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闇魔法で最強の拳を得た俺は異世界を突き抜ける!~いずれ拳聖のぐだぐだ冒険者生活~  作者: きりま
冒険者な生活__四級品冒険者ライフ

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第92話 次の級へ

 魔法団を後にした俺は、ポケットから取り出した灯り石を手にすると毒姉を追っている。

 何か用がありそうな様子だったためだ。

 家への曲がり角に差し掛かったが、半モヒも帰ろうと言わずに付いてきてるから間違ってないだろう。


「どういう心境?」


 藪蛇かと思いつつ、好奇心満載の口が勝手に聞いてしまう。

 嫌気が差していた様子の割に、会議中ずっと、毒姉にしては控えめな態度だったと思うんだ。

 そりゃ、なんとびっくり本当に街全体に降りかかりそうな危険があると知らされたわけだから、組合の立場から抑えていたのかもしれないけど。

 それにしたって闇魔女クロムに対する態度は、俺に対してより優しかった気がして腑に落ちなかった。


 しかし朗報かもしれない。

 毒姉の目にも涙じゃないが、憧れだとか言われて満更でもないとなれば、今後何かおねだりするときに褒め倒す作戦が使えるかもしれねえじゃねえか!

 その答えは、もちろん毒姉らしいものだった。


「あれだけ魔法団が目をかけてるのよ? 冒険者組合に恩があることを忘れさせないために決まってるでしょ」

「俺の中の美談は消えた」

「また、ろくでもないこと考えてたの。残念だったわね」


 どっちがだよほんと。


「あーあ、しくじったわぁ。面倒くさい件だと思ってたのに。こんな面白いことになるなら、あんたを見物しにいけば良かった」


 毒姉は、もう少し職業意識を持とう。




 ただ歩いているだけの筈なのに、なぜか追いつくのが難しい毒姉に、必死に小走りでついていくとギルドに到着。


「こんなことくらいで息切れって……あんた普段、どうやって生活してんのよ」

「つ、疲れてんだよ。今日の分の体力は終わりだから……」

「うっス。アニキは出し惜しみしない男でスぜ!」


 速いだけならともかくペースが変なんだよ! どうやって歩いてんだって、こっちが言いたいわ!


 既にカウンターの向こうに座っている毒姉が、灯り石を置く。


「なんか来ちゃったけどさ、話は明日じゃダメ?」

「証」


 短く言って差し出された毒姉の手。

 冒険者メダルのことだよな?


「すぐ終わるから」


 あれれぇ既視感?

 やはり毒姉はメダルを手に裏に引っ込み、ガキュガキュと金属を削る音が……。


 待って待って。

 え、なに、なんなの急に。


 いきなり今ここで級上がり?

 んな訳ねぇだろ。


「まさか、降格とか……?」

「そっ、そんなわきゃないでスぜ! ……いやぁでも、明日でもよさそうなもんなのに、妙っスね」


 半モヒが変だと思うなら、毒姉の中でも特に奇行と。


 不安に慄いていると、ぬっと人影が戻ってくる。


「ほら、進級よ」

「罰で降格とかじゃないんだ」


 恐ろしいことに、初めて投げずに手渡された。暗いからかもしれんが。


「魔法団に貸し作る機会なのに、なんで降格なんかすんの。逆よ逆」

「へ、じゃあ……級上がり? マジで!?」

「うおお! やりやしたねアニキ! こんな爆速の級上がりなんてオレゃ聞いたことがねぇっ!!」


 例え理由が薄汚い大人の事情だろうが構うもんか。

 街を出る前に三級品に上がれるのは、今の俺にとっちゃ諸手を挙げて歓迎万歳ダッシュで飛びつくほどの喜びっすわ!!


 いそいそと灯かりの側にメダルを近付けて、俺の笑顔は固まる。


「……なんか、違くね?」


 横から覗き見ていた半モヒを見れば、驚愕のあまりか固まっている。

 しかし喜びとも違うような……。

 冒険者メダルに視線を落とす。

 鋭さのある歪な字で、訳の分からない言葉が躍る様に書かれている。



『級外品』



 なんだよ、これは。


 毒姉を見れば冷めた目をよこして、わざとらしく溜息を吐いた。


「ディス爺と話したこと聞いてなかったの」

「待ってそれ誰」


 魔法おやじのことなのか?

 確かに級外品並みとか言ってたけど。

 さすがに爺とかいう歳じゃないだろ。親父ぐらいだし、ふつうの中年だ。

 そんな言い方してっと自分に返ってくると思うんだが……バ、いや、たとえ胸中だろうと言葉にはしない方がいいな。怖い。


「あら、そう言えば誰も名乗ってなかったわね。どいつもこいつも見飽きたツラばかりだから忘れてた。あの話の長い魔法団副団長が、ディスピュート・メイジュってのよ。なんだかあんたも、ずっと前から居たみたいに図々しく取り入ってるし気付かなかったわ」

「あーそんな名前だったっけ。よく覚えられるな」

「立場上、連絡ごとが多いから仕方なくね」


 それもだよ。


「なぁ、もしかして毒姉も若頭、じゃねぇか……副組合長? みたいな感じ?」

「見ての通り、ただの受付嬢でしょ」

「そんなわけあるか!」

「ったく、そこは騙されたようなもんね。ただ店番してくれりゃいいからって引き受けたら、他に人がいないじゃない。嫌でも代理やんなきゃ回らないの」


 ほんとにもう毒姉は……。

 どこまで本当か分かんないけど、本気でここ他の社員は存在しないんだってところに危機感募りまくりだよ。


「要は、私が引き受けたからには、上にもきちんと報告して……呑ませておくから安心なさいってこと」

「何する気なんだ!」


 これまで見てきた限りでは、無意味な横暴さは発揮してないとは思う。

 思っても、毒姉の危険な言動とかが余計な不安を煽るのはしょうがないよな。



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