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――桜花総合記念病院 女子更衣室
憧れの桜花総合記念病院の白衣を手にした。鏡の前で白衣を自分に当てて、長かった今までの事を思い返していた。
「香織、早く着替えないと遅れちゃうよ」
「今日配属先の発表だよね」
「うん! 香織は第一希望救急外来で出したんだって」
「もちろん! 優子は?」
「産婦人科だよ」
2週間の新人研修を受け、今日が最終日。看護部長から配属先の発表があり、それぞれ病棟に配属され看護師1年目がスタートする。
会議室には、希望に胸をときめかせている子、不安と緊張で涙目の子もいる。それだけ配属先の発表は緊張するものだ。
「それでは、皆さんが気になっている配属先の発表をします」
看護部長の声が響いた。
どんどん発表が進んでいき、まだ名前を呼ばれていない私と優子の緊張は最高潮に達した。
「結城香織。あなたを、救急救命科、集中治療室勤務を命じます」
「はい」
「藤澤優子。あなたを、産婦人科勤務を命じます」
「はい」
それぞれの病棟の看護師長に連れられて、病棟に向かう。私は看護師としての一歩を歩き始めた。