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ローグ、新しい仲間と自己紹介

 廃墟の街から壁の前につながる扉を壊す。ここらへんの強い魔物が扉を通って壁の前に現れると大変だからだ。

 廃墟の街で比較的綺麗な家に入り、そこで、これからどうするかを相談することにした。街の中から食料をかき集めてくる。『調理』のメダルと使って、料理をしようとするが、リタが自分がやるといって料理役を買って出てくれた。アルタイルとベガも手伝う。

 リタたちが作ってくれた料理はうまかった。ずっと山籠もりをしていたので(練習で調理のスキルを使ったことはあったが)久しぶりに人間のご飯を食べた気がする。それに、人と食う飯はやっぱりうまい。

 食事をしながら自己紹介をする。自分が昔、アキラのパーティーにいたこと。置き土産のガントレットのこと。15年山籠もりをしていて、今、世界がどうなっているのかを全然知らないこと。

 

「じゃあ、アンタ、もう40歳近いってこと?!とてもそんなふうには見えないけど?アタシはリタ。名前はもう話したね。21歳。5年前、この街が襲われたときに魔物につかまってそれからあんな状態さ。父さんと母さんはもう死んでると思う」

「ちょうどアンタが山籠もりを始めたころかな。魔物が世界にあふれ出したのは。この大陸の端っこにケートスの洞窟ってのがあったろ?何もない洞窟だったが、ある探索者がその最深部で、『何か』を見つけたらしい。それから、その洞窟からどんどん強い魔物が現れるようになって、そして、世界中でも魔物が現れるようになって、そして、まあ、ご覧の有様さ」

「あの壁を見ただろ?世界中の国が、今、あんなふうに壁の内側に閉じこもってる、その外側は地獄さ。辺境のほうじゃ、なんとか、町の形を保ってる場所や村もあるらしいけど……」

「なんとか、人間の土地を取り戻そうと、兵団を組織して奪還作戦をやってるらしいけど、みんな失敗してる。魔物が強すぎるんだ」

「壁の内側にこもってたら安全かっていうとそういうわけでもない。いつも魔物たちの攻撃にさらされていて、滅んだ都市もいくつもある。街の内側での人間関係の問題もある、それで滅んだ街もある」


 今の世界の状態を聞く。思っているよりも悲惨な状態らしい。


「私は、アルタイル。年は、多分、14歳くらい、だと思う。こことは、別の場所で生まれて、ここに連れてこられた。お父さんのことは知らない。どういう魔物だったのかも。お母さんは、私が小さいころに死んだ。それから、リタさんがお母さんの代わりをしてー」

「お姉さん!」

「お姉さん替わりをしてくれてる。あの城では、ほかの女の人たちと同じ扱いだった、多分、魔物たちの中にも、私みたいな人間の居場所はないのだと思う」

「あの城の中には、たくさんの本があって、それを読むのは許されていたから、たくさん本を読んだ。それが、なにか、あなたの役に立てればいいと思うのだけれど。一緒に、旅をするなら、足手まといは嫌です。なにか役に立ちたいです」


 足手まといが嫌という気持ちはよくわかる。俺もそうだったから。


「私の名前はベガといいます。私も…自分の歳はよくわかりません。物心ついたころからあそこにいました。実は…、私、ローグさんが、助けに来てくれることが、わかってました」


 どういうことだ?


「私、アルタイルと同じように、魔物、の子供なんですけれども」


 と羊のような形の角をなでながらしゃべる。


「アルタイルよりも、魔物の血が強いみたいで、だからなのか、不思議な力が使えるんです。予知ができて、だから、ローグさんがここに来ることを少し前に知ってました」


 『鑑定』のメダルと使う。『予知』『遠見』『治癒』のスキルが見える。あと二つ、『×××』『×××』と名前の読めないスキルがある。これは、この子が成長するにしたがって使えるようになるスキルなのかもしれない。


「アルタイルは、目の形が違うだけだから、きっと、街でもごまかせば暮らせると思うんです。それを、私のために、こうして残ってくれて。だから、私、アルタイルのために何でもしたい。私も何でもします。だから、そばにおいてください」


 友情。俺とアキラも、そしてリナハとアビーもこうだったんだろうか。こうであったならいいな。正直、俺は、この三人を置いていこうと思っていた。どこか適当な街の前において、立ち去ればいいと。でも、それは間違いなのかもと今は、少し思っている。


「で、これからどうするの?」

「ひとまず、俺が山籠もりしていた山の洞窟に戻ろうと思う。そこにいろいろ置いてきたものもあるし」


 そうして、俺たちは街を離れ、山へ向かった。


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