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闇魔法で最強の拳を得た俺は異世界を突き抜ける!~いずれ拳聖のぐだぐだ冒険者生活~  作者: きりま
級外品の冒険者__闇の糸口

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第99話 元始的な技術

 あー欠片拾い疲れた。

 いつも思うが、討伐よりドロップアイテム拾いの方が時間かかるとか、その労力の報酬をもらってる気がしてくる。

 それも間違いではないんだろうけどな。


「いやぁびびったわ。この辺まで来ると、毒きのこも数が固まってんのな」

「闇の気が濃くなるんで食い合わずに済むんじゃないっスかねぇ」

「この空気が餌かよ。まぁ短時間で稼げて助かるけど」

「ただ、ある程度の数よりゃ増えられねぇのか群れは点在してるんで、探さにゃならねっス」

「そう都合よくはいかないか」


 ぼやき風に語り合う俺と半モヒだが、巾着袋に貯まった欠片を眺めて、ほくほくしている。

 そこに冷たく黒い気配が漂ってくるが気のせい。

 気のせ……顔の横に伸びてきた闇触手をデコピンで弾いた。


「なに?」


 渋々振り向けば、クロムが顔に影を落として背中から闇イソギンチャクを生やしていた。


「あんたらね、どこまで本気なの」

「これ以上ないくらい真剣なんだけど?」


 クロムは項垂れ、帽子の陰からわざとらしい溜息を吐く。


「冒険者は変人ばっかって聞くけど、予想以上ね」


 闇魔女とか自称するやつに言われたくねぇよ!

 言わないけどさ。毒姉に憧れてたとかで毒魔女をもじったくらいだから、それ言うとうるさそうだ。


 欠片袋をしまって、先へ進む準備を終える。

 前を歩き始めた半モヒを追おうとして、蠢く闇イソギンチャクも動き始めるのが視界に入った。

 というより視界を半分塞ぐ勢いだ。邪魔。

 片手で押しのけながら尋ねていた。半ば文句だ。


「この先に用事でもあんの。あとこれ、視界が悪くなるんだけど」

「あ、ごめんつい無意識にやっちゃうのよね。……ふふ、無意識にやれちゃうのは、わたしくらいのものなんだけど」


 ちらっとクロムはこちらに視線を向け、俺にイラッとした気分を芽生えさせながら、イソギンチャクは萎んで背中に吸い込まれるようにして消えた。

 どこに飼ってんだよ。


「というか、明らかに俺らについてきてるよな?」


 なんの意図があるんだ?

 今さら隙を見てやり返すためなんてことはないだろうが。ないといいね……。


「強力な技を持つあなたが、どんなふうに討伐してるのか気になったのよ。で、改めて目にして確信したわ」

「ほう」

「わけが分からないってね!」

「こっちのが訳分からんわ!」


 素で突っ込んじまったよ。


「だって魔法黎明期の技が、未だ残ってるなんて思わないじゃない。廃れた理由は、変態じみてるせいだって思わなくもないけど。魔法の創始があんなのなんて、ちょっと幻滅……」

「だれが変態だ!」

「幾ら変人の多い冒険者でも、あんな戦い方するの見たことないし。なんで茸に刺さる必要があるの? ほんとわけ分かんない」

「あれは効率の極みを求めた結果なんだよ!」

「そうだぜ、アニキゃ何が相手であろうと速攻で叩き潰す主義!」

「話こじらせないでくれる?」


 言われるまでもねえ!

 俺だって、はたから見たくはねぇよ!

 一々気が抜けそうになるのを、なんとかやる気を盛り上げようとしてんだよ!


「効率ね……。他の冒険者にも聞いてみようかしら」

「やめてくださいおねがいします」


 いや、なにも恥ずかしいことはない。恥ずかしかろうと俺なりに真剣だ。

 咳払いして何事もなかったように歩き始めようとしたが、体は硬直!


「はああああぁ!? 魔法黎明期ぃ!?!!」

「きゃあ!」


 さらっと重要なこと言ってんじゃねえぞ!

 それ、今までに聞いたことない!


「なんなの突然。近くで叫ばないでよ」

「だからってイソギンチャクで耳を塞ぐな」

「イソギ……なに?」


 一本だけ伸びた闇触手で器用に耳を塞いで顔を顰めた、シュールなクロムを真剣に見る。


「さっきの話を聞かせてください!」

「へ? 他の冒険者に、いかにみっともない姿を言いふらそうかっていう」

「そこじゃねえ」


 改めて詳細を聞いた。




 クロムの無駄に魔法に関連する事柄に逸れそうになるのを軌道修正しながら聞きだした話によれば、こうだ。


 魔法として完成する前段階のもんらしい。

 そのまんますぎるわ!

 仕方なく根掘り葉掘り、そうなるまでの流れも促す。


 かつて、この世界が今ほどは魔力による自然の変異に蝕まれてなかった時代。

 人間がなんとか対抗する術を作り上げようとして、人間と自然の驚異の共通点に気付く。

 魔力だ。

 そこに干渉できないかと試みていたときに、体内の魔力を発現させる方法を発見。

 それが魔気を練って放つことだった。


 ただし、それは本当にただ魔力のみを放出しているに過ぎず、何かの変化を伴うものではなかった。

 あー確かに、属性がないな。

 それに、まだ体内から魔法を出すための穴がうんたらも関係ない。


 ……ようするに、俺がやってるのは非常に原始的な方法だったわけですね。


 人が魔力を生み出す器官を持つからこそ、他人の魔力の高まりを読むとか妖気にあてられるだとか、外からの影響にも関係するんだろうな。

 ここの人間は、やはりこの変な自然の一部に違いないということだろう。


 それで、誰でもできる方法ではあるが誰もやらないのは、単純に実害を及ぼせるほどの魔力量を備えている者が少なかったからということのようだ。

 で、いつの間にやら廃れていったと。


 そんな感じで、ぼんやりとしたものから始まったが、試行錯誤を重ねて魔法という形に完成していったのだった。めでたしためでたし。

 なんにでも歴史ありだね。




「と、言われてるの。幾ら勤勉なわたしだって、魔法団の本で読んだことしか知らない」


 なぜかクロムは、ぷるぷると震えながら再びイソギンチャクを生やして俺の顔を押しのけようとしていた。

 もちろん絡みつかせようとしても滑るように、にゅるにゅる蠢いているだけだったが。


「あ、詰め寄っちゃってましたか」


 体を引いたところには、闇触手にトサカを絞り上げられた半モヒの頭が。


「ひぃ」

「いやぁ、興味深い話っスね。ますますアニキの技が謎めいてきたぁ!」


 半モヒも興味津々で詰め寄っていたようだ。締め上げられておきながら動じねぇのな。

 クロムがイソギンチャクを消すと、誤魔化し笑いしながら移動を再開する。


「おっと、ついつい盛り上がっちゃったなぁ。さあて仕事仕事! 半モヒ、ちょい急ごうぜ」

「ほぃっス」


 横からクロムの冷たい視線が刺さるが、ちょっと休憩な。

 少し考えをまとめる時間をくれ。


 半モヒの反応から、詳細は知らなかったのが分かった。

 通常、魔法を覚えるための本には書かれてないことなんだろう。


 片や同じ冒険者でも毒姉は噂で知ってたと言ってたし、クロムや魔法おやじは即座に言い当ててきた。

 魔法団に資料があるとすれば、魔法使い同士では話すことがあったのかもな。


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