表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転生物語〜二度目の人生は剣士となる方向性  作者: 飛鳥
六章 グリンダム〜変異種編
105/129

六章11〜“戦いの楽しみ”

 部活でも勉強でも、仕事でもなんでもそうだ。

 人生で何かに対して努力を行い、そしてその努力が結果として報われた時、達成感に満ち溢れるのだろう。

 俺は今まで努力をしてきたと思っているし、それなりに結果ににはなっていたと思う。

 故に努力を続ける事が出来たのだと……、多少なりとも達成感が無ければやはり努力は続かない、結果として目に見え、肌で感じるからこほ、もっといい結果を求めて努力するのだろう。


 俺は努力して、その結果は小さなものだった。

 その理由はやはりエイルーナの影響も大きかったのかもしれない。

 努力の結果が出てもすぐに抜かされたり……これは仕方ないし、逆にまたすぐ目標が出来るから悪い事ばかりじゃないけど……。

 そして旅を始めて微妙にいいとこが無く、修行の成果もしっかり発揮されなかった。

 筋力不足についてはどうしようとない部分もあったが、それでも人間結果を求めてしまう。

 正しい剣の振りをすれば力なんて要らないのだと、とおる英雄はそう言っていたらしい。

 だが、俺はそのレベルには少なくとも達していないし、的は動くのだからいつも同じという訳にもいかないのだ。

 それにしても決して意図して得た訳ではないが、この魔法で筋力不足をカバーする事が出来る。

 そして今まで磨いた剣技が、工夫して考えてきた歩法などの技術が、しっかりと発揮される。


「これで……」


 自分が笑っている事に気付いた。

 戦いが……魔物とはいえ命を奪った事を…いや、命を懸けて戦っている事が…楽しい?


 一瞬自分が怖くなった気がした。

 だが、そんなネガティブな思考で、時間を無駄にする余裕は無いのだと、すぐに動き始める。

 左手で刀を逆手に握り、右手で剣を握って次の標的へ突き進む。

 先程と違い接近する前にストーンタイガーに気付かれてしまった。

 こちらに岩の弾丸が来るのがわかる。


「レオっ!そのまま進め!私が守って見せる」


 ミシェイルがそう叫んだ。

 弾丸が俺に向かって飛んでくるのがわかった。

 一瞬俺の思考は迷ったが、それでもミシェイルを信じる事にした。


「ライトシールドッ!」


 俺の前にに光の壁が現れ、壁の向こうから飛んでくる弾丸を防ぐ。

 俺はその壁が、こちらからはすり抜ける事を知っていた。

 新しい魔法、いつの間に手にしたのか…と俺が言う事ではないな。

 それにしてもヒーリングといい、ライトシールドといい、ミシェイルはアルフリードと魔法が……、弟子入りしたとはいえこんなたまたまもあるのか。


 そのミシェイルの横に立つレイスが弓を射つ。

 矢は風を切り裂いて俺の向かうストーンタイガーの前足の付け根を貫いた。


 怯み、そしてバランスを崩しているのが見てわかる。

 俺は剣を持つ右手を引き、再び溜めておいたマナを蹴って加速する。


「パワーアームズ!」


 加速した勢いそのままに右腕を突き出しながら魔法を唱える。

 自分の力が一時的に高まるのがわかる。

 剣はストーンタイガーの眉間から真っ直ぐに頭を貫いた。

 確かに頭を貫いているが、まだ生きているのか、暴れようとしているのがわかった。


「っ!しぶといってのっ!」


 左手で逆手に持っていた刀を指先で上手く反転させる。

 同時に口元に向かって刀を突き刺す。

 一度死にかけた時の経験で、ここなら突き刺す事が出来るのはわかっていた。

 背後から微かに音が聞こえるので、足を頭にかけて、同時にストーンタイガーから抜きながら飛び退くように蹴って離れると、絶妙な隙間から矢が飛んで来て、ストーンタイガーに突き刺さる。


「俺が気付かなかったらどうする気だよ…」


 そう言ってレイスに視線を移すと、俺の考えがわかっているように少しニヤついている。

 なんか腹立つ…。


 大きな弱点を補い、そして補助してくれる仲間がいるだけでこれ程に変わるとは…。

 視界の隅でストーンタイガーを2体同時に仕留めている青髪の男がいるが、それと比べると少し悲しくなるのでやめておこう。


 ルシエルに比べるとやはり見劣りするが、やはりエイルーナも違う。

 相手の魔法のパターンを既に見切り始めたのだろうか?彼女はマナの波動がわからないと思うのだが……。


 魔法の初動を見てすぐ様に判断しているのが伺える。

 ストーンタイガーの魔法の種類が大きく分けて2種類ある。

 まずは中空のマナを変質させて、形作る…最もよく使用してくる岩の弾丸がまさにそうだ。

 中空に急に現れるというよりは、シミが広がるようにじわじわと、しかし一瞬にして無から岩を作り出される。

 エイルーナは恐らくその出てくる瞬間を見逃さずに判断しているのだろう。


 そしてもう1種類は既に存在する大地や岩に干渉して発動する魔法。

 俺の足を奪った地面から生えてくるように飛び出してくる岩の槍や、エイルーナの突撃を止めた壁など、足元の大地にマナで干渉して操作する。


 これも足元の変化を敏感に反応して対処している。

 エイルーナは魔装が使えると言えど、やはり俺には出来ない事をして、そしてストーンタイガーを倒している。


 ルシエルも技術の高い事をしているのだと思うが、レベルが違い過ぎるからか、それとも身体能力の高さに差があり過ぎるせいか、見ていてしっかりとしたイメージを持ち難い。

 それに比べてエイルーナの動きはやはり勉強になる。

 かといってすぐに同じようにやれるかと言われれば難しいのは間違いない。

 一度見ればある程度模倣する事が出来るエイルーナ、それは並外れた観察能力があり、そしてさらに合わせて自分の身体を操るセンスがあるということだ。

 両方俺がエイルーナに及ばない点…しかしそれは時間をかけてでも…倍以上の努力で埋まればいいのだ。


 変わらず敵の攻撃を掻い潜り、そして飛び退くように離れようとするストーンタイガーにさらに加速して追撃、足掻くような攻撃を見切って一撃で仕留めるエイルーナ。

 返り血で金色の髪や白い肌が赤く汚れている。


「…何を見てるんですか?」


 俺の視線に気付いたようで、顔についた血を拭いながら俺を見て冷たく言い放つ。


「…いや、なんでもないよ…かなり減ってきたな」


 とりあえず説明は大変なので、話題を変える方向で話を進める。

 レイスやミシェイルが駆け寄ってきて、ミシェイルはエイルーナの治療を始める。


「ありがとうございます」

「気にするな、これも私の役目だ」

「それにしてもルシエルは凄いねぇ」


 そう言って周囲を見回すレイス。

 戦いを出した時よりも、ストーンタイガーは増えているはずだが、殆どが凍り付いていたり、斬り裂かれている。


「俺たちで、あの2人をフォローして…とりあえずあのデカイのをなんとかしてもらおう」

「…他人任せ…」


 俺の言葉に、エイルーナを治療しているミシェイルが冷たい目で俺を見ている。


「剣聖の息子なのにねぇ…」


 続いてレイスも、ニヤニヤしながら俺を見ている。


「……私は加勢しますけど」


 俺に目もくれずにそうやって言い放つエイルーナ。

 ノリが良いのか悪いのか……。


「俺だってやるって……じゃあやりますか」


 少し血が足りてないとか、魔法を結構使ったとかそれなりに不安もあるが、いつまでもルシエル達に任せっきりにするわけにもいくまい。


「共同戦線って奴を!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ここまで読んで頂きありがとうございます。 稚拙な文章ストーリーではありますが、 気に入って頂いた方は 『感想』『評価』『ブックマーク』『レビュー』 して頂けると嬉しいです。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ