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闇魔法で最強の拳を得た俺は異世界を突き抜ける!~いずれ拳聖のぐだぐだ冒険者生活~  作者: きりま
冒険者な生活__四級品冒険者ライフ

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第78話 魔法書チェック

 食卓に借りた本を積み上げ、ぱらぱらと中を確かめていく。

 前に読んでショックを受けた、三属性の前提から始まる入門書は、散々に半モヒから聞き出したことと特に違いはなかったから次だ。

 今のところ知りたいのは使える魔法の種類そのものではないしな。


 初心者から中級者向けらしき本を、少し時間をかけて読む。

 ここからが実際に使う段階に入る内容だろうと思ったからだが、入門書よりは、わずかに厚くなったくらいで難易度が増した感じはない。

 魔法の種類そのものに注目はしないが、注釈の長さ的に大したことが書かれてないというか。


 そういえば初めは呪文と思っていた文言は効果の名前だったみたいだ。

 詠唱してる奴らなんか見なかったから変だと思ったんだよ。


 ともかく、その名称自体も短いものが並んでいたが、ページも後になるほどに長くなっている。何か法則があるんだろう。


 たとえば中級光属性魔法に、『光の遮蔽壁』という目眩まし的なもんがある。

 その項目も最後の方になれば、『大光遮蔽の代行者』という感じに少しずつ伸びていく。ダジャレっぽいのは無視しよう……。

 これは説明によれば、二級品冒険者ニバンさんが使っていた光の盾のことみたいだな。


 そんな風に、役に立つかは別として、見てるだけでも知識は得られる。

 最後まで流し見したところ、なにか違和感。物足りないというか。

 各属性の魔法が記されており、効果の説明もされてはいた。

 ただ、使うことを考えているというよりも、辞書みたいな感じがする。


 ああ、初めに見た本と違いすぎるからか?

 上級者向けという焦げたような黒色の本。あれは、闇魔法のことばかり書いてたもんな。

 積んである本から、それを引っ張り出して開く。


 これこれ。

 一つ一つの魔法について無駄に不穏な挿絵付きで、やたらと詳細に書かれてある分厚い本だ。

 半モヒに、読めるのかと驚かれたやつ。


 実際に使うには、読み解けるほどに理解してないとならないと聞いたよな。

 じゃあ、さっきの中級者向けらしき本は、本当に紹介しかされてないのか?

 分厚い方は一冊丸々、一属性について書かれてあるようだし、本格的に踏み込んでるのは間違いなくこっちだろうけど。


 それなら分厚い方だけ確認すりゃいいか。

 闇属性はチラ見したから他のを先に確認しよう。

 他のに……?


「半モヒー、露と光属性のやつは?」


 ダダダダダダ――流しに立ち、ものすごい勢いで野菜を八つ裂きにしていた半モヒはピタッと動きを止める。

 明日の朝飯と弁当用に準備しているらしい。

 ぐるんと腰から回転する勢いで振り返った。


 俺が立てて見せた分厚い闇本を目にして、グワッと目を見開くやバサッと頭を下げる。


「これまで闇一辺倒だったもんで用意してねっスー! 明日、揃えやスから!」


 普通に話せないのかい。


「いやいい。なんとなく気になっただけだから」


 高いもんだろうしな。

 商店街で本屋は見かけなかったが、そもそも本だけ売る店なんか需要的に存在できる気がしない。

 専門道具みたいなもんだろうしな。


「やっぱ、魔法団の取り扱い?」

「そっスね」


 複製して売ったら儲けられる?

 犯罪になったりして。

 まあ、金になるなら誰かがやってるよな。俺のせこい考えなど、これまでも叩き折られてきた。今回もでした。


「魔法使いたいと魔法団に行きゃ、そこそこの値段で売ってくれやスぜ」

「ふーん、手書きで大変そうなのに。儲けの手段にしないんだ」

「そりゃ、使おうとして誰でも使えるものでもねっスから。魔法具がありやスし」

「一番の儲け頭だな」


 職人としての人材確保のことも考えたら、興味を持ってくれたやつにパンフレットを配る感覚かもな。




 ☆




「ちわーっす」


 そんなわけで、さっそく朝から魔法団にやってきた。

 早朝だってのに起きたら開店とか世界がブラックだな。助かるけど。


「おお、ミノル殿。どうかね、あれから」

「魔法おやじに言われた通りだった。黒森がすげー楽になったよ」

「ほーそうかそうか、まほうおやじ!?」

「ははは気にしない気にしない! それでちょっと気になることが出来たんで、聞きにきた」


 ちょっと待ってなと言いつつ、魔法おやじはいそいそと手荷物を端へと寄せていく。

 魔法談義、好きなんだね。


 改めて長机越しに向かい合ったおやじへと単刀直入に訊く。


「魔法書を見たいんです」

「なんだそんなことか」


 またすぐにも棚に飛びつこうとする魔法おやじを呼び止める。


「使う気はないというか、買えるとも思わないんだ。見たいのは中級から上級書までだし。ただ、少し中身が気になっただけだから悪いなって。ちょろっと見せてもらうだけはダメかなーと」

「うーむ、せっかくの素質があるのに残念だが。まあ、もちろん構わんぞ。わしはディスピュート・メィジュだ」

「いいの!? やったって、え? ですぴー?」

「ディスピュートだ! 名乗ってなかったようだからな」

「あー、名前か」

「さすがに同年代に親父呼ばわりは、気になる」

「若いからな!?」


 見た目通りだっての!

 分かってくれるのが、なんでタツィオさんだけなんだよ。

 あれ? それも変だな。


「まあいいや、魔法おやじで。名前長いし」

「ぐっ! 他の街から来たろうに、君もそう言うのか! 言いづらいとはよく言われるのだ……仕方あるまい」


 ここでも言いづらいのかよ。


 項垂れながらも魔法おやじは、背後にある引き出しまみれの箪笥から迷いなく本を取り出す。


 長机越しによこされた本を、その場で開き――俺は困惑した。



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