアルタイルに左右から突っ込まれる。


「ローグさん、この郷のことは絶対に秘密です!私たちだけの秘密です!いいですね」

「わかった、約束する。でもなんでだ?」

「もしかしたらいつか、ここに妖精たちが戻ってくるかもしれないからです、わかりましたか?!」

「わかりました」



 そうして、4人で指切りをして、洞窟に置いてあったもろもろの道具と、そして、ドライフルーツにしてあった『ケガが治る不思議な木の実』を入れた袋をもって、この郷を後にした。



面白い!続きが気になる!と思われた方!ブクマしていただけると励みになります!あと、広告下の【☆☆☆☆☆】で評価していただけますとさらにうれしいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ