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異世界転生物語〜二度目の人生は剣士となる方向性  作者: 飛鳥
三章 少年期〜王都脱出編
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三章18〜“研ぎ澄まされた感覚”

 

 蜥蜴を挟むように俺たちは立つ。


 今蜥蜴ジュラテッカは姿が見える。

 いつでも消えておけるわけではない無いのだろう。

 俺は蜥蜴と遭遇した数少ない状況を必死に思い出す。


 一度目はミシェイルが発見したが、そのまま消えた。

 場所は川を挟んだ草叢だったか?いや、岩もゴロゴロしてた。

 そして反撃した時に姿が見えた。

 二度目は樹上から降ってきた。

 アルフリードを攻撃して姿が見えて、すぐに草陰に隠れた。

 そしてまた透明になってからレイスに襲い掛かった。

 逃げ足が速いので見失いがちだが…この蜥蜴は消えるには条件があるんだ。

 まだ仮説の域を出やしないが…。

 だとしたら…チャンスはある。

 特にその条件さえ読めれば…!


「援護お願いします!」


 俺はそう叫びながら蜥蜴に斬りかかった!

 修行を思い出しながら……。


 俺にはまだまだ大きい剣を両手で持って、しっかりと細心の注意を払った踏み込みと共に重心の位置を確認しつつ剣を振るう!

 決して大降りにならないように、だが軽い一撃にならないように意識を集中させる。


 この蜥蜴の動きは俺より遥かに速いのだ。

 気を抜けば勿論、隙を見せたら一瞬にして殺される。


「ッ!!シールドライト!」

「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 勿論どれだけ気を払っても未熟な俺には隙がある!そこらはアルフリードがなんとか魔法で守ってくれる。

 リドルフは俺が斬り込む意図が掴めていないからだろうが、不安げな顔をしている。

 いや、ただただ心配してくれているだけの可能性もあるか。

 無謀にも見えるかもしれないが、もしもう一度姿を消されたら間違いなく死者が出る。

 アルフリードの状態を考えても俺がフォローしてもらいつつ、少しでも回復の時間を稼ぎたい。


 アルフリードも傷の応急処置を済ませると、剣と盾を持って蜥蜴の背後から襲い掛かる。

 蜥蜴は敏感にそれを察知して一気に飛び跳ねて距離を置く。


「逃がさない!」


 俺は更に足に力を込めて地面を蹴る。

 退く蜥蜴に向かって距離を詰める。

 世界の色が一瞬失われるような感覚に襲われる。

 音も消え、空気を肌で感じれている。

 蜥蜴が体を捻るのがわかった、何となくだがそんな予感がした。

 何か当たれば死にかねない状況に五感は勿論敏感になる第六感。

 俺は第六感を信じて姿勢を限界まで低く下ろして、滑り込む。


 蜥蜴は捻りを利用してそのまま腰を回し、本来人の姿をしている者にはない尻尾を振り回す攻撃を差し向ける。


 姿勢を低く滑り込む俺の、顔の真上を通過する。

 同時に地面を叩くように押して、飛び起きながら蜥蜴の腰から剣を両手でアッパー気味に全力でスイングした。


「レオリス…君は……」


 何か声が聞こえた気がするがそれどころではない。

 見事に剣は蜥蜴の腰に食い込み、剣の刃から血が滴るが、まだ終わらない。

 俺の筋力では剣で両断なんて不可能なのだ、そんなことは知っている!経験済みなのだ。

 だがやりようはある、イメージは出来ていた。

 剣の刃に右手を当てる。


「インパクッ!」


 俺に蜥蜴が振り払った腕が直撃し、魔法を唱え切る前に吹き飛ばされた。

 地面に落ちてもその勢いは止まらずにそのまま転がり続けて木に激突する。

 全身が痛いし、顔の感覚が乏しい。

 頭部から流血しているのだろうが、視界が赤い。

 同時に色が、音が耳に頭に入ってくるのがわかった。


 痛みに支配されてフラフラして意識も朦朧としている自覚がある。だが剣を手放していなかった。

 別に意識していたわけではないが、左手は剣を握って、殴られた拍子に蜥蜴の体から離れてここまで俺について来た…愛やつじゃ…。

 そんな事言ってる場合ではなかった。


 蜥蜴は激昂していた。

 目がさっきと違って血走っている。

 俺に追撃を与えてトドメを刺そうとしているのだろうが、間に既にはアルフリードが立って斬りかかっていた。


「レオリス様!!」

「レオリス!生きているか?」


 おいおい勝手に殺すなよ。

 妹と似てるからって怒っちゃうぞ?そんな元気があればね?


「ゴホッゴホッゲホッ…はい、大丈夫です」


 顔が腫れてるのが見なくてもわかる。

 多分体の骨もどっか折れてるかヒビくらいは入ってるだろう。

 でもまだ立てる。


 アルフリードも肩を負傷して戦っている。

 剣を振る手が重そうだ。

 更に顔色も良くない。

 ただ戦っている中で俺の仮説は確信に変わりつつある。

 奴は恐らくジッとその場に止まることで透明になる。

 つまりその間無防備になるから離れたいし隠れたいのだ。

 人に当てはめるなら、つまりコソコソ隠れて魔法みたいな感じで何かを唱えると透明になることが出来るって言う仮説である。

 張り付いて攻撃を仕掛ける事で透明になるのを防げば……あるいは!


「はぁぁっ!」


 木の隙間からレイスを抱えたクリスが飛び出して来た。

 クリスの剣は蜥蜴の片腕を見事に斬り落としていた。


「クリス!」

「クリスさん!」

「クリス様!」

「母様っ!」


 クリスはこちらを確認する。

 顔色の悪いアルフリードと、恐らく腫れ上がった顔をした俺を見て、表情を一瞬歪めるがすぐに蜥蜴に視線を戻す。


 腕の中でグッタリしてるレイスが気になるが、とりあえず勝ちの目が見えてきた。


 俺がそう思ったところで、嫌な気配…いや音が聞こえてきた。

 大量のソードウルフがクリスを追いかけてやってきたのである。


 作戦は完璧とはいかなかった。



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