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異世界転生物語〜二度目の人生は剣士となる方向性  作者: 飛鳥
六章 グリンダム〜変異種編
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六章8〜“パワーアームズ”

 


 どんな魔法なのかわからなかった。

 でもミシェイルの足元にマナの波動を感じた、つまりはあそこで魔法が発動されるということだけは何となく理解した。


 それからは一瞬だった。

 接近した一撃と同じ要領で踏み込み、ミシェイルを横から押し退けた。

 自分も無傷なのが理想的であったが、現実はそんなに甘くなかった。


 発動された魔法は地面を変形させ、土の槍を足元から突き出すような魔法だった。

 俺の右足は、膝より少し下から突き上げられて、右足の膝から下を貫き、そしてその槍の太さも影響して骨ごと肉も断たれてしまった。


 勢いのまま倒れこむ。

 痛みより先にやって来たのはどうしようもない熱が登ってきた。

 しかしそれは一瞬……激痛はすぐにやってきた。


「うがぁぁぁっっぁぁっ…」


 声が出そうで出ない、身体を横にして千切られた右足を抑える。

 既に足元には血で水溜りが出来ているのでは無いかと思わせるように出血している。


「レオッ!レオッ!」


 押し倒されたミシェイルが顔を真っ青にして立ち上がって俺に駆け寄ってくる。

 しかし同時にマナの波動を感じた…今度は知っている魔法だ。


「っっ来るなぁァァ!!」


 俺の叫びにミシェイルは一瞬足を止めた。

 同時に俺は痛みを必死に我慢して上体を起こして右腕を突き出し、インパクトアームズを発動する。

 俺にトドメを刺そうと飛来する岩の弾丸を衝撃波で弾き落とす。


 ルシエルが、エイルーナが、レイスが俺の異変に気付いた。

 エイルーナはさっきと同じように前進して、レイスの援護を受けて追い詰めていたようだ。

 ルシエルも位置的に固まっていた二体を同時に相手していたようだった。

 メリエルに関してはこっちに意識を向ける余裕すらないのか、興味がないのかわからない。

 少なくとも全員余裕があるようには見えなかった。


 一瞬誰かが動かなければならない全員が思考を活性化させる。

 しかしすぐに動き出したのはレイスだった。


「俺がいくよ」


 レイスはすぐに俺の方に走りながら弓を構える。

 本来弓は走りながら射つものではないはずだ、それでもレイスは走りながら俺に追撃を仕掛けようとするストーンタイガーの目に向かって的確に矢を放ち、そして命中させた。


 怯んでいる間にレイスが俺に駆け寄ってくる。


「大丈夫…なわけはないね、ミシェイルちゃん、 肩貸して」


 俺を避難させようと肩を担いで持ち上げようとしながら、ミシェイルに呼び掛ける。

 しかしミシェイルは俺と同じように顔を真っ青にしていた。

 その視線の先には俺の失われた部位を見つめて…。


「私の…せい…で、レオの…レオの…」


 声をかけようとしたが、痛みに耐えるばかりで声が出そうで出ない。

 唇が小さく…虚しく動いているだけだろう。


「さっさと肩貸して!レオの足を治せるのはミシェイルちゃんでしょ!」


 レイスの声も届かずパニック状態になっているミシェイル。

 レイスは諦めて自分の力で俺を移動させようとする。

 元からレイスは力がある方ではない…というかエイルーナはもちろんミシェイルにも負けるんじゃないかってレベルだ。


 レイスに支えられて片足で立ち上がるも、バランスが取れない。

 よく漫画やアニメで片足や片腕を欠損しても動いていたりするが、あれは嘘だな。

 自分の思っているより遥かにバランスが崩れて、動く事すらままならない。

 こんな時に何を考えてるんだか……。


 痛みに耐え、思考を奪われつつありながらもマナの波動を感じた。

 そして首を回して振り向くとストーンタイガーが魔法を放とうとしているのがわかった、そしてその弾丸は今までの弾丸とは違い人の頭よりさらに大きい岩の塊。

 咄嗟に発動するインパクトアームズじゃ弾く事は出来ないと…悟った。


 肩を支えてくれているレイスを押した。

 だが自分だけでバランスを取る事が出来なかった。


 この瞬間から俺の世界は…時間の流れが遅くなった。

 レイスが押されてそのまま体勢を崩していくのがわかった、驚いた様な顔をして俺を見ている…同時に何が来るのかを理解したのか表情が歪んでいく。


 エイルーナがこっちに走って向かってきている。

 彼女は一体仕留めたのだ。

 俺が1人で倒すに至らなかったストーンタイガーを…、身体のあちこちから流血しているのがわかるが、そんな事を気にせずに俺たちを助けようと走っている。

 ルシエルと同じ様に表情の乏しい彼女にも焦りが伺える。


 ルシエルが一体を仕留め、そしてもう一体も追い詰めていたところで俺を見ている。

 瞬時に状況を判断してこちらに向かおうとしているのがわかった。

 エイルーナ同様焦りが見える…お前ら仲良しだろ?実は…!


 そして目の前ミシェイルが俺を見て固まっていた。

 表情が歪み、今にも泣き出しそうに……。


 もしかして死ぬのだろうか?

 死にたくない……まだ何もしてない。

 この世界に来てまだ何もしてない…やりたい事があるのに出来ていない。

 これから魔導学園で魔法を学ぶんだ。

 魔導学園なんてファンタジーのお約束…何度夢に見てどれだね楽しみにしてたことか。

 レイスとミシェイルとエイルーナと一緒に学生をやって…ルシエル達も一緒だったらいいけど、やらなさそうだな。

 メリエルはやりたいって言いそうだから、ついでにルシエルも引っ張れるかも知れない。

 はじめはあんな感じでも、あの2人とは仲良くなれると思うんだけどな。


 それに剣だってもっと修行したい。

 剣聖の家系に転生したから…なんとなく剣を続けてきたけど、こんなにのめり込むなんて…。

 そしてクリスを見つけて…しっかり剣聖を継がないとな。

 俺はまだ死ねない、死んでたまるか!!



 その意思にマナはチャンスを与えてくれた。

 マナが教えてくれる新たな魔法…“パワーアームズ”そしてその使い方。

 俺は脳裏に浮かぶその使い方に従い、魔法を発動する。


「パワー…インパクト!!」

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