ローグ、レッドドラゴンと魔族を倒す
15年の山籠もりを経て、街に降りてくると、街は廃墟になっていた。魔物に襲撃されたらしい。廃墟の具合から、数年というところだと思う。街の入り口には、多分街を取り戻しに来た冒険者たちの亡骸がいくつも転がってた。
そして、正門の前には、巨大なレッドドラゴンが赤い舌をちらちらさせていた。
ドラゴンがブレスを吐く。ブレスを躱す。剣をふるう。レッドドラゴンの首が落ちる。
18年前の俺たちだったら、最初のブレス一つで全滅していただろう。ちなみにこれはガントレットの力ではない、鍛えた俺自身の力だ。こんな相手に、ガントレットを使うまでもない。
雑魚(といってもCランクくらいはあるが)の魔物を切り捨てながら街の中心へと向かう。巨大なシロアリの巣のような建造物がある、おそらくあそこに魔物の巣、ここらへんの魔物を操っているボスがいるのだろう。
シロアリの巣を登っていくと、最上階にボスがいた。グネグネと動く不定形な体をしている。
「人間がここまで、来るとは、あのレッドドラゴンを何とか倒したようだが、我はあの100倍は強いぞ?」
魔物がしゃべった。どうやら、魔物の上位種、魔族らしい。違う世界から来てるとかなんとかだけれども、そんなことは関係ない。俺は、剣をふるう。魔物の体が両断される。だが、両断された体がすぐにくっついた。
「フハハハハハハハハハハ!馬鹿め!我の体は液体でできている、剣は効かぬ!見たところお前は戦士タイプ!魔法は苦手と見た!終わりだ!」
敵がとびかかってくる。よし、『ガントレット』の出番だ。
『ガントレット』に凍結のメダルと入れる。メダルが回る。青白い光を放つ。弾丸のように飛んでくる液体の触手を躱しながら、敵の本体に向けてガントレットを向け、“気合”を籠める。
「凍れ」
ガントレットの先端から冷気が放たれる。絶対零度の凍気が敵を襲う。冷気を感じることもなく敵の体が凍結する。
「しまった、加減を間違えた」
敵を凍らせた凍気は、勢いを弱めずに、そのまま建物全体を凍らせる。素材による熱収縮率の違いで、建物全体に大きくひびが入る。そのひびは加速度的に大きくなり、建物自身が音を立てて崩壊する。
崩壊する建物とともに落下しながら、ガントレットに『探索』のメダルをはめる。崩壊する建物全体の立体映像が目の前に広がり、そこにいくらかの赤い点と青い点。青い点は人間だ。やはり捉えられている人間たちがいた。このままだと建物の崩壊に巻き込まれてしまう。本当にしくじった。俺は昔からこうだ、肝心なところでドジをする。
落ちていく建物の破片を足場に、落下する構造物よりも早く、人間が捉えられている地下へ向かう。床を切り落とし、建物の崩壊よりも早くその地下牢へ到達することができた。
地下牢には裸の女たちがたくさんいた。おそらく魔物たちの慰み者になっていたのだろう。魔物たちへの怒りが沸き上がる。ただ、今はその前にやるべきことがある。ガントレットに『防壁』のメダルと入れ、天井へ向け、メダルを発動させる。
ゴウウウン!と重く、金属がきしむような音がしたと思ったら、天井が吹き飛んだ。またやりすぎた。落下してきた建物の破片が、跳ね飛ばされ、四方八方へ飛び散る。数秒して、ドスンドスンと重い音が響く。跳ね飛ばされた大きな破片が、数百メートル先に落下した音だ。数分して、破片の落下音もなくなり、安全が確認されたところで、防壁を解除する。
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