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あれ?バックフローがない
それに気付いた途端、冷や汗が流れた。
点滴をするために刺した注射針。そこから血液の逆流がない。
「結城さん、一度抜きましょうか」
山下指導看護師は私の焦りを察知して、優しく声をかけてくれた。
見かねた山下指導看護師が、患者様の腕にサッと針を入れた。それを固定して点滴を繋げる。
その後、山下指導看護師に呼ばれた私は、奥の休憩室に連れてこられた。
「結城さん、今日はどうしたの? 何回、針刺しを失敗しているの?」
「すいませんでした」
急に針刺しがうまくいかなくなってしまった私は、悔しさで奥歯を噛み締めた。
新人看護師に訪れる、壁にぶつかっていた。それを克服するため、私はこれまで以上に働いた。