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異世界転生物語〜二度目の人生は剣士となる方向性  作者: 飛鳥
六章 グリンダム〜変異種編
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六章21〜“半人半鬼”

 何処か懐かしいような潮の匂い。

 どこの世界でも変わらない波音や、潮風に運ばれてやってくるその匂いは、かつての生前の記憶を蘇らせる。

 母なる海は世界を問わず青く、そして水平線は広がっていて、世界の雄大さを物語る。


「おおおおっ!これが海か!」

「あ、ミシェイルちゃんは初めてなんだね」


 あれから再び山を越え森を越えてやってきた剣聖一同は、目的としていたリズの港町に近付いて来ているのがわかる海岸へと出きているのである。


 そこで一目散に駆け出したのはミシェイルだった。

 子供のような無邪気な笑顔を見せて走り出し、海を眺めている。

 絶対的美少女のエイルーナのせいで、見劣りしてしまうかもしれないが、ミシェイルも十分美少女である。

 それもロリータ属性持ちなので、エイルーナよりもマニア受けが強いのは間違いない…と言いたいが、メリエルも含めて全員が現在ロリータ属性持ちなのが現実である。

 すまないミシェイル。


「レオは初めて?」


 俺の横にいたメリエルが、可愛らしく小首を傾げながらそう問いかけてくる。

 素直に答えるなら初めてでは無いとも言えるし、初めてだとも言えるが、この場合の回答は決まっている。


「初めてだな、想像していたより綺麗だ」


 初めてである事は嘘になるかもしれないが、想像より綺麗であることは本当である。

 前世で経験した海は、ここまで美しく無かった。

 この海は深青であらにも関わらず、底が透き通っているようにも見え、それは美しくも恐ろしくも感じる。

 しかし、前世の俺の経験した海は同じように青い海であるのは間違いないが、人間の文明の発展の反動か否か、少し濁りがあり、潮風も少し癖がある匂いがしたような気がする。

 とはいえ、今となればかなり昔の記憶になっているので、中々思い出せないところではあるが……。

 テレビで見たエメラルドグリーンの海には負けるという事にでもしておこう。


「もっと浮かれても良いんですよ?」

「…エイルーナだって初めてじゃないのか?」

「私は子供じゃないので」


 まぁ、一応歳上だからな。

 ツッコミたいことはあるものの、とりあえずは黙っていよう。

 ヘソ曲げられても面倒だしな。


 退屈そうに最後尾を歩くルシエル。

 彼はあの一件で全員に謝罪した。

 全員に俺達から状況の説明も含めて、話をし、そして受け入れてくれた。

 そこからはまた以前と変わらない態度で各々接しているが、ルシエルはバツの悪さからか少し距離を置いている。

 気にするな、なんて話はしたが結局は本人の中で折り合いを付けなければならないことでもあるので、深くは掘り下げたりはしていない。

 大切なのはこちらから無理に距離を置いたりしない事、そして変に距離を詰めたりもせずにいつも通り接する事が一番なのだから。

 俺がルシエルなら気にするし…。




 ルシエルからみんなに鬼と人のハーフである事が語られた。

 そもそも鬼と言っても基本的にはある一点を除けば人間とそこまで変わらないのだとか。

 問題はその違いというのがツノである事が問題なのだが……。

 ツノは周囲のマナを吸収して力に変えるという、戦闘には大きな役割を持ち、まさに戦闘種族である事には疑いようが無い。


 ルシエルやメリエルは所謂半人半鬼という形で、鬼からも人からも迫害される立場にある。

 だが、幸いにも常時ツノがあるわけでは無いので、赤い目を除けば鬼の要素がないので溶け込む事は容易らしい。

 その赤い目も鬼しかというわけでは無いらしいので、問題ないのだという。

 ついでに牙も鬼化してると生えてくるらしいが、それはおまけ程度の話らしい。


 気持ちが昂ぶるとツノが生えてくるのが半人半鬼の特徴で、同時に自分の中の鬼の闘争本能が暴走する事があるのだと……。

 これだけ聞いていると相変わらず主人公っぽい…。

 今回はそれでエイルーナにも危害を加えてしまったのだと…。


 ここまで来るといつ暴走するのかと怖くなってしまい、一緒に行動するのはちょっと…って奴が現れるかと覚悟したが、そんな事はなかった。

 レイスは「別に大丈夫でしょ?多分」とか、ミシェイルは「私は気にしない!」と……、エイルーナも「興味ありません、皆さんの決定に従います」なんて始末。


 全員なんというか…危機感?が無いのか何なのか、まぁそもそも俺も追い出したい訳じゃないからこれで都合はいいんだけど、こんな流れになるとは思っていなかったので戸惑ってしまった。

 一番戸惑っていたのはルシエルだったが……。




 でも、その時のルシエルは心なしか嬉しそうに見えた。

 俺としても、俺の仲間が鬼だなんだってだけで相手を判断する人間じゃなくて嬉しかった。

 ルシエルは口数も少ないし、表情も硬いしおまけにノリも悪い奴ではあるが、自由奔放なメリエルを常に気遣っていたり、暇があれば毎日のように深夜までエイルーナの修行という名のわがままに付き合ったりと、実は優しい奴だというのをみんな知っている。


 メリエルなんて自由奔放で、結構なトラブルメーカーかも知れないが、いざという時はしっかりしてて頼りになるし、何より少し話しているだけで不思議と伝わる裏表の無い純粋さがある。

 これは少なくとも俺には、ついでにレイスにもない良いところだろう。

 エイルーナも怪しい、ミシェイルはあるな…うん!




 あの時レイスと相談して、予想通りの答えだった事は何だかんだやっぱり嬉しく、良い仲間を持ったと思えた。

 ルシエルも今はバツの悪さから距離を置いているのだろうが、気が付けば前よりみんなと近付けるのかも知れない!

 そういう空気を何とか作っておこうと思う。

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