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七章7〜“vsルシエル”

 一瞬だった。

 エイルーナが飛び出して素早い攻防の後に、エイルーナは蹴り飛ばされた。

 すぐに魔法で氷の短剣を生成したルシエルはエイルーナに当たらないように、しかし当てようと思えば当てれるのだとアピールするようにすれすれを狙って投げつけた。


 短剣は狙い通りにエイルーナの目の前に突き刺さり、これで自他共にエイルーナの敗北が明らかになった。

 同時にミシェイルが駆け寄って行く。



「女の子を蹴り飛ばすなんてひどいなぁ」

「手加減はしたさ……最後の蹴りはな」


 それ以外はそれ程手加減していないのだろうか?

 そもそもエイルーナに合わせてなのかはわからないが、最後以外魔法を使っていない。

 近接に特化したエイルーナと接近戦に応じる意味も…なんて考えてしまうが、意味がないのだ。


 ルシエルからすれば選択肢の一つに過ぎず、接近戦に応えて、そして誘い出してカウンター。

 鮮やか過ぎる手並みとしか言いようがない。

 俺ならあそこで掻い潜る選択肢をするか悩むところだが、エイルーナなら確実に…と思う。

 そういう相手の性格も計算に入れて誘い出したのだと考えれば試合巧者と言えるだろう。


 エイルーナはむせ返って血を吐き出しながら、ミシェイルの治療を受け、顔色を少しずつ回復させている。


「…もうやるか?」

「…そうだな」


 ルシエルの問い掛けに返事を返す。

 レイスも手を貸してエイルーナを移動させる。




 俺も剣を抜いて左手に握る。

 まず問題点として、俺は魔装を扱えない……。

 基本的な身体能力でも劣っているにも関わらず、強化された身体能力にはついていけない。


 特に速さである。

 力はパワーアームズを使えば対抗する事が出来るのは、わかっている。

 それでも速さは無理だ、俺にだって加速方法は存在するが、それは瞬間的な加速に特化した移動方法、意識せずともいつのまにか出来るようになっていた歩法。

 マナで作り出した足場を蹴ることで、急加速する…意表を突けばかなり効果的だが、対峙した経験は勿論共闘したこともあるルシエルには通用しないだろう。

 だが、試したいことがメリエルを見て思いついた。


 メリエルが2人の間に立って、交互に視線を移している。


「準備はいい?」


 俺もルシエルも頷く。

 俺は左手の剣の感覚を確認しながら右手を腰の刀に添えた。


「はじめっ!」

「インパクトソード!!」


 予めマナを込めておいた右手から刀にマナを移しながら引き抜きつつ振り抜いた。

 青白い光を帯びた刀から圧縮された三日月の形をしたマナの斬撃を放つ。


「パワーアームズ!」


 ルシエルが横に大きく動いて回避した、予想通りだった。

 そのままパワーアームズを使用して、足場に固めたマナを蹴って加速する。


 ルシエルがどこまで使ってくるのかはわからないが、離れていて俺のやれる事なんてたかが知れている。

 急接近して降り出すのは勿論右の刀。

 ルシエルはその一撃に対して剣で受け止めてくる。


 剣と刀がぶつかり合う、俺はペースを握られる訳にはいかないのだ。

 隙を見せれば高速で移動されて背後を取られる。

 その防御に回れば後手に後手にと回って、後は詰められるだけだ。

 左の剣は筋力に不安があるが、だからと言ってルシエルも無視は出来ない。

 右に左にと合間を無くすように乱撃を仕掛けていく。


「そんなんじゃ、結果は変わらねぇぞ?」

「そうですかっ!!」


 ルシエルは俺の猛攻をしっかりと防ぎながら煽りを入れてくるがそれには動じない。

 だが、このままじゃエイルーナと結果は変わらないのは俺にだってわかる。


 足にマナを込めて後方に軽く飛ぶ。

 剣では届かない間合いに離れる。

 ちらっとメリエルが視界に入ってきた。


 俺はメリエルの森で木々を蹴って高所に登る動きをイメージした。

 それを今この場で、それも平面に当てはめていく。


 俺の加速方法は片足で行う。

 つまりは両足で連続でやれば、負担はあるし操作は難しいが、2回連続で行えるはずだと…。


 左足でマナを蹴り、ルシエルには届かない間合いを計算して横を通り過ぎる。

 そして着地を右足でマナを蹴る、同時に方向転換してルシエルの後方から急襲する。


 予想外にも、連続使用をすると加速を更に加速させた事でいつもより更に高速で突撃する事が出来た。

 それでもルシエルには反応される……。

 俺はその勢いのまま左の剣を振り抜く。

 ルシエルはしっかりと反応して受け止められた。


「………」


 俺は僅かに口元が緩んでいた。

 イメージが綺麗にハマった事で…、それを見てルシエルが眉を寄せている。

 左の剣を追うように右の刀を振り抜いきつつ、魔法を呟く。


「…インパクトソード…」


 ルシエルの剣と激突する刹那に刀が青白い光を帯び、零距離で刀から圧縮されたマナが放出される。


 パワーアームズを使用していて、さっきより更に巨大なマナの斬撃に対して、ルシエルは飛び退くように離れながら上半身を大きく反らすようにして紙一重で回避している。


「…流石だなほんとに……でもまだ…インパクトアームズ…」


 俺のイメージを上回られてしまった、これはもう流石と言うしかない。

 ルシエルの前であまり使ってこなかった魔法や技を主体にして組み立てた連携だったが、それをしっかりと反応した。

 最後の回避なんて見てから反応するより早く、危機を察知して身体が動いたって…そんな感じだった。

 でも俺もまだ終わっていなかった。

 考えるより先にルシエルとエイルーナの戦いのイメージからか、それが有効であると思ったからか…、刀を真っ直ぐに投げつける。

 そして手元から離れる瞬間に魔法を発動。

 刀は後ろから強く押されたように加速してルシエルに真っ直ぐ飛んでいく。


 それは反らした上半身を起こしたルシエルの目の前に真っ直ぐ飛んで行った。

次回決着

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