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闇魔法で最強の拳を得た俺は異世界を突き抜ける!~いずれ拳聖のぐだぐだ冒険者生活~  作者: きりま
冒険者な生活__四級品冒険者ライフ

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第84話 正体見たり

 今まさに目の前で、闇玉事件の犯人が暴かれようとしている。

 この異様な世界の街でも異常な規模の魔法使いだ。

 嫌でも緊迫感は増していく。


 てっきり追われて雲隠れするだろうと思っていた。

 組織的な犯行ではなかったようだし、下手したら迷宮入りになってもおかしくないよなと。

 軽い悪戯のつもりで事が大きくなってしまったとしたら、俺だったら二度と出てこないぞ。

 けれど、こうしてまた現れたということは何か目的があるわけで。


 それはそれとして、魔法使いの列から指示した奴が気になる……。


「さっき知ってる声が聞こえた気がするんだけど」

「魔法団の副団長さんっスね」

「へー、俺は魔法団窓口のおやじの声に聞こえたんだけど?」

「ぶふぅ! その人っスよ! すーぐアニキはこんな状況になるとそんな冗談言うんスからー」

「は? 副団長? あの魔法おやじが……」


 思わず闇玉の手前に並ぶ列を見たが、全員同じ黒ローブ戦隊だから背後からは誰が誰だか分かるはずもなかった。




 はい改めて闇玉だった名残りの状況を見てみましょう。

 使い手を守るように、しぶとく残っていた闇の霧も夜に溶けて消えていくところだった。

 じりじりと兵たちが近付いていき、それぞれが手にした灯かり棒も近付いたために、ようやくぼんやりとした影が浮かんで見えたんだが。


「そう、浮かんで……う、浮いてる!?」


 空飛ぶ魔法使いは存在するのだと聞いてはいたが、実際に目の当たりにすると、頭の中からすごい勢いで「それ間違ってっから!」と警告が鳴り続ける。


 知らず足が動いて魔法団の横まで来ると、意味ないだろうに、そいつの真下の地面と交互に確認してしまう。

 黒塗りの台に乗ってるとか、荒野の絵が描かれた巨大カーテンで隠されてるとか、そんな形跡はない。


 随分と小さくなった黒い塊を、まじまじと見上げた。

 灯りが掲げられたところで見えづらいのは衣装が黒いかららしい。

 おまけに頭にも、つば広の帽子らしきものを被っているが、それも黒い。

 まるでイメージ通りの――。


「魔女っぽい」


 上空から、高い声が降ってきた。


「どこからどう見ても魔女でしょ! でもただの魔女じゃないから。わたしが、わたしこそが――――闇魔女よ!」


 俺は衝撃を受けていた。

 ひとまず、内容にではない。


 女の子だ。


 この無慈悲な世界には存在しないのではないかと絶望し始めていた……若い女の子の声!


「なにをする気だ! 迂闊に近付くな!」


 思わず駆け出したが、背後からの声に足を止めた。

 あれでテロリストかもしれないんだった。

 もし魔法攻撃なんて受けたら……受けたら、あー、多分ふっ飛ばされて痛いくらいか?


 それはともかく、包囲網より近付いてしまったが、それで知りたいことを知るには十分だった。

 俺がジャンプしたくらいでは届かない上空。

 これ以上ないくらいに意識を集中し、見えない手で闇を掻き分けるようにして、そこにある造形を確かめる。


 見辛いと思ったら四角い闇に遮られていた。

 浮いているのは箒なんかではなく、魔法の絨毯系アイテムらしい。

 それに座って頭を覗かせているのは、まぎれもない人間。

 そして、声だけではなく、同い年くらいに見える女の子の顔だ。


「本当に、空飛ぶんだ」

「ふふん、偉大な魔女だからね!」


 こんな状況だというのに、随分と暢気というか。自信ありすぎでね?

 そんなにすごい魔法使いなのか?

 まあ、毒姉という前例があるから侮っちゃ駄目なんだろうが……。


 ん? でも、魔法使いなら空飛ぶ練習くらいするんだよな?

 ここにいる魔法団の技量なら、同じように飛んでも良さそうなのに。

 魔法の属性の関係?


 魔法団の列を横目に見ると、中央に立っていたローブが溜息を吐きながら頭を抱えていた。

 並ぶローブ軍団は、今は消えている光棒を掲げたまま、その人に目を向けて困惑しているように見える。


 あ、もしかして魔法使う邪魔しちゃいましたかね……やべぇ。

 逆に兵の方は警戒度が上がってきたような。気が付けば槍とか掲げてるよ!

 俺は高速で女の子に向き直った。


「それで! こちらの街にはどのようなご用件でしょうか!」

「ふふふ、よく聞いてくれました。わたしの力を見せつけるためよ!」


 即答!

 しかも今どき珍しいくらい直球で、しょうもない理由!


 顔を輝かせているに違いない、うきうき気分が声に滲んでいたし。

 そんなことのために軍に追われるようなことをするとか……。


「……本気で言ってる?」

「もちろんよ。この偉大な闇魔女、クロム・ウェルジュの名を胸に刻みなさい!」


 あっちゃー。

 こいつ堂々と名乗りやがったよ。

 逃げる気はないのか、逃げる必要がないとでも思ってるのか。

 どちらにしろ、ここだけで終わらなくなりそうだよなぁ。


「ごほん、ミノル殿、ここは下がってくれまいか」

「あ、魔法おやじ。仕事のお邪魔してすいません!」


 頭を抱えていたのは魔法おやじだったようだ。

 俺に並んで立ったおやじは、険しい顔つきで迷いなく闇魔女とやらを見上げる。

 魔法おやじも闇耐性高めなのか?


「世間を騒がす闇魔女、いやクロム・ウェルジュよ。同じ魔法団に身を寄せる者として、汝に問う」


 その、当たり前のように出た問いかけに、呆然とした。



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