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闇魔法で最強の拳を得た俺は異世界を突き抜ける!~いずれ拳聖のぐだぐだ冒険者生活~  作者: きりま
冒険者な生活__四級品冒険者ライフ

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第74話 旅の相談

 寝苦しさに飛び起きた。

 あれ、まだ暗い?


 ――シュゴオオオオオオオォォォ……!!!


「ひぎー!」


 ったく、起き抜けにこれは心臓に悪すぎる!

 体に寝覚めのタイミングが刻まれてしまったのか?

 どうせ驚くなら目覚ましに一度でいいよ……。


「はよーっス! アニキ、今日は早起きっスね!」

「おはよう……」


 既にトラウマ毒きのこエプロン付けて飯作ってるお前はなんなんだ。

 生まれた時から、この環境なら慣れるのかね。

 あんな魔法なら無くても……あ、もしかして、これもか? これも魔法器官で緩和されたりしてるんじゃねえの?

 ……起きるか。


 寝汗がひどい。

 朝だけど水浴びてこよう。




「はー……気が重」


 朝晩は水を扱うには少し肌寒いんだが、そんな冷たさで頭を洗っても気分はすっきりしない。


 季節感がよく分かんねぇけど、今のところは初夏という感じ。

 昼でも暑すぎることはないから、少ない着替えしかなくても助かってる。

 冬とか来んのかな。来た時は七月末だったなら、これから暑くなるか?

 同期してるわけないな。

 まあ、その内嫌でも知れるか。


 ……それが問題なんだけどな。

 気が重いのは、あまりの時の流れの速さに動揺してるせいだったりする。


 昨日、門番長タツィオさんから、大魔法ぶっぱ事件の調査隊が戻ったと聞いた。

 思ったより早かったよなぁと何気なく日を数えたら、五日くらい経ってた。

 そんなもんだっけと、ついでに俺が来てからを数えてみた。


 どうやら俺は、こっちの世界に来てから十日目を迎えていたのだ。


 無駄に焦っても仕方ねえし足場固めは地道にと考えつつも、緩み過ぎないようにと、たまに釘を刺していたよな?

 なのに、これですよ。

 夏休みの残り、34日……。

 他の生活のことやらなんかで頭一杯だったから……。


「やべぇな……」


 このペースじゃダメかも。

 戻りが長引くだけ、家での騒ぎが大きくなっちまう。

 事情聴かれて黙ってたら犯罪に関わってるんじゃねとか誤解されそうだし。

 それで、「えへっ異世界行ってましたー!」などと言おうものなら確実に、おとんに張り倒される。

 いや先に兄貴にぶん殴られるな。


「あーくそ、とにかく何かできそうなこと、まとめねえと」


 布で頭の水気をガシガシと拭うと室内に駆け戻った。




 まずは飯をとテーブルに着いたが、猛烈に俺の集中を乱すものがある。

 まあ、半モヒしかいないんだけど。


「それ、やめない?」

「えっ! なにっスか!?」

「ぶわぶわーっての。食べるのと特訓は分けようぜ」

「失礼しやした! 闘争心を煽っちまいましたか! それに、食うのと同時作業では身につかねぇと……」


 なんでも闘争心を基準に語るな。

 人体に黒いのがもにゃもにゃしてるとかホラーなだけだから。

 しかも目に見えてるのとは違う感じと分かるのに、見えてる風なのが気になってしょうがないんだよな。


「あれだけ昨日は疲れてたろ。朝からそんなことして大丈夫なのか? 森の中でバテても知らねえぞ」

「そうなんスけど、気が逸って抑えられず。げへっ」


 修行、好きだね。

 修行か……俺の変な感覚も自力で調節とかできるのかな?


 俺の場合、力の発揮具合はいじれるが、調節用の器官はないからなぁ。

 これまで知れたことから推測すれば、そこは触るとやばそうなんだよ。

 闇属性の効果が見えないように調整するということは、この謎力自体を切るような行動に思えるというか。


 俺に発揮されてる闇魔法の効果が、謎器官の代わりをしてくれてるという予測通りなら、弱めるだけでも体に不調が出るとか問題ありそうでな。

 怖いから、そっちは試せない。


 代わりといっちゃなんだが、せめてツッコミパワーくらいは使いこなせるようにしておきたいよね。

 とはいえ、これが永続的なもんかさえ分からない。

 それもあるから、ここから脱出できる方法を探るくらいはしないとさ。



 まあ、こう考えてみれば、無駄に十日が過ぎたわけじゃねえよな。

 慣れない土地で生活苦にひーひー言いながらも、よくここまで当たりをつけられたと思うよ。

 それと、街の皆には悪いけど、あの闇玉事件のお陰で知れたことは大きかった。



 あとは、魔法が切れないのを祈りつつ、ぼんやりとやろうと思ってたことを具体的に考えてみようか。




 食事を終えると、いつもならすぐに出かけるのだが、皿を片付けようと立ち上がった半モヒを呼び止めた。


「半モヒー」

「ほいっスー」


 ちょっと相談というと、半モヒは神妙な面持ちで座り直す。


「旅するのに、どんな準備がいるかな。金とか手段というか、道具とか?」


 半モヒは眉間にしわを寄せ、口は唸るように横に開くが、そのまま言葉なく固まっている。

 どんな心情かは分からんが、また余計な方向に想像が突っ切ってるんだろう。


「あ、まだ先のことだから。……手がかりが見つかれば行かないで済むし」


 まだ半モヒの魔法書も読破してないとか、その上で考えをまとめなおして魔法おやじにダベりにいくとか、やっておこうと思ってることもある。


「覇者への手がかり……アニキには未だ見ぬ技でさえ、すでに道筋が見えているというのか……!」


 なに後の呟きの方に尾ひれつけて反応してんだよ。


「まあ、でも、そうか?」


 ある意味、間違いでもないな。

 ここの専門家が知らない魔法を再現できないかと探ってるんだもんよ。

 ……やばい。そこを考えすぎると希望が薄れていくようだ。


「いつも気負いないアニキでさえ、それだけ真剣になる旅路の果てに何が待つというのかッ! たかが二級品冒険者に過ぎないオレっスが、ついていきやスぜ!!」


 失敗するかもしんない。

 でも……ギリギリでもやばかろうとも、じっと耐え忍んでるってのは性分じゃねえ。

 余計なことしたせいで結果的に遠回りになるかもしんない。

 でも、やらずに機を逃すことだってある。

 それなら俺は、無理しても動くのを選ぶ!


 木の実というか偽毛をたくさん拾えるようになって、食費を押し付けても残るようになった。

 そもそも、この余裕は半モヒに寄生して得たものだ。

 さっさと俺の用事を片づけて、後は半モヒに借りた分を返したいしな。

 どうせ途方に暮れるなら、早めに知りたいというのもあるけど。


「そう、それでなんだけど」

「へい!」


 旅の道具といえば、キャンプ用品とか?

 それは俺の知ってるなんとなくの知識によるものだ。

 こっちで必須なもんがあるかもしれない。


「旅の道具とか知りたい。あんま本格的でなくていいというか、最低限で。蓄えも少ないし」

「そっスね、いきなり世界の果てを彷徨うのではなく下調べが必要と」


 誰が新天地など探すかよ!


「あ、行き先は都な。何日くらいかかるかとか教えてくれ」

「お、おおぉ! ついに都っスか! そっちだったかぁ!」

「なんとなく人の暮らしぶりも分かったから、もう少し大きな街を見ておいてもいいかって、その程度だからな」

「くくく、言わずとも分かりやス。敵情視察っスね」

「ちげーから」


 ただ都までの道のりを聞くだけが、一々半モヒが興奮するから、やけに時間が取られた。

 やっぱ、こういう話は夜がいいなと思う俺だった。


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