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闇魔法で最強の拳を得た俺は異世界を突き抜ける!~いずれ拳聖のぐだぐだ冒険者生活~  作者: きりま
冒険者な生活__四級品冒険者ライフ

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第77話 闇玉調査隊の結果は

 どうよ、この量。

 俺は手に収まる小さな巾着袋の口を覗いてほくそ笑む。


 黒川を越えると毒きのこの出現率は格段に上がり、ひとまず目に付けば倒すことに決めて歩き回ったんだ。

 クワガタリスほど、いつでもどこでも現れることはないけど、魂の欠片は十数個くらい集まった。

 へへ、やると決めたら早いもんだろ?


「ぐぺっぺっ! やっぱ胞子攻撃は厄介っスねぇ」

「自分のせいだろ」

「えーだってー」


 こいつな、修行のためとか言って、わざわざ煽って当たりに行きやがるんだよ。

 奇襲しかけて倒せば、もっと早く片付いたろうよ。


 俺も毒きのこの闇気配の出方は、なんとなく把握できた。

 それと、闇の靄の濃さ具合も。

 主に毒きのこが徘徊する、四級品も力を付けた奴が推奨される範囲は、黒森中部と呼称されている。

 それより奥は、まとめて奥部と呼ぶらしい。


 きっちり線引きされてるわけではないが、奥部との境目辺りに来れば入り口付近との差ははっきりしていた。

 闇の靄の濃さは、色味だけではなく密度も高まっているような重さを感じられるのだ。


 平均的な耐性値の奴らって、息苦しくならねぇのかと不思議なくらい。

 まあ実際に空気の不純物が多いとかそういうんじゃないから、慣れなんだろうけど。


 とにかく、そんな訳で昼まで集中して毒きのこ狩り。

 初めての行動だから区切って、というわけでもなくて、半モヒが干からびかけていたからだ。言わんこっちゃない。


 後は戻りながら、いつものようにリスもどき狩りと木の実狩りで終えることとなった。




「ふふん、戻ったぜ。怪奇毒きのこ地獄など敵にあらず!」


 自信満々に毒きのこの欠片袋をカウンターに置いた。


「ふーん」


 それだけだ。

 毒姉は特に表情を変えることもなく欠片を片付けていく。

 分かってた。

 いや、ここまで反応ないなら悪くないってことだよな!


 すぐに報酬と一緒に、渡していた冒険者メダルが返される。


「そういえばこれ、ただの名札みたいなもんだよな。渡す必要あんの?」


 あ、込み合ってるときは間違えたら困るとか、そういうこと?

 じろりと見上げられた。面倒くさいほど、どうでもいい質問だったらしい。


「印よ。あんたらの依頼達成率」

「え」


 思わず引っくり返してみたりしたけど、何も彫られてない。


「魔法で付けてるに決まってるでしょ」

「強化魔法だけ付加されてるんじゃなかったのかよ」

「それだけよ。紙で保管すんのも面倒だから、私が覚え書きに利用してるだけ。って、ちょっと何してんの。壊すんじゃないわよ」


 ひったくられた。

 ついつい仕込まれた暗号解読が出来ないかと手に力を込めてしまったぜ。

 魔法の流れが見えるのは、手の力を使うのとは関係ないんだった。

 危ない危ない。


 しかし毒姉のこの反応。俺の謎力は強化メダルさえ壊しそうってことだよな。


「気ぃ付けまーす」


 メダルを返してもらいながら、なにか誤魔化そうと考えてタツィオさんから聞いた調査隊の帰還を思い出した。

 領軍のメンツにかけて出て行ったなら、事件は解決したようなもんだろと喜びたいところだが、はっきりと伝えられてなかったみたいなんだよな。

 あの様子だと、他の機関に伝えられるのは、まだ先の気もするが。


「なによ」


 まだ他に並ぶ奴がいなかったから、ずばっと訊いてみた。


「調査隊が帰ってきたって話、届いてる?」

「そりゃね」

「タツィオさんから、結果は毒姉に訊けって言われたんだけど!」

「お、それ、オレも気になってやした!」


 俺と半モヒは乗り出してわくわくと待ち構える。


「特に冒険者に対して注意書きを貼り出すようなことはなかったわね」

「じゃあ、やっぱ何か分かったんだな!」


 毒姉は頬杖ついて、つまらなそうに小さな溜息を吐いた。


「都方面に向かったのは確実のようね。それだけよ」

「へぇ! 犯人は都の住人って絞れたんじゃん!」

「そんな簡単なもんじゃないでしょ」

「住人たって多すぎやスしね。んでも、あれだけの事件だ。そんくれぇで調査隊が引き下がるなんて妙っス」

「引き続き調査を進められるだけの材料は手に入った、ってことじゃないの。もういい? 後がつかえてんの」

「すんませんって、誰もいない?」


 振り返りれば誰も並んでない。

 ちっ、話がしたくないからって騙しやがって……。


「よっす、お前ら今日は早いな~」


 その時スイングドアが開いて、一冒険者パーティがどかどかと入ってきつつ挨拶してきた。

 毒姉の毒レーダーなら、これくらいは探知可能らしい。

 俺は咳払いして入れ違いにギルドを出た。




 モヒ家に戻った俺たちは、だらだらと手荷物を置きながら雑談する。


「まあ、ひとまずでも経過が分かると楽し……安心できるな」

「そっスね。追った先に待ち構えていた犯人の罠にかかり、ぎったぎたに仲間が殺されていく。死を悟った隊長は新兵に『お前は生き延びろ! 生きて、伝えるんだああぁ!』『た、隊長おぉ! くぅ……オレは、使命を果たさなければ』。そしてボロ雑巾のような新兵がようやっとの思いで辿り着いた門前。タツィオの前で倒れた兵は『た、たのむ、これが敵の……』『新兵えぇ! 確かに受け取った。欠伸も引っ込んじまう熱意を、無駄にはしねぇ』だといった経緯とかじゃなくて、良かったっスね!」

「なげぇよ!」


 タツィオさんに聞かれたら怒られそうなこと言ってるし。


 本日は毒きのこ退治も頑張ったことだし、そこそこ満足できる一日でした。

 懐も温かい今、心に余裕をもって下調べに没頭できるというもの。

 晩飯をかき込むと、早速予定を消化すべく魔法書を片付けることにした。


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