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茶飲み友達になった

2話めです。

アメジスト王は、深いため息をついた。


「久しぶりに大魔法を使えるかと思ったのに、なんだその願いは」


その顔から満面の笑みは消え、どうやら一緒にかぶっていた猫もおろしたようだ。

アメジスト王同様に、私も彼を残念な生き物をみるような目でながめる。

何とでも言えばいい。

過ぎた望みは身を滅ぼす

それは、私の前世からの信条だ。


「それで? 望みは叶えられるの? 叶えられないの?」

「ほう、人にしては、おもしろい内包物(インクルージョン)をもっておるな、人の子よ」


どうやらアメジスト王は、人の話を聞く気がないらしい。

彼はそっと私の額に手を触れ、勝手に私の検分を始めた。温かい光が額から体中に流れ込んで、私の体内をゆっくり満たしていく。

別に不快ではなかったのでしばらくは彼のしたいようにさせていたが、なかなか検分は終わらない。待たされている方としては、だんだんいらいらしてきた。


そもそも、何で一方的に覗かれっぱなし? 望みを叶えるんじゃなかったのか。


あまりにも癪に障ったので、逆に彼の中身を覗けないか試してみることにした。

彼が触れている額に意識を集中させて、流れ込んでくる光に抗って押し入るようにイメージすると

「何をする!」

アメジスト王は急にびくっと体を引きつらせると、私から慌てて飛び退った。


「我の中に勝手に押し入ろうとは、どういう了見だ!」

強い口調で私をにらみつけてくる王に、私もジト目で対抗した。

「先に断りもなく、勝手に押し入ってきたのはそちらですよね?」

まだ願いも叶えてもらってないし…


私の言葉に一瞬うっとひるんだアメジスト王だが、すぐにばつが悪そうな顔になった。


「それは、…すまなかった」


どうやら、素直な性格らしい。

いいのか、王たるものがそんな簡単に謝って。そんなに分かりやすくなんでも顔に出して、部下になめられたりしないのかと密かに心配してしまう。

まあ、余計なお世話というものだろうが。


「久しぶりに人の子に出会ったので、ちょっと興味がわいたのだ。許せよ人の子。覗いた際に、痛んだ体も回復させていたのだから、そなたにとってもそう悪い時間ではなかったであろう?」


そう言われて、改めて手足をぐるぐるさせてみると、なるほど起きたときに感じた体の痛みがすっかり消えてしまっている。

とりあえず、「ありがとうございました」とお礼を言っておいた。


アメジスト王によると、そもそも人が精霊と言葉を交わすこと自体がまれなできごとで、子どものクセにまったくおびえる様子もなく自分に話しかけてくる人族が珍しかったのだそうだ。

どうやら普通(?)の人では、精霊と触れ合ってもほんのり温かみを感じる程度にしか認識できないものらしい。精霊側から人に聞かせるように話しかけた場合は別として、一般的には言葉を交わすことはもちろん、その姿をはっきり視認することも難しいのだそうな。

あーそうですか。

つまり、相手に見えてないと思って好き勝手しようとしたら、全部丸見えだったんでびっくり、てな感じかな?

やっぱりもう一度ジト目で見ておこう。

っていうか、もう名前長いから「アメ」ちゃんでもいい?


自分でもちょっと砕け過ぎかと思ったが、別に「真名(マナ)」を呼ぶわけではないので通り名で何と呼ばれようが全く構わないとのこと。私も通り名を聞かれたので、前世で使っていた「すみれ」の名前を教えておいた。

何だかもう、茶飲み友達のようだなと思ったら、どこからともなくハーブティーが出てきた。

ますは、願い事の一つ目が叶ったってことでいいのかな?


アメちゃんが入れてくれたハーブティーは、すっとした香りがして飲むと何だかほっこりした。

話がなかなかすすみませんね(汗)

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