表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生物語〜二度目の人生は剣士となる方向性  作者: 飛鳥
六章 グリンダム〜変異種編
106/129

六章12〜“逃亡”

 俺達がサボっている間にルシエルがほとんどのストーンタイガーを倒してくれていた。

 ちょっと後で謝ろう…てか街に着いたら飯でも奢ろう。

 俺たちはゾロゾロとルシエルの元に駆け寄る。


「怪我はないか?」


 すぐに声をかけたのはやはりミシェイルだった。

 ルシエルは頷いて答える、確かに見た感じは怪我はしてなさそうだ。


「…今なら逃げれるんじゃないか?」


 周囲のストーンタイガーが、ほぼ壊滅している事、変異種と1人足止めしているメリエルの、それを見渡して確認するルシエル。


「わかった、俺とメリエルを入れ替えた予定通りの陣形で走れ、メリエルはすぐに追い付かせる」


 ルシエルの言葉に1人不満そうな顔しているが、承諾。

 ルシエルとレイスから方角を確認して、エイルーナを先頭に走り出す。

 俺もその後に続いて走っていった。





 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 しばらく走ると、メリエルが追い付いてきた。


「大丈夫か?」

「うん…大丈夫」


 俺の言葉に返事するメリエルはやはり少し疲れを感じる。

 すぐに先頭のエイルーナにメリエルは合流しに行った。

 ミシェイルは相変わらず怪我の確認、そしてレイスは速度を落として俺に並んできた。


「ルシエルの事気にしてるの?」

「ああ」


 レイスはやれやれと言った顔で俺を見る。

 だが、すぐに後ろから気配が近付いてきたのがわかる。

 レイスと俺は背後に視線を向けると、ルシエルが走ってきているのがわかった。

 1人で残って何か…とやらないかと心配していたが、そんな事は無かったとホッとした。


「おかえり〜」

「どうやって来たんだ?」


 迎えの言葉をレイスがかけるが、俺はルシエルの合流が予想していたよりも早かったことで、少し気になった事をすぐに口に出した。


「魔法で氷漬けにしてきた、しばらくは動けないはずだ」


 という事らしい。

 ちょっと心配して損した…。

 まぁ何にしろ無事ならそれでいい。


「なんかめちゃくちゃだね…」

「…そうか?あのレベルの魔物なら再生能力もあるだろうし、足止めするならそれが早いと思ってな…」


 そうか、再生能力もあるのか。

 それはどんなものか気になるが……。




 恐らく誰もフラグなんて建ててないはずだ。

 だが嫌な地響きが足を伝ってくる。

 ルシエルもレイスも、ミシェイルもエイルーナもメリエルも、全員が足を止めて互いの顔を見合わせている。


 そして同時に後方に視線を向けると、木々を吹き飛ばしながら真っ直ぐこちらに向かってくる変異種のストーンタイガーが見えた。


「マジかよ……」

「えぇ〜…しばらくって…」

「悪いな、読み違えた…」

「ルル、失敗」

「そんなのどうでもいいです!」

「ああ、逃げるぞ」


 先頭のエイルーナとメリエルが走り出す。

 それに続いて俺たちも走る。

 振り返れば10メートルを超える2本の巨大なツノを生やした灰色の虎。

 なんだかその顔は非常に激昂してらっしゃるようにも見えなくないが、とりあえず木々を吹き飛ばして、へし折って最短ルートを通って俺たちを追いかけて来る。

 ハッキリ言って恐怖以外のなにものでもない。


 地を駆ける度に地面を揺らして、野太い雄叫びでこちらを威嚇…否、魔法である。

 高速回転する岩の弾丸、しかしそのサイズはもはや弾丸ではなく砲弾である。

 バスケットボールのサイズの岩の塊が、高速回転しながら高速で飛んでくる。


「アイスウォール!」


 すぐに反応して振り向いたルシエルが魔法を唱える。

 突如現れた氷の結晶が広がり、それぞれの結晶達が繋がり1つの壁になる。

 それが何枚も重なり合う。


 砲弾は1枚、2枚と簡単に氷の壁を貫通していく。

 だが何重にも重なった氷の壁全てを突き破る事は出来ない。

 そしてその壁は砕かれた訳ではなく、まだ穴の空いた壁として存在している。


「あっ!」


 俺たちと変異種の間に氷の何重もの壁があるのだ。

 足止めも兼任するのだと走りながら理解した。

 これは上手いと思ったが、変異種はツノを突き立ててそのまま体当たりして突き破っていく。

 気持ち程度は速度が緩んでいる気はするが…だが隣からまだマナの波動が感じられる。


「まだだっ!」


 体当たりして突き破られた氷の破片が緑の光に包まれ、宙に浮いている。

 その氷の破片が変異種の四方八方から襲い掛かる。

 全身に氷の破片が突き刺さり、堪らず足を止めて声を上げている。


「いくぞ!」


 全身から流血している変異種だが、一旦動きを止めると、その場でまるで力を溜めるように…いやマナを使用しているのか。

 傷口から煙が上がって、突き刺さっている氷の破片を溶かしている。

 そして傷口が急速に再生していくのがわかる。


「ハハッ…笑えねー」


 変な笑いが出た。

 少なくとも剣を突き刺すくらいは意味がないだろう。

 見間違いでなければ眼球にも氷の破片が突き刺さっていたと思うが、遠目からだが…いや、まず間違いなく何事も無かったかのように再生している。


 再生が終わったのか、ご丁寧に雄叫びを上げて再発進の合図を逃げる俺たちに送ってくれる。

 優しいね!もっと優しくしてくれると助かるんだけど。


 追いかけ方も相変わらず木々をなぎ倒していく自然破壊の極みである。

 隠れるもクソも無いのである。

 恐らく射程にまた入れば魔法による攻撃が行われるのだろう。

 ルシエルだってマナ的にも体力的にも余裕とはいかないだろう。

 というか隣を走っているルシエルを見れば疲労を隠しているような感じではあるが、少し顔色が悪くなってきている。


 先頭のメリエルも体力に余裕があるのかは怪しい。

 主力の2人の体力に不安がある、だが逃げ切れる気はしないな……。


「みんな!覚悟を決めて戦おう、多分逃げ切れない」


 走りながら先頭のエイルーナ達にも聞こえるように声を上げる。

 前を走る全員が走りながら首を回して振り向いて俺を…いや隣のルシエルを見ている。

 俺も自然とルシエルに視線を向ける。


 ルシエル全員を見てから俺に視線を向けてしばらく黙っていた。

 深く息を吐いて下を向くと、再び顔を上げ頷いた。

 逃亡は一旦中止、迎撃開始だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここまで読んで頂きありがとうございます。 稚拙な文章ストーリーではありますが、 気に入って頂いた方は 『感想』『評価』『ブックマーク』『レビュー』 して頂けると嬉しいです。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ